<沖縄返還密約>吉野元局長陳述を証拠採用 情報公開訴訟
8月25日21時46分配信 毎日新聞
沖縄返還(72年)を巡る日米交渉の密約文書の開示を求めた情報公開訴訟で、東京地裁(杉原則彦裁判長)は25日、米政府が保管していた密約文書の写しが日本側にもあったことを証言した日本側担当者の吉野文六・元外務省アメリカ局長の陳述書を証拠採用した。
原告の我部政明琉球大教授(国際政治)らが求めているのは、米国が本来、負担するべき旧軍用地の原状回復費を日本が肩代わりする密約の内容を示す3件の外交文書など。このうち米公文書館が00年に開示した文書(英文)には、吉野氏自身が署名した自分のイニシャル「BY」の記載があり、吉野氏は陳述書の中で署名の経緯について「外務省本省の局長室で署名した。写しはとったと思う。米が自国の議会を通すために必要(な文書)だった。日本では不要なので日本語版は作成していない」と日本政府側にも米公文書の写しが存在したことを初めて明かした。また「その後、写しをどのように保管したのかは分からない」と述べた。
東京地裁はこの日、吉野氏と、米公文書を入手した我部教授の2人を12月1日に証人尋問することを決めた。民事訴訟法は職務上の秘密に関する証言を元公務員に求める際にも監督官庁に承認を得ることを定めていることから近く手続きを取る方針だ。【臺宏士】
..............................
吉野文六氏出廷へ、12月に証人尋問 沖縄密約開示訴訟
8月26日10時25分配信 琉球新報
【東京】沖縄返還に際し、米軍基地跡地の原状回復費用などの経費を日本側が負担するとした日米間の「密約」文書の開示を求め、県内外の学者やジャーナリストら25人が国を相手に提訴した沖縄密約情報開示訴訟の第2回口頭弁論が25日、東京地裁で開かれた。杉原則彦裁判長は当時、密約作成にかかわったとされる外務省の吉野文六アメリカ局長(当時)(91)の証人尋問を12月1日に行う方針を決めた。原告の一人であり密約に関する日本側資金の流れを研究する我部政明琉球大学教授の本人尋問も同日行う。第3回口頭弁論は10月27日に行われる。
原告側は25日、吉野文六氏の陳述書を証拠として提出した。陳述書で吉野氏は(1)米軍基地跡地の原状回復費用を日本が負担する(2)ラジオ放送局ボイスオブアメリカ(VOA)移転費用を日本が負担する―とした密約文書それぞれに自身が署名したことを認めた。
被告の国は、外務省内で沖縄返還交渉に関する行政文書ファイル308冊を特定したとした上で「(密約文書)そのもの自体またはそれに関連する文書、対象文書を取得、破棄または移管した記録のいずれの文書も発見し得なかった」と主張。米国立公文書館に密約文書が存在することについては「沖縄返還交渉過程の途中において米国側によって何らかの記録や備忘録的な文書として作成されたものと理解する」と主張し、米国側が一方的に作成したメモであると強調した。
元公務員である吉野氏の証人出廷には、民事訴訟法第191条の規定により監督官庁である外務省の承認が必要。杉原裁判長は「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、(監督官庁は)承認を拒むことができない。外相の承認を得られるのではないかと期待している」と述べた。
杉原裁判長は被告の主張に対し「一般論であり不十分」との認識を示し、「発見された308冊の中に含まれるべきものですでに廃棄されたものはあるのか」など質問し、次回までに回答するよう求めた。 .最終更新:8月26日10時25分
http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/1b54b84451797b078d651a767c4f64e3