2009年1月7日
トヨタ自動車は6日、仕事始めで約10日ぶりに工場などが稼働し始めた。しかし、社員らに新年のめでたい雰囲気はなく、一様に厳しい表情だった。
渡辺捷昭社長が東京出張のため、愛知県豊田市の本社での社長訓示は7日に予定されているため、この日は部署ごとに新年のあいさつをし、通常業務が始まった。出社した男性社員は「慌てず経費節減などできることをやるだけ」と淡々。別の社員も「設備投資の計画が止まるなどしているが、これは昨年から織り込み済み」と語った。
トヨタ自動車に合わせ関連企業の多くも6日から操業が始まったが、同市内の運送会社の役員男性(41)は、昨年10月ごろからトヨタ関連の運送量が半減したとし「生活がかかっている以上、社員の給料は減らせない。今年は役員報酬を減らして、景気の回復を待つのみ」と語った。
1次下請けの部品会社の男性社員(43)は、「仕事始めで、残業ゼロが訓示されても、誰も文句を言わなかった。今までの不況なら、少しは愚痴が出ていたのに」と異常事態にため息をついた。
また、豊田市のハローワーク豊田で求人票を見に来た無職男性(25)は「『仕事始め』といっても始める仕事がない」。昨年12月までトヨタ関連企業で自動車部品検査の仕事をしていたが、突然解雇され、落ち着かない年末年始を過ごした。
愛知県田原市の田原工場では6日午後3時15分に日勤の業務が終わり、従業員らが続々と工場から出てきた。入社30年でプレスを担当する男性社員(48)は「休業日が増えるので給料は減るだろう。職場のムードも悪くなるだろうね」。期間従業員の男性(30)は「6月までの契約が切れたら福島県の実家へ帰るしかない」と声を落とした。