被害者参加制度 富田林ひき逃げ事件の遺族、2審も参加申し出へ

2009-08-26 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴

被害者参加制度 富田林ひき逃げ事件の遺族、2審も参加申し出へ
産経ニュース2009.8.26 21:37
  大阪府富田林市で平成19年に起きた死亡ひき逃げ事件で、自動車運転過失致死罪に問われた建設作業員、市瀬篤史被告(35)の控訴審に、被害者の遺族が1審に続いて「被害者参加制度」の適用を申し出る。1審では実刑を切望する意見を述べたが、大阪地裁が執行猶予付き判決を言い渡し、大阪地検が控訴した。大阪高裁が参加を認めれば異例で、遺族は「思いをくみ取って判決を変更してほしい」と話している。
 申し出るのは、死亡した長野勝成さん=当時(42)=の妻、ちえみさん(32)と姉、多村美紀さん(45)。1審では被害者代理人の弁護士とともに検察官席に座り、「逮捕されなければ一生逃げるつもりだったのですか」と市瀬被告に直接質問して思いをぶつけた。
 今年6月の判決は懲役2年6月の求刑に対し、懲役2年6月、執行猶予4年。多村さんは判決宣告直後、気持ちの整理がつかず、検察側から控訴や被害者参加の意向を尋ねられても即答できなかったという。しかし、「せめて1年でも実刑にしてほしかった」と母親が涙したことで、2審での被害者参加を申し出る決意を固めた。
 控訴審での適用は、6月に東京高裁で開かれた自動車運転過失致死事件の公判がある程度。仮に大阪高裁で参加が認められても、再び被告人質問や意見陳述ができるかは分からないという。それでも多村さんは、市瀬被告が飲酒運転の発覚を恐れて逃げたことから、“逃げ得”を許さないよう再度、実刑を求める。
 多村さんは「1審判決には納得いかなかったが、被害者として参加したことに意義はあったと思う。遺族に配慮するという制度の趣旨を生かし、他の犯罪被害者を勇気づけるためにも、大阪高裁には私たちの思いを受け止めてほしい」と話している。
 被害者参加制度は昨年12月に導入。故意に人を死傷させた罪や性犯罪などが対象で、多くは裁判員裁判の対象とも重なる。参加を希望する被害者は増加傾向にあるが、必ずしも量刑に影響を与えられるとは限らず、発言内容や時間が制約されるなどの課題も残る。
 最高検によると、5月末までの半年間で224事件の被害者350人が参加を申し出。うち134事件の210人が公判に出廷し、74人が意見陳述した。
 最高検は「判決の内容は以前と比べて被害者感情に触れるケースが目立っており、被害者への配慮は進んでいる」と分析する。
 一方で被害者とともに参加する弁護士からは公判前整理手続きに出席できないことが制約になっているという意見のほか、逆に、被告を弁護する立場の弁護士の間では裁判員裁判で裁判員に与える予断を懸念する声も根強くある。

富田林市の死亡ひき逃げ事件
 今年6月26日の1審大阪地裁判決によると、平成19年12月22日午後11時20分ごろ、市瀬篤史被告が対向車に気を奪われ、制限速度を上回る約40キロで車を運転、路上で横になっていた長野勝成さんをひいて死亡させた。検察側と遺族は、被告が(1)飲酒運転で注意力が鈍っていた(2)現場から逃走し約2カ月名乗り出なかった-と主張したが、地裁は量刑事情にあたらないとした


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