自民党が旧統一教会と関係を続けてきた理由 教団信者が選挙で見せる「パワーは随一」

2022-09-02 | 政治

自民党が旧統一教会と関係を続けてきた理由 教団信者が選挙で見せる「パワーは随一」AERA dot.
 2022/9/1(木) 8:00配信

 自民党と旧統一教会の関係が、安倍晋三元首相に対する銃撃事件をきっかけに次々と明らかになった。両者を結びつけるものは何か。証言で解き明かす。AERA 2022年9月5日号の「自民党と旧統一教会」の特集記事から紹介する。

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 首都圏を選挙区に持つ中堅議員は、自民党が下野した2009年の衆院選で落選後、こう言って、後援会を実質的に解体した例がある。
「あれだけ一生懸命、後援会を作ったのにムダだった」
 その議員は、いま、教団との深い関係が相次いで明らかになっている。

■人手不足で教団と関係
 もちろん中選挙区時代にも、岸信介元首相や中曽根康弘元首相のように教団と関係の濃い大物議員はいた。しかし、それは、現在の若手議員のように自らの弱い選挙基盤を補うものではなく、「日本に共産主義政権を樹立させない」という反共思想での共鳴が大きかった。
 派閥間の力関係もあった。
 自民党の派閥のうち、田中角栄の流れをくむ経世会(現平成研究会)や、池田勇人が創設した宏池会が「本流」とされる一方、岸に連なる清和会は「傍流」とされた。自民党関係者は言う。
「業界や財界など主要な団体は本流に握られ、傍流の清和会は宗教団体に頼るしかなかった」
 岸の孫であり、清和会を引き継いだ安倍氏と教団の関係は、この流れにある。
 しかし、現在、教団との関係が明らかになっている自民党議員は、かつての岸や中曽根のようなイデオロギー的同調も、安倍氏のような歴史的なつながりも薄いだろう。ポスター貼りや戸別訪問、電話作戦などの選挙活動のための人手が乏しい議員が、教団に頼るようになっているのが内実ではないか。
 教団信者が選挙で見せるパワーは随一のようだ。元地方議員の証言で分かる。
 民社党に所属した元地方議員の男性は、1990年代に初出馬した際、教団の支援を受けた。日米安保条約をめぐる対立で社会党から分裂して生まれた民社党は、自民党以上に右派的な議員もいた。それだけに、教団の支援に違和感はなかった。
 民社党は、民間労組の支援が中心だった。男性は言う。
「労組の組合員も活動量は大きいが、教団信者は活動量に加え、活動力が抜群だった」

■実動部隊を失う恐怖
 組合員は選挙が告示されると、すべての公営掲示板に即座にポスターを貼ってくれる。駅頭でビラを配ることにも協力的だが、教団の力は、比較にならなかった。男性は振り返る。
「戸別訪問で、ポスターを貼ってもらう活動力に舌を巻いた」
 10軒回っても、ポスターを受け入れてくれるのは1軒あるかどうか。費用対効果が悪く、組合員は嫌がる。しかし、教団信者はいとわず、次々とポスター貼りの依頼を成功させていた。
「霊感商法で培われた『セールストーク』や嫌がられてもお願いできる押しの強さがあった」
 教団からは信者派遣の報酬を求められた。男性は言う。
「当選後に『使える』と思った政治家は無報酬だろうが、私のような野党議員は『使えない』という判断をしたのだろう」
 教団との関係は最初の選挙だけ。その後、別の宗教団体の支持を得たが、選挙が近づくと、自分たちの施設内にポスターを貼ってくれる程度で、統一教会の信者ほどの熱量はなかった。
 男性は、あちこちでポスターが貼られている議員をみると、こう考えてしまう。
「従業員が多い建設業者の支援を受けているか、お金で業者にお願いしているか、教団との関係が深いか。どれかだろう」
 教団が全国に持つ票は、多く見積もっても10万票程度と言われる。宗教団体の創価学会を母体に持つ公明党は、衰えたとはいえ全国で600万票を下らない。自民党関係者は言う。
「教団票なんて、学会票に比べれば、たかが知れている。党として関係を全面的に断っても痛くもかゆくもない。ただ、弱い後援会しか持たない議員にとっては票数の問題ではない。教団と縁を切ることは死活問題。選挙の実動部隊を失う恐怖があるのだろう」
(朝日新聞論説委員・蔵前勝久)
※AERA 2022年9月5日号より抜粋

最終更新:AERA dot.

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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* 旧統一教会問題 安倍氏調査が不可欠だ 2022.09.02


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