http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/ column15「揺らぐ民主主義国家 ロシア・グルジア問題を憂う」
いずれにしても、問題が「民主」対「反民主」などという善悪二元論に収斂してしまえば、国際秩序は不安定化する。国連の安保理は、他の問題においても機能不全に陥るだろう。また、他の地球的課題(テロとの戦いや気候変動問題)に関する主要国としての取り組みにも齟齬が出るかもしれない。売り言葉に買い言葉の連鎖は、世界を一挙に流動化させるかもしれない。米ロ両国の責任は極めて大きい。ロシアは、自制ある対応をとらなければならないが、アメリカも(とりわけ両大統領候補とも)冷静な対応とレトリックを使わなければならない。
このような国際政治の流動化を前に、日本政府は福田首相が突然の辞任表明、ただひたすら内向きの様相を呈している。対外的なコミットメントを何も決められないような状態では、ありうべき国際政治の荒波にただ翻弄されるだけになってしまうであろう。