小1女児殺害事件初公判 被告は無罪主張
NHK NEWS WEB2016/2月29日 18時17分
平成17年、栃木県の旧今市市、今の日光市で小学1年生の女の子が下校途中に連れ去られて殺害された事件で、殺人の罪に問われている男の初公判が宇都宮地方裁判所で開かれ、被告は「殺していません」などと述べ、無罪を主張しました。
平成17年12月、栃木県の旧今市市、今の日光市で、小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7)が下校途中に連れ去られて茨城県常陸大宮市の山林で遺体で見つかり、事件から8年半がたったおととし6月、栃木県鹿沼市の勝又拓哉被告(33)がナイフで刺して殺害したとして殺人の罪で逮捕・起訴されました。
この裁判員裁判の初公判が宇都宮地方裁判所で開かれ、勝又被告は「殺していないし、遺体が見つかった現場にも行っていません」と述べ、無罪を主張しました。
このあと検察は冒頭陳述で、「遺体の傷の一部は被告が持っていたスタンガンによって出来たものと矛盾せず、被害者の体についていた猫の毛も当時被告が飼っていた猫のものと矛盾しない。被告は詳細な内容を供述して殺害を自白し、その信用性は高く、被告はこのあと母親に謝罪の手紙を書いている」などと指摘し、録音録画した記録を今後の裁判で明らかにするとしています。
これに対して弁護側は「殺害現場とされる場所には大量の血液が残されておらず、遺体からは勝又被告のDNAが検出されていないなど、自白の内容と現場の状況が矛盾している。被告は長い期間、身柄を拘束されて威圧的な取り調べを受け、うその自白を強要された」などと主張しました。
勝又被告は逮捕・起訴の段階では、殺害について認めていたということですが、2か月後に始まった公判前整理手続きでは否認に転じました。直接的な証拠がないなかで、裁判は自白の信用性が最大の争点となり、初公判でも検察、弁護側の主張が真っ向から対立しました。
裁判は3月22日まで15回開かれ、31日に判決が言い渡される予定です。
■一時認める供述から全面否認に
勝又被告はおととし2月、偽ブランド品のバッグなどを隠し持っていた罪で起訴されました。弁護士などによりますと、このとき検察の調べの中で有希ちゃんの殺害について一時認める供述をしましたが、その日のうちに否認したということです。
おととし6月、警察は有希ちゃんを殺害した疑いで勝又被告を逮捕しました。容疑者のDNAや凶器の発見など直接的な証拠はありませんでしたが、警察は、殺害を認める供述や、勝又被告の自宅から遺棄現場につながる道路で車のナンバーを読み取るNシステムに勝又被告の車のナンバーが確認されたことなどの状況証拠を基に、逮捕に踏み切りました。
警察と検察によりますと、勝又被告は起訴される際も殺害について認め、「当日の午後2時半ごろ、有希ちゃんを車で連れ去り、鹿沼市の自宅に戻ってスタンガンで気絶させた。翌日の未明に茨城県の山の中に連れて行ったが、犯行をしゃべられてしまうと思い、午前4時ごろナイフで殺害した」などと供述していたということです。
しかし、2か月後のおととし8月から始まった裁判の準備の公判前整理手続きでは、わいせつ行為や連れ去りについては認めたものの、「殺害したのは第三者だ」として殺害を否認しました。そして去年5月には、わいせつ行為や連れ去りも含めて「一切無関係だ」として全面的に否認しました。
弁護側は今月9日に会見を開き、「殺害を認めたという自白の内容は遺体や現場の状況などと矛盾していて信用性がなく、台湾で生まれ育ち日本語に不慣れな被告は5か月近く拘束され、威圧的な取り調べによって、うその自白に追い込まれた」などと主張しました。
否認に転じたことで、公判前整理手続きは今月25日まで合わせて24回開かれ、起訴から1年半余りたって初公判が開かれることになりました。
■被告弁護士「客観的な証拠の有無争点に戦う」
初公判のあと、被告の弁護側の一木明弁護士は「初公判で検察側が用意していた客観的な証拠があの程度でしかないことがよく分かった。今後も客観的な証拠があるのかないのかを争点に、しっかりと戦っていきたい」と話していました。また、勝又被告については、威圧的な取り調べを受け、うその自白を強要されたと主張していて、「勝又被告は認否について確認されたとき、涙をこぼしていた。今まで真実を述べたくても述べられなかった気持ちが抑えきれない感情として表れたのだろう」と話していました。
■検察「詳しい証拠は順次法廷で明らかに」
宇都宮地方検察庁の金子達也次席検事は、初公判で弁護側が無罪を主張したことについて、「改めて特にコメントすることはなく、きょう冒頭陳述で述べた詳しい証拠の内容については、今後順次、法廷内で明らかにする」と述べました。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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勝又被告の供述の変遷
NHK NEWS WEB 宇都宮放送局 2016/02月29日 15時40分
勝又被告はおととし2月、偽ブランド品のバッグなどを隠し持っていた罪で起訴されました。
弁護士などによりますと、このとき、検察の調べの中で有希ちゃんの殺害について一時認める供述をしましたが、その日のうちに否認したということです。
そして、おととし6月、警察は有希ちゃんを殺害した疑いで勝又被告を逮捕しました。
容疑者のDNAや凶器の発見など直接的な証拠はありませんでしたが、警察は、殺害を認める供述や、勝又被告の自宅から遺棄現場につながる道路で車のナンバーを読み取るNシステムに勝又被告の車のナンバーが確認されたことなどの状況証拠を基に逮捕に踏み切りました。
警察と検察によりますと、勝又被告は起訴される際も殺害について認め、「当日の午後2時半ごろ、有希ちゃんを車で連れ去り、鹿沼市の自宅に戻ってスタンガンで気絶させた。翌日の未明に茨城県の山の中に連れて行ったが、犯行をしゃべられてしまうと思い、午前4時ごろナイフで殺害した」などと供述していたということです。
しかし、2か月後のおととし8月から始まった裁判の準備の公判前整理手続きでは、わいせつ行為や連れ去りについては認めたものの、「殺害したのは第三者だ」として殺害を否認しました。
そして、去年5月には、わいせつ行為や連れ去りも含めて「一切無関係だ」として全面的に否認しました。
弁護側は2月9日に会見を開き、「殺害を認めたという自白の内容は、遺体や現場の状況などと矛盾していて信用性がなく、台湾で生まれ育ち日本語に不慣れな被告は5か月近く拘束され、威圧的な取り調べによってうその自白に追い込まれた」などと主張しました。
否認に転じたことで、公判前整理手続きは2月25日まで合わせて24回開かれ、起訴から1年半余りたって初公判が開かれることになりました。
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裁判の争点は
NHK NEWS WEB 宇都宮放送局 2016/02月29日 18時06分
今回の裁判では、被告側が全面的に無罪を主張し、検察と真っ向から対立する構図となっています。
【自白の信用性、任意性】。
勝又被告は、いったん殺害について認めたあと否認に転じています。
裁判の最大の争点は、自白の信用性と任意性です。
検察は、勝又被告が「犯人であることを自白し、詳細な事実を述べた」として自白の内容は信用性がとても高いとしています。
有希ちゃんをナイフを使って殺害した際の様子について身ぶりや手ぶりを交えて自発的に詳細に説明している様子の録音録画を今後の裁判の中で示すことにしています。
一方、弁護側は、自白では有希ちゃんが立った状態や姿勢が崩れた状態で刺したとしているのに遺体の傷の向きが全部一緒で不自然だとしたうえで、殺害現場に大量の血液が残されていなかったことや、遺体から勝又被告のDNAが検出されていないことなどをあげて、自白の内容と矛盾すると指摘しています。
そのうえで、長期間、身柄を拘束され、威圧的な取調べを受けて、うその自白を強要されたと主張しています。
【土地勘・Nシステム】。
検察側は、勝又被告が有希ちゃんが連れ去られた現場近くに住んでいたことや、遺体が見つかった茨城県常陸大宮市方面に行っていたことから土地勘があったとしています。
また、Nシステムと呼ばれる自動車のナンバープレートを読み取る機械の記録から、有希ちゃんが連れ去られた翌日の深夜から明け方にかけて、勝又被告が自宅から遺棄現場方面を往復していたと主張しています。
これに対して弁護側は、遺棄現場周辺を通る人は大勢おり、被告はそのうちの一人に過ぎないと主張し、これだけで現場に行ったとするのは乱暴だとしています。
【スタンガン】。
検察は、遺体の首にある傷について、被告が持っていたスタンガンによるものだとしても矛盾せず、スタンガンの箱も押収したと主張していますが、弁護側は、傷は、スタンガンによるものではなく、擦り傷やひっかき傷だと反論しています。
【遺体にネコの毛】。
さらに検察側は、29日、有希ちゃんの遺体に猫の毛が付いていたことを明らかにし、この毛が、勝又被告が飼っていた猫のものと矛盾しないと主張しましたが、弁護側は、両方が同じグループの猫だというだけで、同一の猫とは言えないと反論しました。
【幼女への興味】。
また、検察側が被告のパソコンの分析結果などから幼女や残虐行為への興味があったとして、警察が想定していた犯人像と結び付くと主張したのに対し、弁護側はそういう興味を持つことと殺害とはつながらないと反論しました。
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被告弁護人の話
NHK NEWS WEB 宇都宮放送局 2016/02月29日 18時09分
初公判のあと勝又被告の弁護人の一木明弁護士は「初公判で検察側が用意していた客観的な証拠があの程度でしかないことがよくわかった。今後も客観的証拠があるのかないのかを争点に、しっかりと戦っていきたい」と話していました。
また、勝又被告の様子については、「勝又被告は、認否について確認した時涙をこぼしていた。今まで真実を述べたくても述べられなかった気持ちが抑えきれない感情として表れたのだろう」と話していました。
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次席検事の話
NHK NEWS WEB 宇都宮放送局 2016/02月29日 18時57分
宇都宮地方検察庁の金子達也次席検事は、初公判のあと、報道陣の取材に応じました。
このなかで金子次席検事は、初公判で弁護側が無罪を主張したことについて、「改めて特にコメントすることはなく、きょう冒頭陳述で述べた詳しい証拠の内容については今後順次、法廷内で明らかにする」と述べました。 また、金子次席検事は初公判に、有希ちゃんの父親と祖母が被害者参加制度を使い裁判を傍聴したことを明らかにしました。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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拉致現場で「女児と白い車」=検察側、目撃証言提示—宇都宮地裁
WSJ Japan Real Time 2016 年2月29日20:00 JST 更新
栃木県今市市(現日光市)で2005年12月、小学1年の吉田有希ちゃん=当時(7)=を連れ去り、殺害したとして起訴された勝又拓哉被告(33)の初公判は29日午後も続き、証拠調べなどが行われた。検察側は「連れ去り現場付近で、有希ちゃんと白いセダンを見た」とする郵便局員の目撃証言を明らかにした。
検察側は、当時、勝又被告が使っていた車がこのセダンと同色・同型だとして、有力な状況証拠に挙げている。弁護側は「白いセダンに乗っていた人は何人もおり、検察側の主張は誤りだ」と訴えている。 [時事通信社]
◎上記事は[WSJ Japan Real Time]からの転載・引用です
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検察側、5分以内に失血死と推定
栃木小1女児殺害初公判
2005年12月に起きた栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われた勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判初公判は29日午後も続き、検察側は被害者吉田有希ちゃん=当時(7)=の遺体の胸に12カ所の刺し傷があり、刺されて5分以内に失血死したと推定されると明らかにした。
証拠調べで、遺体の状況を説明した。刺し傷のほか、頭部に粘着テープで巻かれたような痕があったとした。
証人尋問もあり、有希ちゃんが拉致された05年12月1日、被告が訪れたとされる宇都宮市内のレンタルショップ元店長らが出廷した。
【社会・科学】 2016/02/29 20:45
◎上記事は[新潟日報]からの転載・引用です
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◇ 今市市吉田有希ちゃん殺害事件 初公判2016/2/29 勝又拓哉被告人質問3/3~3/16 論告求刑3/22 判決3/31
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◇ 栃木 小1女児〈吉田有希ちゃん〉殺害事件 勝又拓哉被告「取り調べ録画テープ」は物証なしの壁を突き破るか 2015-01-17
◇ 今市 女児殺害事件 勝又拓哉容疑者「吉田有希ちゃんが夢に出てくるから自供したい」/猟奇的なものを押収 2014-06-04
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