6月21日8時0分配信 産経新聞
犯罪被害者・遺族が刑事裁判の法廷で、加害者(被告)に対して直接質問などができる「被害者参加」制度の導入を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が20日、参院本会議で可決、成立した。刑事裁判の法廷で民事上の損害賠償も請求できる「付帯私訴」制度の導入も盛り込まれた。平成20年中に施行される。
一般国民が刑事裁判の審理に参加する裁判員制度が21年5月までに導入される。先行して始まる被害者参加制度で裁判員が受ける影響を見極めるため、施行後3年をめどに制度の見直しを検討する規定も設けられた。
被害者参加制度は、故意の犯罪行為で人を死傷させた罪(殺人、傷害致死傷、危険運転致死傷など)や強姦(ごうかん)、業務上過失致死傷といった罪で起訴された被告の裁判が対象。裁判所が許可すれば、被告人質問や被告に求めたい刑罰などの陳述が可能となる。
付帯私訴は故意の犯罪で人を死傷させた罪などが対象。刑事裁判を担当した裁判官がそのまま民事裁判も担当し、有罪の場合は刑事裁判の立証成果がそのまま活用され、4回以内の審理で賠償額が決められる。
被害者参加制度の導入について、「全国犯罪被害者の会」(あすの会)代表幹事の岡村勲弁護士は、「刑事裁判から排除されることで被ってきた犯罪被害者の苦しみと司法不信は相当に軽減される」と指摘。一方、制度の導入に反対してきた「被害者と司法を考える会」代表の片山徒有さんは、「被害者が公判で2次被害を受けるといった問題を指摘してきた。今後も制度の問題点を訴えていきたい」と話している。
最終更新:6月21日8時0分
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「被害者参加制度」導入に伴う刑事訴訟法改正案を上程
~被害者・遺族を“訴訟の当事者”とするのは妥当なのか?