
【静岡】
中日新聞2009年1月6日
「早く働きたい」職を求める人たちが殺到した外国人専用の相談窓口=5日午後、浜松市中区のハローワーク浜松
「何とか仕事を見つけないと」。企業や官公庁の仕事始めの5日、職を失った浜松市内の外国人や元派遣社員らが同市中区の浜松公共職業安定所(ハローワーク浜松)に殺到した。昨年の新年始業日に比べ2・4倍の約2900人にも上り、職員は「こんな数は見たことがない」。かつてない混雑に正月気分は一気に吹っ飛んだ。
午前8時半の業務開始前には数十人が長い列をつくり、約110台止められる駐車場は終日満車。受付でも多くの人の列ができ、ベンチに座れずに立ったまま携帯電話を片手に待つ姿もあった。
昨年11月末に浜松市内の自動車部品製造工場を解雇された日系ブラジル人男性(53)は「3時間も待っています」と声を落とし、充血した目を受付方向に向けていた。
ハローワーク浜松によると、世界同時不況の影響が出始めた昨年10月以降、利用者は1日平均1300人前後だった。しかし、この日の利用者は昨年の始業日(1月4日)より1653人も多い2880人。
多い時で1日約120人だった外国人専用の求職相談窓口の相談受付者数も約180人に上り、担当者は「過去最多を記録した」とため息をついた。
午前9時に訪れた元派遣社員の男性(46)は、昨年12月末に契約を打ち切られた。今月3日には会社の借り上げアパートを出され、現在は市内のホテル住まいで「金がいつまでもつか」。初詣では近くの神社で「仕事が見つかりますように」と願掛けしたという。
「正直、どんな仕事でもいい」と開き直るのは日系ブラジル人男性(27)。派遣社員として市内の自動車関連工場に勤めているが、今月15日で派遣を打ち切られる。
昨年末はいくつも派遣会社をあたったが、仕事は見つからず。「今まで何のために税金を納めてきたのか。せめて日本人と同じ待遇を」と切実に訴えた。傍らで妻(20)が不安そうな表情をのぞかせた。
市内の福祉作業所で働いていた精神障害のある男性(38)もいた。不況で障害者雇用の場が減る中で「仕事を見つけるのは大変」と力なく漏らした。
ハローワーク浜松の田沢優職業相談部長は「受け皿となる求人を増やさなければ、相談者は減らない。この混雑を解消するには、企業に頑張って元気になってもらうしかない」と語った。
中日新聞2009年1月6日
「早く働きたい」職を求める人たちが殺到した外国人専用の相談窓口=5日午後、浜松市中区のハローワーク浜松
「何とか仕事を見つけないと」。企業や官公庁の仕事始めの5日、職を失った浜松市内の外国人や元派遣社員らが同市中区の浜松公共職業安定所(ハローワーク浜松)に殺到した。昨年の新年始業日に比べ2・4倍の約2900人にも上り、職員は「こんな数は見たことがない」。かつてない混雑に正月気分は一気に吹っ飛んだ。
午前8時半の業務開始前には数十人が長い列をつくり、約110台止められる駐車場は終日満車。受付でも多くの人の列ができ、ベンチに座れずに立ったまま携帯電話を片手に待つ姿もあった。
昨年11月末に浜松市内の自動車部品製造工場を解雇された日系ブラジル人男性(53)は「3時間も待っています」と声を落とし、充血した目を受付方向に向けていた。
ハローワーク浜松によると、世界同時不況の影響が出始めた昨年10月以降、利用者は1日平均1300人前後だった。しかし、この日の利用者は昨年の始業日(1月4日)より1653人も多い2880人。
多い時で1日約120人だった外国人専用の求職相談窓口の相談受付者数も約180人に上り、担当者は「過去最多を記録した」とため息をついた。
午前9時に訪れた元派遣社員の男性(46)は、昨年12月末に契約を打ち切られた。今月3日には会社の借り上げアパートを出され、現在は市内のホテル住まいで「金がいつまでもつか」。初詣では近くの神社で「仕事が見つかりますように」と願掛けしたという。
「正直、どんな仕事でもいい」と開き直るのは日系ブラジル人男性(27)。派遣社員として市内の自動車関連工場に勤めているが、今月15日で派遣を打ち切られる。
昨年末はいくつも派遣会社をあたったが、仕事は見つからず。「今まで何のために税金を納めてきたのか。せめて日本人と同じ待遇を」と切実に訴えた。傍らで妻(20)が不安そうな表情をのぞかせた。
市内の福祉作業所で働いていた精神障害のある男性(38)もいた。不況で障害者雇用の場が減る中で「仕事を見つけるのは大変」と力なく漏らした。
ハローワーク浜松の田沢優職業相談部長は「受け皿となる求人を増やさなければ、相談者は減らない。この混雑を解消するには、企業に頑張って元気になってもらうしかない」と語った。