譬えば高原の陸地には蓮華を生ぜず 卑湿の淤泥(おでい)に此の華(はな)を 2020.7.14

2020-07-14 | 文化 思索

譬(たと)えば高原の陸地には蓮華(れんげ)を生ぜず 卑湿の淤泥(おでい)に此の華(はな)を  『維摩経』

今週のことば
 中日新聞 2020.07.14 火曜日 朝刊
 尾畑文正

 30年近く育ててきた蓮(はす)。美しく花咲く蓮鉢をのぞくと、糸ミミズ、カエル、時にはスズメなど、いろんな生き物たちが顔を出す。泥と共に生きる命。私たちもまた様々な関わりの中を泥まみれに生きている。
 そこに新型コロナウイルスが加わった。世界が一気に鎖国状態。裕福な人もそうでない人も容赦無く感染の危機にありながらも、特に格差社会の中で生活資産の脆弱な貧しい人たちが生活苦で途方にくれている。
 さらにはハンセン病差別問題に学ぶこともなく、感染者や死者、関係者までも鞭打つ差別的な出来事も起こっている。あらためて人間とは何かと、人間を根底から問い直す学びが求められている。
 記録的な豪雨の中、淤泥華(おでいげ)の名をもつ蓮の花を見つめながら、人間を生きるとはどういうことなのか、どんな花を咲かせているのか、考えさせられている。(同朋大名誉教授)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


維摩経(ゆいまきょう)


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