西川公也氏の著書『TPPの真実』巡り国会中断 Amazonからは削除
The Huffington Post|執筆者:吉野太一郎
投稿日: 2016年04月08日 12時15分 JST 更新: 2016年04月08日 12時24分 JST
衆院TPP(環太平洋経済連携協定)特別委員会の西川公也委員長(自民)が、TPP交渉について出版予定の著書に、外交上の守秘義務は含まれるのか。この点を巡って、国会が混乱している。
4月8日の同委員会は、西川氏が近く出版予定の『TPPの真実-壮大な協定をまとめあげた男たち』(中央公論新社)を巡って与野党が激しく対立した。
民進党の緒方林太郎氏は、この書籍のゲラ刷りとする資料を示し、政府のTPP対策本部職員が情報提供などをしたのかと質問したが、石原伸晃・TPP担当相は「ゲラ刷りかどうか確認できない」「資料を認識していないので答弁は差し控える」などと繰り返し答弁。反発した民進党の委員が途中退席した。午前10時過ぎに西川委員長が休憩を宣言し、審議は中断している。
7日の委員会では、玉木雄一郎氏(民進)の質問に、西川委員長は「答える立場にない」と応じず、安倍晋三首相も「いま初めて知った」と答弁するなど、与党側に混乱がみられた。
発端は、野党側が求めた政府のTPP交渉資料を、5日に自民党側がすべて黒塗りで国会に提出したこと。自民党側は「公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない」(佐藤勉・国会対策委員長)と、守秘義務をたてに開示を拒否したが、紀伊國屋書店ウェブストアによると、西川氏の本は「未曾有の多国間交渉での自国の将来をかけた駆け引き。自民党TPP対策委員長として最前線に立った著者が、その熾烈な内幕を明かす!」とされている。野党側は守秘義務違反に当たらないのであれば「同レベルの情報を国会議員にも出して欲しい」と求めていた。
この本は、amazonからはリンクが削除された。紀伊國屋書店ウェブストアやhontoには残っているが、どちらも予約受付は終了している。ハフポスト日本版は中央公論新社に事実関係を確認しており、回答を待っている。
西川氏は第2次安倍政権で自民党のTPP対策委員長、2014年9月からは農水相を務めた。TPP交渉の内幕を知る立場にあったが、自身の政党支部が国の補助金を受けた企業などから献金を受けていたことが発覚し、2015年2月に辞任していた。
◎上記事は[The Huffington Post]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
西川氏不信任動議も視野=自著問題で攻勢、与党は擁護-民進
衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会の西川公也委員長(自民)が出版予定だった自著をめぐる問題で、野党が攻勢を強めている。民進党は西川委員長の不信任動議提出も視野に攻勢を強める方針。これに対し、自民党は「法的な瑕疵(かし)はなく、ゲラの出所は不明だ」として西川氏を擁護しているが、月内の衆院通過を目指しているTPP承認案審議への影響は必至だ。
「秘密保護の義務に違反する職員がもし出てきたら、閣僚は責任を取れるのか」。民進党の緒方林太郎氏は委員会で、政府が交渉記録を黒塗りで開示したにもかかわらず、西川氏には情報提供しているのではないかと攻め立てた。
緒方氏は、インターネット通販大手「アマゾン」のサイトで西川氏が出版予定だった著書「TPPの真実」(中央公論新社)の予約画面が削除されたとして、「消えた真実ではないか。隠蔽(いんぺい)だ」と指摘。西川氏は「委員長は答弁する立場ではない」と述べ、著書に関する一切の質問に応じなかった。
民進党が入手した本のゲラ刷りによると、「交渉妥結にはまず米国と合意することが重要。譲歩を引き出す手段として米国の嫌がることをしなければならなかった」と記載。「牛肉は、米国より国際競争力があるオーストラリアから輸入する姿勢を見せたりした」などと日本側の戦略を明らかにしている。西川氏はこのゲラを自身が書いたものかは公に認めていない。
民進党は委員会終了後、国会内でTPP交渉過程解明チームの緊急会合を開催。西川氏が出版しない意向を示したことに関連し、「権力が出版を取りやめさせるとしたら暗黒社会だ」と気勢を上げ、今後も追及する方針を確認した。
一方、自民党は、野党の姿勢を「選挙向けのパフォーマンスに明け暮れている」(高村正彦副総裁)と批判し、来週以降も審議を進める方針だ。
党農林族の実力者である西川氏はTPP交渉に深くかかわり、その論功行賞で農林相に就任したが、昨年2月、政治とカネの問題で引責辞任した。政府内からは西川氏の著書に関し「交渉の内幕を書いているので問題だ」との声も漏れている。(2016/04/08-21:12)
◎上記事は[時事ドットコム]からの転載・引用です
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
TPP国会審議の最終爆弾!? 官邸が危惧する“西川暴露本”
週刊文春WEB 2016.04.07 12:02
2016年度予算が成立し、国会の次なる焦点は、環太平洋連携協定(TPP)に移った。民進党は3月末にTPP交渉の過程を検証する特命チームを立ち上げ、徹底追及する構えだ。
「甘利明前TPP担当相は睡眠障害で療養中、政府対策本部の鶴岡公二首席交渉官は駐英大使に転出予定で、TPP交渉の2トップが不在という異常事態です」(政治部記者)
民進党は、日米間の交渉過程が書かれた記録の開示を政府に求めている。
「政府が文書を公表しないとしていることから、野党は、交渉当事者だった甘利氏らの参考人招致を求めています。また、甘利氏の後任の石原伸晃氏、経産相の林幹雄氏は交渉経緯を知らず、答弁能力が不安視されています」(同前)
さらにもう1人、野党の標的になりそうなのが、TPPを審議する衆院特別委員会の委員長に就任した西川公也元農水相(73)だ。
西川氏は昨年2月、自身が代表を務める自民党支部が、砂糖メーカーの関連企業から100万円の献金を受けた問題などを追及され、農水相を引責辞任した過去がある。現在は、党農林水産戦略調査会長として小泉進次郎農林部会長を指南する農林族の“ドン”だが、新たな“爆弾”を抱えているという。
「西川氏が出版する著書『TPPの真実』に、政府が『公表しない』とした交渉の経緯が事細かに書かれているそうなのです。野党にとっては追及のネタ本として喉から手が出るほどの代物。2月ごろから各議員が発売前のゲラがないか、必死に探し回っていました」(民進党関係者)
その著書は、西川氏が懇意にしている読売新聞社の関係者が関与し、同子会社の中央公論新社から4月に出版される予定だった。
すでにネット書店では予約が始まっており、
〈自民党TPP対策委員長として最前線に立った著者が、その熾烈な内幕を明かす〉
と、謳われている。
出版関係者が明かす。
「西川氏は4月15日に行われる政治資金パーティーで参加者に配るつもりで意気込んでいました。ところが、官邸はTPP審議への影響を警戒し、土壇場でストップをかけた。西川氏側は納得のいかない様子でしたが、結局はTPP承認案の衆院通過まで発売が持ち越しとなりました」
衆院の審議中に出版されていればベストセラーだったかも。
文「週刊文春」編集部
◎上記事は[週刊文春 WEB]からの転載・引用です
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◇ 国民に知らされないTPPという悲劇/前原氏が暴露した事前交渉の一端/守秘義務をかけた交渉
..........