米 議会対立で政府機関の一部で閉鎖続く
NHK NEWS WEB 10月2日 12時1分
当面の行政活動に必要な予算案を成立させられず、政府機関の一部閉鎖が始まったアメリカでは、依然として与野党が対立し、事態打開のめどは立っておらず、2日も数十万人規模の職員の自宅待機や国立公園の閉鎖などが続くことになります。
アメリカ議会は、野党・共和党が当面の予算案にオバマ政権が推進する医療保険制度改革の延期を盛り込むよう主張して、与党・民主党と対立を続け、予算案を成立させることができていません。
このため、1日からおよそ18年ぶりとなる政府機関の一部閉鎖が始まり、連邦政府の職員は数十万人規模で自宅待機となったうえ、全米各地の博物館や国立公園などが閉鎖されました。
記者会見したオバマ大統領は「共和党は医療保険制度改革を否定する政治キャンペーンのために政府を閉鎖した」と述べ、共和党を強く批判し、「長引けば影響はより深刻になる。共和党は速やかに政府機関の再開に動くべきだ」と求めました。
一方、1日、審議を再開した議会では、野党が多数を占める下院で、閉鎖に対する批判が強い国立公園の運営費などに限って部分的な予算案をまず可決させようとする新たな動きはあったものの、依然として与野党が対立していて、事態打開のめどは立っておらず、2日も政府機関の閉鎖が続くことになります。
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共和党に倍返しだ-オバマ氏の戦略はクリントン元大統領流
10月1日(ブルームバーグ):更新日時: 2013/10/02 08:06 JST
米政府機関の閉鎖をめぐりオバマ大統領と共和党議員の間で責任のなすり合いが繰り広げられる中、オバマ政権の高官の一部が用いているやり方は過去に実践済みのものだ。前回の政府機関閉鎖時に、この戦術が活躍した。
ルー財務長官やバーウェル行政管理予算局(OMB)局長を含むオバマ政権の高官5人は、1995-96年の前回の政府機関閉鎖の際にクリントン政権の中心的な人物だった。当時は共和党が過半数を占める下院と民主党のクリントン政権が対立、結果はアピール作戦の失策で共和党が敗北を喫した。
そして今、オバマ大統領はクリントン元大統領がやったのと同様に、共和党議員を米経済の将来を脅かしてでも政治的ポイント稼ぎを図るゲリラ戦闘員に仕立て上げようとしている。
クリントン元大統領は95年当時、「常識よりもイデオロギーを優先している」と共和党をたしなめた。一方オバマ大統領も1日、経済全体を脅かす「イデオロギー十字軍」の闘いを繰り広げていると下院共和党を批判した。
オバマ大統領は「議会の一院における一政党の一派が、政府の重要部分を閉鎖させた。これはひとえに彼らが1つの法律を好まなかったためだ」と指摘。「共和党による政府機関閉鎖だ」と述べ、行き詰まりの責任の所在の明確化を図った。
パネッタ前国防長官は「オバマ大統領のメッセージには確実に、クリントン元大統領からの影響が見られる」と述べた。クリントン政権下での政府機関閉鎖の際、大統領の首席補佐官を務めたパネッタ氏は「手痛い経験から教訓を得た」と付け加えた。
*支持率
クリントン政権時の高官で、現在もオバマ政権のアドバイザーを務めるのはスパーリング国家経済会議(NEC)委員長、バイデン副大統領の首席補佐官のブルース・リード氏らがいる。
ホワイトハウスの複数の当局者によればオバマ大統領は今週、政府機関閉鎖に伴う具体的な被害について、さまざまな機会を利用して説明する考えだ。ただゴールデンタイムに演説を行う予定はないという。
両大統領とも自身の支持率が伸び悩み、外交政策からゴルフに費やす時間まで、あらゆる事象に共和党が絶え間なく難くせを付けてくる状況でこうしたメッセージを発している。
ブルームバーグが9月に実施した全米世論調査によれば、オバマ大統領の支持率は45%、不支持が49%だった。またギャラップ調査によれば、前回の政府機関閉鎖の直前となる95年10月時点でのクリントン大統領の支持率は46%だった。
*ホワイトハウスも驚いた勝利
パブリック・ストラテジーズ・ワシントンのコミュニケーション・コンサルタントで、クリントン元大統領の報道官を務めたマイク・マカリー氏は、90年代の政府機関閉鎖が政治的にどのような意味合いを持つのか誰にも分からなかった、と当時を振り返る。
同氏は「クリントン大統領にとっての政治的な勝利になったと分かると、ホワイトハウス内の一部では若干驚きが広がった」と述べた。
世論は最終的にクリントン大統領に味方し、96年3月には支持率は54%に達した。そしてその年の11月、クリントン氏は大統領選で再選を果たした。
ホワイトハウス当局者は今回も世論調査の数字に注目しており、前回と同様の結果を期待している。9月30日に発表されたCNNとORCによる調査では、暫定予算をめぐる対立で駄々をこねているのは議会共和党だとの回答が69%、共和党の方が政府機関閉鎖の責任は大きいとの意見は46%に上った。一方、オバマ大統領が駄々をこねているとの回答は47%だった。調査は9月27-29日に実施され、誤差率はプラス・マイナス3.5ポイント。 *「異なる状況」
カーニー米大統領報道官は30日に記者団に対し、95-96年の出来事を「ここにいる多くの人々が記憶している。だが、今回は明らかに異なる状況だ」と述べた。
大統領側近によると、今回の方がはるかに危険な状況だという。前回の争点はメディケア(高齢者向け医療保険制度)関連支出で、財政均衡を目指す方法に関するより広範な超党派の協議の中での対立だった。当時のクリントン大統領は毎日のように議会を批判しながらも、共和党のギングリッチ下院議長やドール上院院内総務との協議に深く関与していた。
一方、今回の対立はオバマ大統領が達成した代表的法律の1つである医療保険改革法をめぐり共和党が資金打ち切りや実施延期を迫り、暫定予算の成立を妨げている構図で、ホワイトハウスと共和党の間では舞台裏の交渉も含めて実質的な協議は見られない。ホワイトハウス当局者によると、オバマ大統領とベイナー下院議長は30日夜に数日ぶりに10分間話し合ったという。
*次の戦い
次の大きな争点になるのは債務上限の引き上げ問題だ。連邦政府の債務上限は10月17日に16兆7000億ドルに達する見通しで、議会の行動がなければ政府は支払いを行えず、デフォルトの引き金になる恐れがある。
ブラックロックのマネジングディレクター、リック・リーダー氏は9月30日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「デフォルトの方向に進むとは考えられていない」と述べ、「かつて見た光景だ」と指摘。 その上で、経済がなおリセッション(景気後退)からの回復途上にあることを考慮すると、政府機関閉鎖による経済的影響は95-96年よりもはるかに深刻になるかもしれないと予想。閉鎖により消費者信頼感が揺らぎ、企業の設備投資が抑制され、最終的に雇用に悪影響が及ぶ恐れがあると述べた。
パネッタ前国防長官は「戦争のようなものだ。忘れっぽい人々は少し威嚇的になって、支払わねばならない代償があることを忘れがちだ」と語った。
原題:Obama in Shutdown Politics Channels Clinton Who Scored Win(1)(抜粋)
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米連邦政府機関が17年ぶりに閉鎖―予算協議まとまらず
2013年10月01日13:49 JST
【ワシントン】 米ホワイトハウスは30日深夜、連邦政府機関に対し、一部業務を閉鎖する計画を実行に移すよう指示した。米国の政府機関が閉鎖されるのは1996年以来、17年ぶり。
米議会では30日夜、予算案を巡り土壇場の協議が続けられていたが、民主党が多数を占める上院は、オバマケア(医療改革法案)の修正を盛り込んだ下院の提案を否決。公共サービスを継続するために必要な予算案が成立せず、一部政府機関の閉鎖に追い込まれる事態となった。
行政管理予算局(OMB)のバーウェル局長は、30日午後11時46分に連邦政府機関向けに文書でメッセージを出し、「残念ながら、日付が変わるまでに大統領が予算継続決議に署名できるよう議会が行動することを示す明確な兆しが表れなかった」とした上で、「予算がないため、政府機関は秩序正しく閉鎖する計画を実行する必要がある。われわれは議会に対し、短期的なつなぎとなる継続予算決議を迅速に成立させるよう求める」と述べた。
その結果、1日から多くの国立公園などが閉鎖され、80万人近くの職員が一時帰休に入ることになる。停止されるサービスの全容は明らかになっていないが、軍事部門や郵便など多くのサービスは継続される見通し。
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アメリカ2014年度予算 合意しない場合、政府機関の一部休業も
2014年度の予算をめぐって大紛糾しているアメリカ議会は、民主・共和両党が合意に達しなかった場合、1日午前0時(日本時間1日午後1時)から、政府機関の一部が休業に追い込まれる事態になる可能性がある。
一部の政府機関の閉鎖が始まるまで、残すところ7時間となり、オバマ大統領は、緊急で会見し、政府機関の閉鎖を回避するため、議会に予算を成立させるよう、あらためて求めるものとみられる。
民主・共和両党の争点は、「オバマケア」と呼ばれる、国民に健康保険を義務づけるオバマ大統領肝いりの政策についてとなっている。
下院で多数を占める共和党は、オバマケアへの予算割り当てを、1年間先延ばしする予算案を可決し、上院に送った。
しかし、逆に民主党が多数を占める上院は、9月30日午後、この下院の案を否決した。
オバマケアへの予算づけを再び下院が認めず、予算が決まらなかった場合、1日午前0時から、一部の政府機関が閉鎖となる、17年ぶりの事態となる。
また、この混乱を受けて、ニューヨークの株式市場は、120ドル余り値を下げて取引を終えている。
(10/01 06:27)
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◇ 『帝国の終焉 「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ』日高義樹著 2012/2/13第1刷発行
p192 第5章 オバマはアメリカをイギリスにする
p200~ 第2部 アメリカは財政赤字で分裂する
オバマ大統領は福祉費を減らそうとは考えてはいない。金持ち階級に対する増税を主張し、階級闘争を煽っていると非難されているが、保守派がつくっているティーパーティーはどんな形にせよ増税には反対で、赤字を減らすためには福祉費を切れ、と要求している。アメリカはこの2つのグループの対立がやむ様子はなく、ひどくなるばかりである。
アメリカが国家として存在していくためには、歯止めのきかなくなった財政赤字の増加を食い止めるための方法をどうしても見つけ出す必要がある。まず考えられるのは、福祉費や社会保障費の増大を食い止め、軍事費をこれ以上増やさないと同時に、何はともあれ、国家の収入を増やすことである。
p201~
オバマ大統領が増税とは言わず「国家の収入を増やす」と言っているのは、オバマ大統領の得意とするレトリックで、意味するところは増税である。
アメリカでは50%の人が税金を全く払っていない。しかも、その税金のほとんどを20%、つまり10人に2人が払っている。富裕層に対するオバマ大統領の増税政策に対して共和党が反対しているのは、これ以上金持ちに増税をすれば、その差がもっと大きくなると腹を立てているからだ。
金持ちに対する増税とは、金持ちからお金を取り上げて、働かない人にお金を与えることを意味している。アメリカに移民してくる人人々は、そういったアメリカの仕組みの恩恵にあずかろうとしてやってくる。
ほとんどがリベラルなアメリカのマスコミは、ほとんどが共和党を批判し、オバマ大統領を支持している。
「国民の多くは、豊かな人に増税をしろというオバマ大統領を支持している。社会保障費を減らせという共和党に批判的だ」
アメリカの新聞は世論調査を使って、こう主張している。だが、世論調査の結果がオバマ大統領支持になるのは当然といえる。
つまり45%の人はお金をもらうことに賛成しているが、ほとんどが税金を払っていない人々である。こういったアメリカのマスコミの報道は、アメリカでの民主主義に大きな歪みがあることを示している。
「お金が欲しいという貧しい人々は、お金をタダでくれる政治家を支持する。アメリカの国がどうなろうとも、楽な暮らしができればいいと思っている」
『ウィークリー・スタンダード』のフレッド・バーンズ編集長はこう指摘しているが、オバマ大統領が社会主義的な福祉政策を推し進めた結果、アメリカでは、働かないで国からもらうお金で食べる人が増え続けている。そういった人々が、タダで食べさせてくれる政治家に投票するのは当然である。民主主義では、多数が事を決める。したがって大衆の欲するように政治が行われる。民主主義、すなわち衆愚政治といわれるゆえんである。
p202~
タダで食べさせてくれる政治家に投票する人々は、国家の将来や、産業問題、安全保障などについては考えない。ここから「民主主義は国家のためにならない」として民主主義を否定する、中国共産党の思考様式が生まれてくる。そして先進諸国は、民主主義のもたらす衆愚政治を避けることができるか、という大きな疑問に直面している。
ヨーロッパはいま重大な経済危機に瀕しているが、ヨーロッパは、アメリカよりも手厚い福祉政策をとり、国民を完全に甘やかしてしまった。
p203~
ギリシャでは、定年退職したあとも給料とほとんど同じ額、つまり100%の年金をもらえるシステムや医療費を全く払わずに済むシステムが確立している。したがって、この特権が奪われそうになれば、国民は暴動を起こし、首相を追い出してしまう。
p206~
もともとアメリカはキリスト教の国である。だが自由、平等、民主を国是にする国でもある。したがってキリスト教に対立的な回教も、平等の考え方から受け入れている。だがそれにしても、回教徒を軍人に採用して、中東で戦わせたのは、思慮に欠けるやり方だった。第2次世界大戦でアメリカ政府は、日系アメリカ人兵士を太平洋ではなく、ヨーロッパに送ってドイツと戦わせた。
p207~
日本にも、アメリカ的な自由、平等といった考え方に共感する人は大勢いる。だがその共感が世界国家主義につながっているケースが多い。国境がなくなり世界が一つになれば、人間はもっと幸福になるという考え方である。だがすでに述べたように、人類のDNAが突然変異を起こさないかぎり、世界国家が実現することはない。
人と人との対立は人間の自然のあり方なのである。人は己の利益を守ろうとして対立する。思想や宗教で対立する。ハッサム中佐は、アメリカという国に、同じ回教徒である人々に銃を向けろと命令されたことに反発し、悩んだ末に回教徒ではない人々に銃を向け殺傷した。
アメリカだけではなく、世界のあらゆる場所で人種や宗教からくる対立が起きている。つまりアメリカだけの問題ではない。人間そのものの問題なのである。簡単に言ってしまえば、理念や考え方、宗教が異なる人々が、一緒の行動をとることは非常に難しいということである。だからといって一人ひとりが勝手な行動をとり続ければ、アナーキー、無政府状態の混乱に陥る。人を国に置き換えれば、世界国家というものがいかに現実離れした考えかがよく分かる。
p208~
国が真二つに分裂して混乱に陥っているアメリカは、自由、平等という建国の父たちの理想を受け継いでいくことができるのか。(略)
情報化と国際化が拡大する新しい状況の中で、アメリカは235年前に歴史が始まって以来の危機に陥っている。このアメリカの危機は、ある意味では人類全体の危機でもある。
p225 第5部 アメリカが社会主義国家になる
p228~
オバマ大統領の新しい国民健康保険制度は、オバマ大統領が推進している社会主義的な政策の象徴である。アメリカは、もともとがチャンスの国といわれ、成功した人々が途方もない報酬を手にすることができる。機会は平等だが、結果は平等でないのがアメリカという国なのである。
p229~
アメリカ政府の統計によると、アメリカ人が支払っている2兆㌦の税金のうち、半分に近い41%を1%のアメリカ人、つまり300万人が支払っている。そしてその300万人の人々は、アメリカの国民総生産のほぼ5分の1、1兆㌦を稼ぎ出している。日本のGDPは5兆㌦あまりといわれているが、ほぼそれに匹敵する国民総生産を300万人のアメリカ人がつくりだしているのである。
すでに述べたように、アメリカ人の半分近くの人は税金を払わず、アメリカ政府から生活保護費、医療費、それに食糧クーポンまでもらっているのである。
「これはまさに社会主義」
『ウィークリー・スタンダード』のノミエ・エネディ記者はこう述べているが、こうした状況が、アメリカを窮地に追い込んでいるのである。
p230~
アメリカ人の3分の1にのぼるヒスパニックやアフリカ系のアメリカ人が全てではないが、その多くが「アメリカに行けば、ただで国が養ってくれる」と考えて、アメリカにやってきた人々である。オバマ大統領が推し進めている福祉拡大政策は、民主党特有のものであると同時に、三つ目のアメリカを構成している人々の考え方を反映しているのである。
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