【安保新時代(中)】「NGO職員が襲撃、至急救援を」…長年の懸案「駆け付け警護」 ようやく国際標準に

2015-09-20 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

2015.9.20 10:33更新
【安保新時代(中)】「NGO職員が襲撃、至急救援を」… 長年の懸案「駆け付け警護」、来春にも
 「日米同盟の強化につながっていく。同盟とは助け合いだ。1プラス1は2になる。日本を守る力も地域の平和と安定を維持する力も2になる」
 安倍晋三首相は19日、産経新聞のインタビューで、安全保障関連法を成立させた意義について強調した。
 同盟国の米政府も呼応し「日米同盟を強化し、地域と国際社会の安全保障に、一層積極的な役割を担う日本の努力を歓迎する」(国防総省のビル・アーバン報道官)と評価した。
 安保関連法成立により、日本は「自国防衛」を強化するのみならず、国際社会の平和と安定のために積極的な貢献を果たすことになる。
 政府は平成24年1月から南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊施設部隊を派遣し、幹線道路のインフラ整備や避難民への給水活動を継続している。現在、日本が参加している唯一のPKOだ。そのPKOの現場でも自衛隊はより高いレベルの役割を担うことになる。その一つが「駆け付け警護」だ。
 以下のシナリオを想定してみる。
 《×月×日夕、陸自部隊長は国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部から一本の緊急電話を受けた。
 「○○マーケット近くでNGO(非政府組織)職員が襲撃されている通報が入った。至急、救援の部隊を派遣してほしい」
 陸自部隊への救援の要請だった》
 陸自が拠点を置く首都ジュバの治安は比較的安定している。とはいえ、南スーダン国内では政府軍と反政府軍による内戦が続き、いつ戦闘に巻き込まれるか見通せない。実際、26年1月にはジュバ市内で反政府組織による銃撃戦が発生し、自衛隊の宿営地も武装集団に取り囲まれる緊迫した事態に陥った。
 「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」
 当時の部隊長は、全隊員に武器と銃弾を携行させ、射撃許可を出した。自身の生命を守る最小限の武器使用を認めるPKO協力法の規定に基づくギリギリの判断だった。
 もし、この事態で宿営地から離れた場所にいるNGO職員やPKOの他国軍の救助を求められたとしても、自衛隊が現場に駆け付け、救援する法的根拠はなかった。「当時の状況を考えれば起こり得た」(陸自幹部)ことだった。
 過去に行われた東ティモールのPKOでは、争乱に巻き込まれた日本人を救うため、「休暇中の隊員を迎えに行く」という“名目”を編み出し、部隊を派遣したこともある。現場の自衛官による苦肉の策だった。
 安保関連法は、長年の懸案だった駆け付け警護を可能にする。
 防衛省幹部は「法律が整備されたことで十分な訓練を行い、必要な装備も調えることができる。現場に無理な判断を押しつけてきた以前より、リスクはむしろ下がる」と指摘する。
 安保関連法では「宿営地の共同防衛」も可能になる。南スーダンでも課題になっていたことだった。自衛隊の宿営地にはインドやルワンダ、バングラデシュなどの各国軍隊も入っている。宿営地全体の警備は歩兵部隊を主力とするルワンダ軍が担当しているが、情勢が悪化すれば各国は互いに連携しながら警備態勢を整える。「一国で対処するより格段に効率が高まる」(陸自幹部)ためだ。
 25年12月、ジュバ市内で大統領警護隊同士の衝突が勃発。1万人とも2万人とも言われる避難民が発生し、宿営地内に収容する事態になった。周辺では銃撃による混乱が続き、UNMISS司令部は収容した避難民を守るためにも、宿営地の警備を各国共同で固めることを決定した。
 自衛隊が警備する区域も示されたが、日本は「国内法」を理由に拒否した。しかし、装備も能力も十分な自衛隊の不参加は他国軍が納得しなかった。押し問答が続き、日本の国内法制を理解してもらうのに丸1日を要した。自衛隊の態度に心ない言葉を浴びせる他国軍兵士もいた。
 陸自幹部は「他国軍と対等になることで信頼関係は強くなる。自らのリスクを減らすことにもなるし、より積極的な国際貢献も可能になる。法整備は不可欠だ」と断言する。
 政府は、来春にも南スーダンの派遣部隊に、駆け付け警護や共同防衛を新たな任務として加えることを検討している。
 自衛隊の国際貢献は、ようやく国際標準に追いつこうとしている。
 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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【安保新時代】(上) 安倍晋三首相「ようやくここまで来た」 
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