孤独は山になく、街にある (今週のことば 2022.03.08)

2022-03-08 | 文化 思索

 今週のことば 藤田正勝 

 孤独は山になく、街にある 

 中日新聞 2022.03.08(Tue.)
 昔、学生であったころ、古本屋で三木清の『人生論ノート』をみつけた。そしてそのなかにこの言葉を見つけて、ひどく動かされたことがあった。毎日、大学に行きながら、そして同級生たちと言葉を交わしながら、お互いに心に響く言葉をかけあうことがなかったからかもしれない。そんなとき、この逆説的な言葉が心にしみた。

 三木は「ひとは孤独を逃れるために独居しさえする」と言う。たとえば自然の中に一人身を置くとき、小さな草花や深い木々の緑がひそかに語りかけてくれることがある。それに応えて草花や木々に語りかけることもある。おそらくこのようなつながりが孤独をいやしてくれるのであろう。
 三木のこの逆説的な言葉を目にしたとき、物事は、いつもと違った方向から眺めることによって立体的に、そして豊かに見えてくるのだと感じたことを思い出す。それが哲学を学ぶきっかけになったかもしれない。(哲学者)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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  今週のことば 青山俊董
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* 「Chopinと福永武彦と」

 


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