朝日新聞 2009年3月15日23時3分
4月に改定される介護保険料について、全国の自治体の約5割が65歳以上の保険料を引き上げる方針であることが、朝日新聞社の集計で明らかになった。高齢化が進み、財政事情が厳しい小規模自治体での引き上げが目立つ。一方、約3割の自治体は引き下げの方向だ。
人手不足が深刻な介護現場の処遇改善を目指して、国は新年度から介護報酬を3%上げる。高齢化に伴い介護保険サービスの利用者も増えており、保険財政を支える保険料の引き上げは避けられない状況。引き下げる方針の自治体は、これまでに余った保険料を積み立てた基金を取り崩すなどして高齢者の負担増を抑える。
今年2月、全国1804市区町村に保険料の改定方針をアンケートし、1180自治体分の回答を得た。介護保険料は3年に1度改定される。今回の改定で、09~11年度の保険料が決まる。全体の保険料(基準額)の単純平均は、現在は月額3929円。09年度は4030円、10年度4042円、11年度4055円とアップする。
09年度に引き上げるのは51%。最終年度の11年度でみると、165自治体で現在より保険料が500円以上アップし、35自治体では保険料が25%以上引き上げられる見通しだ。
引き下げるのは28%で、21%は据え置きの方針。ただ、09年度に引き下げた後に、10年度に引き上げに転じるところもある。
保険料改定は、議会の同意を経て正式に決まるため、今後、変わる可能性もある。
保険料の引き上げ幅が大きいのは、福岡県の山間地にある赤村。月額4966円が、1309円引き上げられて6275円に。全国で最も高水準の保険料となる。06~07年度の介護保険サービスの費用が過去の水準より1人当たり7万~8万円上回り、利用者数もふくらんだためだ。
高齢化率45.0%の長野県栄村は、1250円アップの3650円。現在の1.5倍で、上昇率が最も高い。
介護保険は原則、市区町村ごとに運営する。介護サービスの利用が増えると、財源の保険料水準も上がる。人口が少ないほど、1人当たりの保険料負担が重くなる。「小規模自治体では、数人のサービス利用が増えるだけで、保険料にすぐはねかえる」(滋賀県の町)という。アンケートで国への要望を聞いたところ、運営主体を都道府県単位など規模を大きくし、保険財政の安定を図る必要性を指摘する声が相次いだ。
介護事業者に支払う介護報酬の3%アップを決めた国は、保険料負担を軽減するため、臨時交付金1154億円を拠出する。(友野賀世、中村靖三郎)
4月に改定される介護保険料について、全国の自治体の約5割が65歳以上の保険料を引き上げる方針であることが、朝日新聞社の集計で明らかになった。高齢化が進み、財政事情が厳しい小規模自治体での引き上げが目立つ。一方、約3割の自治体は引き下げの方向だ。
人手不足が深刻な介護現場の処遇改善を目指して、国は新年度から介護報酬を3%上げる。高齢化に伴い介護保険サービスの利用者も増えており、保険財政を支える保険料の引き上げは避けられない状況。引き下げる方針の自治体は、これまでに余った保険料を積み立てた基金を取り崩すなどして高齢者の負担増を抑える。
今年2月、全国1804市区町村に保険料の改定方針をアンケートし、1180自治体分の回答を得た。介護保険料は3年に1度改定される。今回の改定で、09~11年度の保険料が決まる。全体の保険料(基準額)の単純平均は、現在は月額3929円。09年度は4030円、10年度4042円、11年度4055円とアップする。
09年度に引き上げるのは51%。最終年度の11年度でみると、165自治体で現在より保険料が500円以上アップし、35自治体では保険料が25%以上引き上げられる見通しだ。
引き下げるのは28%で、21%は据え置きの方針。ただ、09年度に引き下げた後に、10年度に引き上げに転じるところもある。
保険料改定は、議会の同意を経て正式に決まるため、今後、変わる可能性もある。
保険料の引き上げ幅が大きいのは、福岡県の山間地にある赤村。月額4966円が、1309円引き上げられて6275円に。全国で最も高水準の保険料となる。06~07年度の介護保険サービスの費用が過去の水準より1人当たり7万~8万円上回り、利用者数もふくらんだためだ。
高齢化率45.0%の長野県栄村は、1250円アップの3650円。現在の1.5倍で、上昇率が最も高い。
介護保険は原則、市区町村ごとに運営する。介護サービスの利用が増えると、財源の保険料水準も上がる。人口が少ないほど、1人当たりの保険料負担が重くなる。「小規模自治体では、数人のサービス利用が増えるだけで、保険料にすぐはねかえる」(滋賀県の町)という。アンケートで国への要望を聞いたところ、運営主体を都道府県単位など規模を大きくし、保険財政の安定を図る必要性を指摘する声が相次いだ。
介護事業者に支払う介護報酬の3%アップを決めた国は、保険料負担を軽減するため、臨時交付金1154億円を拠出する。(友野賀世、中村靖三郎)