福島市 97歳暴走死傷事故「免許返納すべき年齢になっていたが、どこにも行けなくなる」 2023/3/1

2023-03-05 | 高齢 社会

「免許返納すべき年齢になっていたが、どこにも行けなくなる」97歳暴走5人死傷事故裁判 被告が語ったこと【詳報】
  2023/3/1(水) 15:16配信 テレビユー福島

 去年11月、97歳の男が運転する車が歩道に突っ込み、5人が死傷した事故の初公判が2月28日に開かれ、被告の男は起訴内容を認めました。
 裁判で、男は周りから運転をやめるよう促され、自分でも免許を返納するべきと認識していたとする一方「運転をやめるとどこにも行けなくなる」と話しました。

■杖をつきゆっくり入廷 耳遠く、質問聞き返す
 この裁判は、福島市の無職・波汐國芳被告(97)が、去年11月、福島市で車を運転中に歩道を走り、ブレーキと間違えてアクセルを踏み込んで時速60キロまで加速し、歩道を歩いていた女性をはねて死亡させたほか、4人にけがをさせたとして過失運転致死傷の罪に問われているものです。
 28日午後2時から福島地裁で開かれた初公判で、波汐被告は両耳に補聴器をつけ、右手で杖をつきながらゆっくりとした足取りで入廷しました。
 最初に、裁判長から「名前を言ってください」と言われると、数秒間の沈黙の後、波汐被告は「はい?」と聞き返しました。

裁判長「名前を言ってください」
波汐被告「・・・・・はい?」
裁判長「名前を言ってください!」
被告「波汐國芳です」
裁判長「本籍は?」
被告「福島県いわき市・・・」
裁判長「本籍ですよ、福島市ですよね」
被告「はい、福島市・・・」

 検察側は、冒頭陳述で、車両の故障はなく、アクセルとブレーキを踏み間違えたことが事故の原因と主張。また、波汐被告が事故を起こす前から車庫入れの際に車のバンパーをぶつけていて、それを知った娘から運転をやめるように注意されていたことなども指摘しました。
 証人として出廷した波汐被告の娘は、「月に1回ほど父の運転する車に乗り、普段はわからなかったが、車庫入れの際にぶつかりそうになったことで車を運転しないようにと言った」などと証言しました。そして「もっと早く運転をやめさせるべきだった。反省しています。申し訳ありませんでした」と謝罪しました。
 その後、波汐被告の被告人質問が行われ、まず弁護人が質問をしました。

■「本当に愚かなことをした。でも運転しなければどこにも行けない」
【弁護側被告人質問(概要)】
Q.去年11月19日に事故を起こしたのは間違いないですか?
A.はい
Q.歩道の上を走っていたのは覚えていますか?
A.はい
Q.どうしてすぐ止まることができなかったのですか?
A.(数秒間沈黙)できなかったんです。
Q.どうして止まれなかったんですか?
A.それは慌てていたからです。
Q.どうして慌てていたのですか?
A.(数秒間沈黙)無我夢中だったからです。
Q.事故の時、車の前を人が横切ったのは覚えていますか?
A.うーん。はい、覚えています。
Q.どんな人が横切ったのですか?
A.女の人ですね。
Q.その人をはねてしまったのは覚えていますか?
A.夢中でしたから。そういう感じだったと思います。
Q.女の人をはねた後、車にぶつかったのは覚えていますか?
A.はい。
Q.その後車が止まってからどうしたか覚えていますか?
A.覚えていません。
Q.どうしてそんな事故になったとあなたは思いますか?
A.そういう状況の中で夢中になっていたからだと思います。
Q.日頃あなたはどれくらい車に乗っていましたか?
A.食堂に車で食べに行くのが主です。
Q.車の運転をやめるよう言われたことはありますか?
A.あります。娘から言われていました。しょっちゅう接触事故を起こしていたので。
Q.運転をやめることは考えなかったのですか?
A.ほとんど車には乗らなかったんです。近いところで食事に行くとき自宅から5分ぐらいですね。
Q.去年車を買い替えたのはどうしてですか?
A.車屋さんが車を持ってきて、それで車を替えた。前の車はしょっちゅう接触事故を起こして直せなくなったので。
Q.前に乗っていた車を壊しているんだから、近くだとしても運転するのをやめた方がよかったのでは?
A.車の運転をやめてしまうとどこにも行けなくなるんです。
Q.事故を起こしたことはどう思っていますか?
A.本当に愚かなことをした。ものすごく反省している。でも車を運転しなければ食事にもどこにも行けない。近いところへの運転もやめるべきだった。
Q.事故に遭った人についてどう思っていますか?
A.本当に申し訳ないことをしてしまった。

次に、検察側の被告人質問が行われました。
■踏み間違い原因「ブレーキとアクセルが近いところにあるので」
【検察側被告人質問(概要)】
Q.事故の前にお店で食事をしたことを覚えていますか?
A.覚えています。
Q.食事の後、家に帰ろうとして事故を起こしたんですね?
A.はい
Q.どうして歩道に乗り上げたのか理由はわかりますか?
A.それは運転ミス。運転が未熟だったからでしょう。
Q.人とぶつかったことは覚えていますか?
A.覚えています。植樹を倒して慌てていたことを覚えています。
Q.他の車とぶつかったことは覚えていますか?
A.他の車とぶつかったことは覚えていません。
Q.「未熟」とは具体的にどういうことですか?
A.そういう時には止まることを的確にできなかったこととか、ブレーキの代わりにアクセルを踏むとかしてしまったこと。それに慌ててしまったこと。
Q.アクセルとブレーキを踏み間違えた原因は?
A.ブレーキとアクセルが近いところにあるので。それに慌てていたから。
Q.この事故の前に自分の運転が危ないと思ったことは?
A.娘に何度も言われていました。「車をやめるべきだ」と。自分でも運転はやめるべきだと…。
Q.なぜ食事には運転をしていったのですか?
A.近いから。近いところにしか運転しなかった。
Q.近ければ大丈夫だと思っていたのですか?
A.そうは言い切れない。
Q.遺族に書いた謝罪文はどういった気持ちで書いたのですか?
A.本当に申し訳ないと思っていた。(事故後は)外出も禁止でどこにも行くつもりはなかった。ひたすら謝るばかりです。

■「免許返納すべき年齢になっていたが…」
 最後に、裁判長から被告人に質問がありました。
Q.免許の返納は考えなかったのですか?
A.本当は返納をするべき年齢になっていたが、どこにも行けなく食事もできなくなってしまう。いつか返納しなくてはいけないと考えていた。
Q.家で自分で食事を作ったり、宅配を頼んだりすることは考えなかったのですか?
A.自分ではパンを食べるくらい。作っては食べなかった。
Q.外で食事をしなくてもいいようにしようとは考えなかったのですか?
A.はい。
Q.社会的に高齢者運転について問題視されていることはわかっていましたか?
A.わかっていた。
 
次回の裁判は3月15日に行われ、亡くなった女性の夫が意見を陳述する予定です。

【福島市97歳暴走死傷事故】
・去年11月19日 福島市の市道で波汐被告が運転する車が歩道を走行、歩道を歩いていた42歳の女性がはねられ死亡。信号待ちの車にも衝突し、4人が軽傷。波汐被告を過失運転致死の疑いで逮捕。
・去年12月5日 波汐被告を事故現場に立ち会わせ、実況見分。足元はおぼつかず、車を乗り降りする際には、捜査員に支えられていた。
・去年12月9日 波汐被告を過失運転致死傷の罪で起訴。
・去年12月14日 福島地裁が波汐被告の保釈を認める決定。保釈保証金は200万円。16日に保釈。

 最終更新:テレビユー福島

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です


* 82歳男 駐車スペース入れようと車で女性はねる 2年前に免許自主返納 ペダル踏み間違えか 福岡県


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