元女子大学生に無期懲役の判決
NHK NEWS WEB 2017/03月24日 19時03分
3年前、名古屋市で知り合いの女性を殺害した罪や、仙台市で同級生2人に劇物のタリウムを飲ませて殺害しようとしたとして殺人や殺人未遂などの罪に問われた元女子大学生に、名古屋地方裁判所は求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。
21歳の元女子大学生は平成26年、19歳の大学1年生のとき、名古屋市の自宅アパートを訪ねてきた知り合いの森外茂子さん(77)をおので殴ったうえ首を絞めて殺害したほか、その2年前の高校2年生のとき、仙台市で高校と中学時代の同級生2人に劇物のタリウムを飲ませて殺害しようとしたなどとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われました。
裁判では、事件当時、刑事責任能力があったかどうかが最大の争点になり、検察が無期懲役を求刑したのに対し、元女子大学生の弁護士は「複雑で重い精神障害の影響で当時、善悪の判断がつかず、責任能力はなかった」として無罪を主張していました。
24日の判決で、名古屋地方裁判所の山田耕司裁判長は判決の理由から先に述べ始め、当時の責任能力について、「殺人事件では1週間前に犯行を決意し、殺害方法を考えるなど計画的で、タリウム混入事件でも冷静に周りの状況を意識しながら行動しており、当時、責任能力はあった」と判断しました。
そのうえで、「『人が死にゆく様子を見たい』とか『中毒症状を見たい』という興味本位の身勝手な動機で、複数の重大で悪質な犯行に及んだ」として無期懲役を言い渡しました。
最後に山田裁判長は「無期懲役の判決だが、仮釈放が見込めるように社会復帰を目指して更生してほしい。障害は克服できると信じています」と諭しました。
元女子大学生は何度もうなずき、小さな声で「はい」と答えました。
被告の服装は、これまでと同じ紺の上着に黒のズボン、マスクをして出廷しました。
判決の理由が読み上げられているときは、ひざの上に手を置いて椅子に座り、まっすぐ裁判長の方を見つめて聞いていました。
そして、無期懲役の判決が言い渡された時も、姿勢や表情を変えたようには見えませんでした。
判決について、少年法と刑法が専門で判決を傍聴席で聴いた南山大学法科大学院の丸山雅夫教授は「責任能力を含めて、非常に丁寧に事実認定をしており妥当な判決だと思う。一方で、被告の精神障害も認めた上で、医療刑務所などで障害に応じた適切な処遇を受けさせることに言及したのは非常に珍しい」と述べました。
また丸山教授は「仮釈放の可能性もあるので、きちんとした形で社会に戻れることを期待したい。ただ、少年法の観点からは、タリウムを混入させるようなことをした際、なぜ発覚せず、立件できなかったのか丁寧に検証されるべきだ」と述べました。
子どもの精神医学に詳しい岐阜県立希望が丘子ども医療福祉センターの高岡健児童精神科部長は「無期懲役の判決にたいへん驚いている。被告はそううつ病のそう状態が非常に重く、それを軽いとした裁判所の判断は極めて不適切だ」と述べました。
その上で、「今後の更生には精神療法が必要だが、刑務所にはその専門家が少なく、刑務所での治療では再犯のリスクを減らすことにはつながらず、本人にとっても社会にとっても無期懲役は良くない判決だ」と述べました。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
..........
〈来栖の独白〉
さっぱり分からない。なぜ、無期懲役なのか。強盗殺人でもなく、被害死者1名で、無期懲役。量刑の意図がさっぱり分からない。
――――――――――――――――――――――――
産経WEST 2017.3.24 22:14更新
【名古屋大元女子大生殺人】判決の瞬間、裁判長見詰め 説諭にしっかりうなずく
無期懲役の判決が言い渡された瞬間、証言台前の黒い椅子に少し背中を丸めて座っていた名古屋大の元女子学生(21)は、身じろぎもせず裁判長を見詰めた。
続いて裁判長が数分間説諭した。「裁判員からのメッセージを伝えたい」と語り掛けると、元女子学生は2回、しっかりとうなずいた。
裁判長は「あなたの障害や犯行当時の年齢を考えると、有期刑の上限である懲役30年に近い無期懲役です」と説明し、「希望を持って知恵を絞って努力すればきっと障害を克服できる」と話した。
説諭の最後に「よろしいですか」と問い掛けると、女子学生は法廷に響くようなはっきりした声で「はい」と返事し、一段と大きく首を縦に振った。退廷する時には、色白の頬が少し紅潮しているようだった。
元女子学生は、出廷時、髪を無造作に後ろで一つにまとめ、これまでの公判同様、目元までかかる長い前髪と白いマスク姿。周囲からは顔がほとんど見えなかった。服装も初公判から変わらず、紺の丸襟のジャケットに黒いズボンだった。
開廷後、間もなく「理由を落ち着いて聞いてほしい。後で主文を言います」と裁判長から告げられても、緊張した様子を見せずに着席。主文後回しを聞いて傍聴席だけがわずかにざわついた。
閉廷後、元女子学生の弁護士は報道陣に取り囲まれ、「控訴するのか」「判決を受けた所感は」との問いに無言でうつむいたまま、地裁の隣にある愛知県弁護士会館に入った。
開廷前には、判決公判を傍聴しようと、用意された73席に対し、479人が名古屋地裁の敷地に列をつくった。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
――――――――――――――――――――――――
中日新聞 2017/3/25 朝刊
元学生の一連の事件は前例がなく、検察内でも求刑を巡って意見が分かれたとみられる。(略)
元学生は判決時に成年に達しているため、刑期に幅を持たせる不定期刑や、少年院送致など保護処分を相当とする家裁移送決定といった少年法規定の対象外となった。そのため成人同様、死刑か無期懲役、有期刑から量刑が選択された。
その中で、判決は求刑通り無期懲役とした。2009年の裁判員制度導入以降、犯行時に未成年で死刑を言い渡されたのは、宮城県石巻市の一家3人殺傷事件の元少年のみ(確定)。無期懲役は強盗殺人事件が大半で、犯行時未成年による死亡被害者1人の殺人事件では厳しい判決といえる。
裁判長は判決で「有期刑に近い無期懲役」と異例の言及をした。無期懲役が確定した受刑者のうち、仮釈放された人の平均受刑期間は31年余だが、「仮釈放の弾力的な運用で、比較的早期の社会復帰を図ることが適切だ」と述べた。
◎ 上記事は[中日新聞]からの書き写し(抜粋)
-----------------------------------------
河北新報
<タリウム事件>主文後回し 表情硬く
少女による数々の凶行に重い審判が下された。仙台、名古屋両市で過ごした10代後半の約2年半に殺人や劇物混入、放火未遂などを段階的に起こしたとして、6件の罪に問われた元名古屋大女子学生(21)=仙台市出身=は、「各犯行は被告の意思」と責任能力を認めた名古屋地裁判決を、冷静に聞き続けた。
開廷は午後2時。元名大生は紺の上着と黒いズボンに身を包み、ゆっくりと証言台に向かった。前髪は目元まで伸び、顔の大部分をマスクが覆う。隙間からのぞくあどけない素顔は、いつもよりやや硬かった。
裁判長が主文を後回しにすると、満場の傍聴席が一瞬ざわついた。重刑の予感に弁護団が顔をしかめる横で元名大生は微動だにせず、約1時間半に及んだ裁判長の言葉に耳を傾けた。
「罪は誠に重い」「有期懲役では軽すぎる」。判決は争点となった精神障害の影響を認める一方、終盤には辛辣(しんらつ)な言葉が並んだ。
「主文、被告人を無期懲役とする」。刑が言い渡された瞬間も身じろぎ一つせず、前を見詰め続けた。
地裁は、元名大生が発達障害の影響で共感性がなく、反省は困難と認定しながらも、結審直前に「反省や謝罪、償いを一生考え続けていく」と更生の意欲を示した点に着目。刑務所内で治療を受けながら更生に努めるよう望んだ。
山田耕司裁判長は最後に「社会復帰できるまでに必ず障害を克服できると信じている」と述べ、「よろしいですか」と問い掛けた。元名大生はしっかりした口調で「はい」と返答し、数回うなずいた。
法廷で「人を殺してみたかった」「生物学的なヒトなら誰でも良かった」などと衝撃的な供述を繰り返した元名大生。元の席に戻る脚は少し震えていた。
2017年03月25日土曜日
◎上記事は[河北新報]からの転載・引用です
------------
* 元名大女子学生への判決、主文後回し 女性殺害・硫酸タリウム事件など 2017/3/24 14:16
――――――――――――――――――――――――
◇ 名大女子学生 いびつな願望 「佐世保事件が影響」か 殺人事件・タリウム事件・放火容疑(焼死体に興味)・・・
◇ 「タリウム女子」は法廷で「検事も弁護人も殺したい」 「19歳殺人鬼」顔・実名隠しに何の意味があるのか 『週刊新潮』2017/3/2号
◇ 「酒鬼薔薇君、大好き♪ 少年法マンセー!」心に魔物を育てた名大女子学生の履歴書 『週刊新潮』 2015年2月12日号
――――――――――――――――――――――――
◇ 石巻3人殺傷 少年事件「死刑判決」 賛否/短い評議、制度に課題/処罰感情/裁判員の負担/更生 2010-11-27
◇ 石巻3人殺傷(事件当時18歳被告の裁判員裁判)死刑判決…「理解まるでなく、心底がっかり」井垣康弘弁護士 2010-11-26
...........