安倍首相単独インタビュー「内閣改造、骨格は維持 安保法成立で地域の平和、安定に貢献」2015/9/19

2015-09-21 | 政治

2015.9.21 10:00更新
【安倍首相単独インタビュー・詳報】「内閣改造、骨格は維持」「安保法成立で地域の平和、安定に貢献」
 安倍晋三首相は19日、産経新聞の単独インタビューに応じ、安全保障関連法の成立が日米同盟の強化につながるとした上で「地域の平和と安定を維持する力も『1+1=2』になる」と強調した。10月上旬に予定する内閣改造・自民党役員人事に関しては「経済、外交に全力で取り組むため、大きな骨格は維持する」と語った。インタビューの詳細は以下の通り。
    ◇ 
--安全保障関連法は首相が第1次政権から取り組み、外交評論家の故岡崎久彦さん、前法制局長官の故小松一郎さんらも尽力された。19日未明に成立したとき、どのような思いが去来したか
安倍首相「小松前法制局長官、岡崎元駐タイ大使も一命を賭して法制のために尽くしてくれた。それだけ、日本の安全にとって意義のある法制だと思っている。私の責任は大きいと思っていたが、何とか成立することができてよかったと思う」
--産経新聞とFNNの世論調査で、半数が安保法制は必要だとする一方、今国会の成立は慎重な人が多い。「憲法違反」「徴兵制」といったレッテル貼りが横行し、この影響が大きかったという思いでは
安倍首相「そうですね、特に憲法違反という批判があった。これは、わが党(が推薦した6月の衆院憲法審査会)の参考人も憲法違反だと述べた。そのことから大きな議論を呼んだ。
 憲法の問題は閣議決定をした段階で、すでに議論としては終わっているはずだった。議論をするのならその時だったと思うが、自衛隊創設の際も、あるいは、PKO(国連平和維持活動)協力法案の時にも、憲法違反との声は相当強くあった。
 現在でも6割を超える憲法学者は、自衛隊は違憲または違憲の可能性があると述べている。だから、その方々にとっては自衛隊自体が違憲なので、自衛隊の活動そのものにも当然反対されるのだろうと思うが、われわれは合憲性については確信を持っている。
 また、徴兵制とか戦争に巻き込まれるといった批判、60年安保の日米安保条約改定の際にも、PKO協力法案の審議の際にも同じ批判がなされた。
 今回もそうだが、それがより広範に広がったということだと思うが、まさにデマゴーグ(虚偽で扇動)であるということはしっかりと、しっかりと国民に説明していきたい」
--周辺国への理解を求めるため誰かを派遣することは考えているか
安倍首相「この法制については、私は外遊のたびに、あるいは国内においては、300回近い首脳会談を行った。ほとんどの首脳会談で積極的平和主義、この法制もその中に含まれるが、紙で簡単に説明したものを渡している。ほとんど全ての国から理解、支持をいただいている」
--憲法改正は首相の宿願だと思うが、今後どう取り組むか。安保関連法成立は憲法改正に向けた大きなステップだと思うが、憲法改正にどう向き合うか
安倍首相「憲法改正について言えば、たとえ衆参両院で3分の2の多数を得ても、国民の半数の支持がなければ、憲法改正を成し遂げることはできない。そのためにも、新しい憲法のあり方について国民の中でより広く深い議論がなされるよう、われわれも努力を重ねていきたい」
--首相は間もなく61歳の誕生日を迎える。再び政権に就いて1000日を超える。8日には自民党総裁に無投票で再選された。政権復帰から、あっという間の3年間だったのでは
安倍首相「3年前の総裁選のテーマが『日本を取り戻す』。このテーマの下に5人の候補者で競い合った総裁選だった。あの時、私は『今の日本、民主党政権下の日本は黄昏を迎えているといわれているが、決してそんなことはない。正しい政策を進めていけば再び新しい朝を迎えることができる』と申し上げた。
 デフレから脱却して、力強く経済を成長させていく。まさに今、デフレから脱却しようとしている。雇用は100万人以上増えた。私たちが政権をとった2012(平成24)年、夏も冬もボーナスはマイナスだった。夏は3年連続プラスになった。昨年の冬のボーナスは24年ぶりの高い水準だった。今年の冬も恐らくプラスだ。給料も、雇用においても、間違いなく良くなっている。
 遅々として進まなかった(東日本大震災からの)復興、われわれが政権をとった時は、被災された方がいつまでにどこに何人、移転することができるか、全く計画すらなかった。全ての計画を作り、高台移転も、災害公営住宅も8割以上が着工している状況になった。
 この3年間、政権を取って2年、私は総裁になり、政権奪還し、夏の参院選、昨年12月の総選挙に勝ち続けることができたのは、こうした形を着実に約束したことを実行してきた結果だと思う」
--安倍内閣の布陣。24日に正式に自民党総裁に再選されるが、主要閣僚は引き継ぐ考えか
安倍首相「人事については、アベノミクスはいよいよ第2ステージで、経済でも外交でも山積する課題に全力で取り組むため、しっかりとした態勢をとることが必要だと考えている。大きな骨格は維持をしながら、同時に、自民党は老壮青、人材の宝庫であり、多くの人に能力を発揮してもらいたいと考えている。
 総裁再任の正式な両院議員総会は24日であり、まだ国会の会期も残っているので、具体的な人事については、今の時点では全く白紙だ」
--アベノミクスの中で「女性活躍」は大事だ。女性閣僚は同じ規模で起用するのか
安倍首相「もちろん女性の皆さんに、安倍政権において、あるいは自民党において活躍してもらいたい。同時に、適材適所でなければならないと考えている」
--アベノミクスは秋以降、地方への浸透が大きな課題になっていくが
安倍首相「そうですね。まさに今、経済の好循環が回り始めた。地方の方々にも、あらゆる分野にも実感してもらいたいと思っている。そこで全国津々浦々に景気の果実を届けるために、地方が地方の良さを生かして成長していく地方創生を進めていく。これはアベノミクスの第2ステージでも大きなテーマだと思う。同時に野心的な、かつ、具体的な目標を掲げ、それに向かって政策を進めていきたい。
 例えば、希望出生率1・8の実現、介護離職をゼロにしていく。こうしたことは社会政策にとどまらず、経済に大きな良いインパクトを与えていくことになると思う」
--環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が大詰めを迎えている。安倍政権としてどう向き合うか
安倍首相「TPPは成長戦略の大きな柱の1つだ。アジア太平洋地域に自由で公正な1つの経済圏をつくる挑戦的な試みであり、成長戦略の核となるものだ。最終局面に難しい課題が残るのが交渉の常だ。国益にかなう最善の道を追求し、次回の閣僚会合を最後の閣僚会合とすべく全力で交渉に臨んでいく考えだし、次回閣僚会合を最後の閣僚会合とするという認識においては、各国一致していると思う」
--秋の臨時国会でTPPを議論するのか
安倍首相「それはまだ全くの白紙だ」
--経済面では、平成29年4月に消費税率が10%へ引き上げられる際、増税分の一部を払い戻す財務省の還付制度案に対し、公明党から強い反対論が出ている。財務省案を土台にした議論にするのか。また、軽減税率について、どのような考えで臨んでいくのか
安倍首相「消費税率の引き上げに当たり、所得の低い方々に配慮する観点から、消費税の負担軽減について、これまで与党において議論が行われてきました。こうした状況のもとで、昨年の税制改正大綱は消費税の軽減税率について『早急に具体的な検討を進める』とされている。
 消費者の負担軽減策については現在、与党で精力的に議論されている。これを見守っていきたいと思う」
--財務省案を白紙にするとか、決めていないのか
安倍首相「財務省から財務省としての考え方が示されているが、今申し上げたような基本的な考え方に基づいて与党で議論されていくことになる。まずは与党の議論を見守りたい」
--秋は外交課題も山積している。北朝鮮による拉致問題は「安倍政権でやらなければ解決できない」という家族会の思いもある。一方、北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射準備を進めている。非常に難しい局面にあるが、どう対応していくのか
安倍首相「安倍政権において、拉致問題を完全に解決するという強い決意で臨んでいる。私も強い使命感を持っている。その中で、(拉致被害者らの)再調査開始から1年がたっても拉致被害者の帰国が実現していないことは、本当に遺憾だ。
 一日も早い、全ての拉致被害者の帰国を強く求めるため、8月に日朝外相会談を行い、岸田文雄外相が李洙墉(リ・スヨン)外相に対し、(再調査結果の)報告書の提出を直接強く要求した。引き続き一日も早い拉致被害者の帰国を実現すべく最大限の努力をしていく考えだ。
 私もこの問題に長い間、かかわってきた。かつて、われわれは制裁を加えようにも、その手段がなかったわけだが、そのための立法、そして今かけている制裁についても、そうすべきだと私もずっと主張してきたつもりだ。今回、再調査するにあたって一部を解除したのだが、当初から私がそう主張してきた制裁は、かける時と解除する際、それぞれ2回効果を発揮するものだ。それをいかに有効に活用しながら最終的な解決に結びつけていくかが大切だと思う。
 『対話と圧力』『行動対行動』の方針の下、北朝鮮から前向きな、具体的な行動を引き出す上で、何が最も効果的かという観点から、今後も拉致問題の解決に全力で尽くしていきたいと思う」
--北朝鮮に圧力をかけるためには周辺国の協力が不可欠だ。一方で、中国と韓国は、9月3日の抗日パレードで習近平国家主席と朴槿惠大統領が並んで映るなど、特に歴史問題に対する対日圧力で連携している。日本としてどう対抗していくのか
安倍首相「9月3日の式典についてだが、中国側には『式典を反日的ではなく、和解の要素を含むものにしてほしい』と伝えてきたが、習主席のスピーチを含め、今回の式典からは残念ながら和解の要素を見ることはできなかった。残念だ。
 戦後70年に際し、過去の不幸な歴史に過度に焦点を当てるのではなく、国際社会が直面する課題に未来志向で取り組むことが重要だと考えている。そしてわが国は、日中韓サミットについて早期開催を主張してきたが、3月に日中韓外相会議が開催された直後、シンガポールで朴大統領に対し、これを日中韓サミットの早期開催につなげていきたいと働き掛けを行った。
 日中韓サミットの議題については今後、調整していくことになるが、地域の安定と繁栄のために有意義な議論を行う機会にしたいと思う。
 日中韓サミットが実現した際には朴大統領、(中国の)李克強首相とそれぞれ日韓、日中首脳会談も開催したい。隣国であるがゆえに難しい課題もあるが、課題があるからこそ首脳会談を行うべきだろう」
--特に北朝鮮のミサイル発射が迫っているといわれる中で、各国との連携は非常に重要だ
安倍首相「北朝鮮に対しては、日中韓、そして、もちろん日米韓がそうした枠組みにおいて、連携を密にしながら、北朝鮮が国連決議にしっかりと従うよう圧力をかけていかなければならない」
--岸田外相をロシアに派遣するのは、どういう狙いか。年内の日露首脳会談の可能性は
安倍首相「メドベージェフ首相が北方領土を訪問したのは、北方四島に関する日本の立場と相容れず、日本の国民感情を傷付けるもので、極めて遺憾だ。同時に戦後70年を経て、日露間で平和条約が締結されていないのは異常な状態だ。この点はプーチン大統領と認識は一致している。
 北方領土問題は、首脳間の対話なくして解決できない。プーチン大統領は今後も長い間にわたり大統領を務めていくことになるわけで、私はこれまでプーチン大統領と10回、首脳会談を行った。今後もプーチン大統領と政治対話を積み重ねつつ、問題の解決に向けて両国間で精力的に交渉を進めていく方針に変わりない。
 プーチン大統領の来日については、本年の適切な時期に実現したい。具体的な日程については今後、種々の状況を総合的に勘案しながら検討していきたい」
--来年5月に首相が主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」を主催するが、ロシアは復帰するのか
安倍首相「まずロシアがクリミア半島を併合した。いわば力による現状変更を行ったわけだ。これを許すことはできないというのが、G7(先進7カ国)の一致した考えであり、それにのっとって制裁を行っている。ウクライナとロシアの間では先般、ミンスク合意がなされた。まずはミンスク合意がしっかりと履行されることが求められる。これは双方に求められると思っている。
 サミットにロシアが戻ると言える段階ではないが、まずはこのミンスク合意を両者がきっちりと履行していくことをわれわれは促していきたい」
--安保関連法が日米同盟にどのような影響を与えるか
安倍首相「日米同盟の絆を強くしていくことにつながると思うし、この日米同盟の大きな前進、強化につながっていくと思う。同盟というのは、基本的には助け合いだ。協力しあって、お互いの安全と地域の平和を守っていこうというものだ。
 わが国の安全を脅かす際、米国の艦艇などを守ることができるようになる。まさに日本近海で日本を守るために活動する米国の艦船に対する攻撃を、われわれが武力行使の3要件に適すると見なせば、防衛することができるようになる。『1+1=2』になる。日本を守る力も、地域の平和と安定を維持する力も2になっていく。
 これは紛争を未然に防ぐ力、抑止力の強化につながることは間違いないと思うし、日頃からそうした訓練をしていくことで地域の平和、安定に貢献していくことができると思う」
--その意味で、沖縄県の米軍基地問題は非常に重要だ。沖縄県の翁長雄志知事の反対で、普天間飛行場移設は難しい局面にある。沖縄の皆さんにどう理解を求めていくのか
安倍首相「住宅地に囲まれた普天間基地を一日も早く移設しなければいけないという認識は、政府も、沖縄県も一致している。その方法論については、われわれは名護市辺野古への移設しかないと考えている。同時に、一つ一つ着実に沖縄の負担軽減を前進させていくことも大切だと思っている。
 安倍政権においては、西普天間住宅地の返還を実現した。そして空中給油機15機、長年の懸案だったが、全て岩国基地に移管された。
 普天間基地から辺野古に移るのは、そのまま移るのではなく、機能は3分の1になるし、防音装備を多くしなければいけない。その防音工事をしなければいけない戸数は普天間では1万戸だが、辺野古に移ればゼロになる。
 また、嘉手納以南の基地、米軍所有地の返還についても、具体的に年数を決めて表明がなされている。あるいは地位協定については、ほとんど指1本触れることができなかったが、今般、初めて環境にかかわる事柄について合意し、協定を結ぶことができた。
 われわれは今までできなかったことを一つ一つ前進させている。そうしたこともご理解いただけるよう努力していきたい」
--政府の努力を沖縄の皆さんに正しく理解してもらうことがカギになる
安倍首相「米国という相手があるわけだから、かつての民主党政権のように、こちらの希望だけを掲げれば、それが実現するというわけではない。現実に着実に地に足をつけて結果を出していくことが大切だ」
--その意味で、米国との信頼を高める安保関連法が成立した意義は大きい
安倍首相「日本の防衛ということにおいては、助け合うことができるということになるので、日米の絆、相手の気持ちになれば、すぐに分かることだ。
 日本を守るために任務に当たっているにもかかわらず、自分たちが攻撃されたにもかかわらず、近くにいる自衛官は何もしないというのであれば、やはり人間は機械ではないから、その時は立ち会いますよということであれば、当然、士気は上がるし、絆は強くなっていくと思う」
--PKOの時もそうだが、実際の活動によって国民の理解が深まっていくということか
安倍首相「そうですね。かつて特定秘密保護法の時にも、この法律ができれば映画が作れなくなる。あるいは、報道が大幅に規制される(というレッテル貼りが行われた)。そんなことは全く起こっていない。だから、そうした事実を持って、レッテルをはがしていくことで、国民の信頼を勝ち取っていくことができる」

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です


 産経ニュース 2015.9.20 06:00更新
【安倍首相単独インタビュー】内閣改造「大きな骨格は維持」 「アベノミクスは第二ステージ」甘利氏も続投へ
 安倍晋三首相は19日、公邸で産経新聞の単独インタビューに応じ、自民党総裁選での再選を受けた内閣改造・党役員人事について「大きな骨格は維持しながら同時に多くの人に能力を発揮してもらいたい」と述べ、重要閣僚と党執行部の中核は続投させる考えを明らかにした。閣内では留任させる方針の麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官のほか、甘利明経済再生担当相らの続投が念頭にあるとみられる。
 首相は、人事方針に関し「アベノミクスはいよいよ第2ステージで、経済でも外交でも山積する課題に全力で取り組むため、しっかりとした態勢を取ることが必要だ」と強調。ただ「正式に総裁に再任される党両院議員総会は24日で、まだ国会の会期も残っている」と述べるにとどめた。
 19日未明に成立した安全保障関連法については「日本の安全にとって意義のある法制だ。何とか成立することができてよかった」と評価。一部メディアなどによる反対キャンペーンに対し「『徴兵制』や『戦争に巻き込まれる』といった批判が広範に広がった」と分析し、「デマゴーグ(扇動)であるということはしっかり国民に説明していきたい」と述べ、引き続き国民の理解を得る努力を行う考えを強調した。
 また、憲法改正に向け「新しい憲法のあり方について、国民の中でより広く深い議論がなされるよう努力を重ねていきたい」と改めて意欲を示した。
 総裁再任後の課題については「地方創生はアベノミクス第2ステージの大きなテーマだ。野心的、具体的な目標を掲げ、それに向かって政策を進めたい」と指摘。具体例として「希望出生率を1・8、介護離職をゼロにする」ことなどを掲げた。
 一方、北朝鮮による拉致被害者らの再調査報告の見通しが立っていないことに関し、「本当に遺憾だ。制裁をいかに有効に活用しながら最終的な解決に結び付けるかが大切だ」と述べ、一部解除した制裁の復活も視野に圧力を強化する考えを示した。

2015.9.20 11:00更新
【安倍首相単独インタビュー】安保法「『徴兵制』のレッテルはがす」 地方創生「希望出生率1.8を実現」 発言要旨
 安倍晋三首相は19日、産経新聞のインタビューに応じた。要旨は次の通り。
【安全保障関連法】
 小松一郎前内閣法制局長官、岡崎久彦元駐タイ大使は一命を賭して法制のために尽くしてくれた。それだけ日本の安全にとって、意義のある法制だと思っている。何とか成立することができてよかった。合憲性には確信を持っている。
 安保関連法は日米同盟の前進、強化につながっていく。同盟とは助け合いだ。武力行使の3要件に適していれば、日本近海で日本を守るために活動する米国の艦船を(他国の)攻撃から防衛できるようになる。日本を守る力も、地域の平和と安定を維持する力も「1プラス1は2」になる。紛争を未然に防ぐ力の強化につながることは間違いない。私は外遊や国内での首脳会談のほとんどで、安保関連法も含めた(日本の)積極的平和主義を説明し、ほぼ全ての国から理解、支持をいただいている。
【徴兵制】
 「徴兵制」「戦争に巻き込まれる」といった批判もあるが、1960年の日米安保条約改定やPKO(国連平和維持活動)協力法の審議の際にも同じ批判がなされた。デマゴーグ(扇動)だということを国民に説明していきたい。特定秘密保護法も「この法律ができれば、映画が作れなくなる」「報道が規制される」と批判されたが、全く起きていない。事実をもってレッテルをはがすことで国民の信頼を勝ち取れる。
【憲法改正】
 憲法改正は、衆参両院で3分の2の議席を得ても、国民の半数の支持がなければ成し遂げられない。新しい憲法のあり方について、国民の中でより広く深い議論がなされるよう努力を重ねていく。
【内閣改造】
 経済でも外交でも山積する課題に全力で取り組むため、しっかりした態勢が必要だ。大きな骨格は維持をしながら、同時に自民党は人材の宝庫なので多くの人に能力を発揮してもらいたい。女性の皆さんに安倍政権、自民党で活躍してもらいたい。同時に、適材適所でなければならない。
【アベノミクス】
 経済の好循環が回り始めた。全国津々浦々に景気の果実を届けるために、地方が地方の良さを生かして成長していくことは、アベノミクス第2ステージの大きなテーマだ。野心的、具体的な目標を掲げ、政策を進める。例えば、(出産を望む女性のみを対象に算出する)希望出生率1・8を実現し、介護離職をゼロにしていく。こうしたことは社会政策にとどまらず、経済に大きなインパクトを与える。
【TPP】
 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、アジア・太平洋地域に自由で公正な一つの経済圏を作る挑戦的な試みで、日本の成長戦略の核になる。交渉の最終局面では難しい課題が残るのが常だ。国益にかなう最善の道を追求し、次回閣僚会合を最後とすべく全力で交渉に臨む。各国の認識も一致している。
【消費税】
 消費者の負担軽減策は与党で精力的に議論している。財務省からは財務省としての考え方が示されているが、まずは与党の議論を見守りたい。
【拉致問題】
 安倍政権で完全に解決する強い決意で臨んでいる。再調査開始から1年たっても拉致被害者の帰国が実現していないことは本当に遺憾だ。今回の再調査に当たり、制裁を一部解除したが、制裁はかけるときと解除する際、2回効果を発揮する。それを有効に活用しながら最終的な解決に結びつけていくことが大切だ。今後も北朝鮮から前向きで具体的な行動を引き出す上で、何が最も効果的かという観点で全力を尽くす。
【日露首脳会談】
 北方領土問題は首脳間の対話なくして解決できない。今後も長い間にわたり大統領を務めていくプーチン大統領と政治対話を積み重ね、問題の解決に向けて精力的に交渉を進めていく方針には変わりない。プーチン氏の来日は今年の適切な時期に実現したい。具体的な日程は状況を総合的に勘案しながら検討する。
【日中関係】
 9月3日の中国の抗日戦争勝利70年記念行事の式典について、中国側には「反日的ではなく和解の要素を含むものにしてほしい」と伝えてきたが、習近平国家主席のスピーチを含め、残念ながら和解の要素を見ることはできなかった。戦後70年に際し、過去の不幸な歴史に過度に焦点を当てるのではなく、国際社会が直面する課題に未来志向で取り組むことが重要だ。
【米軍基地問題】
 政府も沖縄県も住宅に囲まれた普天間飛行場(宜野湾市)を一日も早く移設しなければいけない認識で一致している。われわれは同県名護市辺野古への移設しかないと考えている。
 安倍政権では、米軍西普天間住宅地区(同)の返還を実現し、嘉手納基地(嘉手納町など)以南の米軍基地や施設も返還までの具体的な年数が決まった。今までできなかった負担軽減を一つ一つ前進させていることを理解いただけるよう努力したい。米国という相手があるので、かつての民主党政権のようにこちらの希望だけ掲げていても実現しない。地に足をつけて結果を出していくことが大切だ。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字・着色)、リンクは来栖 
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香川俊介前財務次官が死去 2015.8.9 消費増税に尽力  
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内閣・自民党人事、中谷氏・塩崎氏留任へ
 2015年09月20日 08時30分
 安倍首相は10月の内閣改造で、麻生副総理兼財務相、岸田外相のほか、中谷防衛相、塩崎厚生労働相を留任させる意向を固めた。
 自民党役員人事では二階総務会長を留任させる方向だ。内閣改造は10月7日前後に行う日程で調整している。
 首相が主要閣僚・党幹部を替えずに政権の骨格を維持するのは、19日の安全保障関連法の採決で内閣支持率の低下が見込まれる中、来夏の参院選に向けて安定政権をつくる必要があると判断しているためだ。
 麻生氏と岸田氏は2012年12月の第2次安倍内閣の発足当初から、現在のポストで首相を支えてきた。中谷氏は安全保障法制相として安保関連法の国会審議を担当し、そつなくこなした。関連法に基づく今後の自衛隊運用も中谷氏に任せるのが望ましいと判断した。
2015年09月20日 08時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 ◎上記事は[讀賣新聞]からの転載・引用です
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