「僕の父は母を殺した」著者 大山寛人さん 差別、孤立…支えがなければ 2015/11/23、24 福岡市で講演

2015-11-17 | 死刑/重刑/生命犯

「僕の父は母を殺した」著者 大山さん 差別、孤立…支えがなければ 23、24日 福岡市で講演
 2015年11月17日 13時52分
 小学6年のとき母親が死亡し、2年後にその殺人の容疑で逮捕されたのは父親だった。広島市出身の大山寛人さん(27)は23、24日、福岡市内で、自分の半生を振り返る。父への憎しみと周囲の差別から、非行や自殺未遂を繰り返した。そんな自分を救ってくれたのは、身近な大人だったという。事前に同市を訪れた大山さんに、話を聞いた。
 〈父親が逮捕された当時、中学生だった大山さんは非行に走った。児童養護施設に入ったものの、高校を中退して退所。友人宅を転々としたり、公園のトイレで夜を過ごしたりした〉
 「差別やいじめから自分を守るために強がり、押さえきれない父への憎しみが非行を加速させたと思います。一緒にバイクで暴走する仲間は帰る家があるのに、僕が帰るのは公園のトイレ。みんなが普通に持っているものが自分にはなかった。気付けば自殺未遂をしていました。スーパーの試食や万引で腹を満たしたけど、そこで手をつなぐ家族連れを見るだけでつらかったんですよ」
 〈アルバイトの採用面接では数え切れないほど落ちた。就職できても父親の事件を知られて解雇された〉
 「勤め先に『あいつのオヤジ人殺しだよ』と電話が入ってクビになったこともありました。悔しいというか、諦めていました。人殺しの息子はこういう差別を受けるんだ、と」
 〈その中で唯一支えてくれた大人がいた。友人の母親だった〉
 「自殺未遂で病院に運ばれた僕を友人が迎えに来て、その友人の母親が『今日からうちに住みなさい』と言ってくれました。そこで生活が落ち着いたとき、やっと父に会ってみよう、と思うようになったんです」
 〈一審判決後に父と初めて面会。頬はこけて、弱々しくなっていた〉
 「どれだけ後悔しているのか一目で分かりました。そのとき、父への憎しみを終わらせようと思ったんです。このままでは前に進めない、憎しみや他人との比較という負のスパイラルから抜け出せない、と。それから父とは面会や手紙のやりとりを重ねました」
 〈23日に講演するイベントの主催は「ストリート・プロジェクト」(ストプロ、福岡市)。「生きづらさ」を抱えた若者の貧困や孤立を解消し、支える活動をしている。どんな思いで語るのか〉
 「当時の僕が福岡にいて、ストプロを知っていたら、訪ねていたと思います。僕の体験から『生きづらさ』とは何なのか、考えるきっかけにしてほしい。以前は過去を知られてクビになっていたのに、今はさらけ出すことで『強く生きようと思った』などと声を掛けられるのはうれしいです」
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 大山寛人さんの講演は23日午前11時50分から、福岡市南区の同市男女共同参画推進センター「アミカス」で。貧困や孤立状態にある若者を支援する団体「ストリート・プロジェクト」(福岡市)が主催するイベント「第5回ストプロ★フェスタ」(午前11時半~午後4時20分)内で、講演する。イベントでは大山さんのほか、広島市の自宅で子どもに手料理を振る舞う元保護司の中本忠子さんが講演する。
 24日も午後1時半から、福岡市・天神の西日本ビル9階で大山さんの単独講演会がある。いずれも参加無料。事前にストリート・プロジェクトに電話=080(3376)3510、またはメール=stpro2010@gmail.com=で申し込む。
 ▼おおやま・ひろと 風俗店社員、名古屋市在住。中学生だった2002年に、事故死とされていた母親の殺人容疑で父親が逮捕される。11年に父親の死刑が確定。被害者遺族、加害者家族の苦悩や差別の問題を伝え、死刑制度について考えてもらおうと講演活動をしている。13年には「僕の父は母を殺した」(朝日新聞出版)を出版した。
 =2015/11/17付 西日本新聞朝刊=

 ◎上記事は[西日本新聞]からの転載・引用です
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大山寛人×開沼博 対談 ① 僕の父は母を殺して、死刑囚となった 職を転々とし、風俗店にたどり着くまで 
大山寛人×開沼博 対談 ② 被害者遺族であると同時に、加害者の息子という立場 入れ墨に込めた決意
◇ 大山寛人×開沼博 対談 ③ 「死刑で罪は償えない やつれて震える父親と会って生まれた感情の変化」  
大山寛人×開沼博 対談 ④ 発信で激化する嫌がらせ…それでも、死刑制度を考えて貰うために伝え続ける  
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大山寛人さん…残された息子が語る「母を殺した死刑囚の父へ」 2013-08-20  
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