新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」 安全面に課題 胎児奇形の副作用恐れ 2020.4.18

2020-04-18 | 社会

アビガン 安全面に課題  胎児奇形の副作用恐れ ■ 他に候補も
 中日新聞 2020.4.18 土曜日 夕刊

 新型コロナウイルスの治療薬候補である抗インフルエンザ薬「アビガン」について、安倍晋三首相が希望者への使用をできる限り拡大する方針を表明するなど、積極活用する姿勢を強めている。期待は高まるが、この薬は、胎児に奇形が出る恐れがあるなど安全面に課題があり、“前のめり”な姿勢に専門家からは副作用を踏まえて慎重になるべきだとの声が出ている。

 アビガンは、富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学(東京)が開発。細胞内で遺伝子を複製する過程に働いてウイルスの増殖を防ぐという、他の抗ウイルス薬にない特徴を持つ。このため新型インフルエンザが発生し、他の薬が効かない場合の“切り札”として国は備蓄を進めてきた。
 中国で新型コロナの患者に一定の効果があったとする報告が出たことなどをきっかけに、政府は備蓄量を現在の3倍に増やして200万人分を確保する方針を決定。

▷首相が前のめり
 さらに安倍首相は、7日の会見で、患者が希望し、病院の倫理委員会で了承されれば観察研究として投与を認めると表明した。有効性や安全性が確立されていない未承認薬の使用を柔軟に認めるという異例の対応だ。
 ただアビガンの使用にはもともと厳しい条件がある。サルを含めた動物実験で胎児への奇形をもたらす可能性がでているためだ。インフルエンザ治療薬としても通常の診療で処方することは認められておらず、「他の薬が使えない場合に国が使用を判断する」と規定されている。
 妊娠中や妊娠の可能性がある女性には投与できず、また薬が精液中に移行するため男性への投与も注意が必要だ。
 新型コロナ治療薬としての薬事承認に向けて3月末から臨床試験(治験)が始まったが、専門家の間では「アビガンは増殖を防ぐ薬。感染直後や軽症だと改善傾向がみられるかもしれないが、ウイルスが増殖した重症患者には厳しいのではないか」との見方も多い。

▷医療現場に混乱
 治療薬候補には、さまざまな薬がある。アビガンのほかにも、エボラ出血熱の治療薬候補レムデシビル、気管支ぜんそくの治療薬シクレソニッドも注目される。レムデシビルは最近、重症者の7割に効いたとする国際研究チームの予備的な研究結果が発表された。
 自治医大の田村大輔准教授(小児感染症学)は「候補薬の中でアビガンだけが飛びぬけて高い効果を示しているわけではない」と解説する。田村准教授は、希望すれば使えるような政府の説明は医療現場に混乱を招く恐れがあると指摘。「緊急事態でありやむを得ない部分もあるが、副作用に関する丁寧な説明をした上で、慎重に使用を判断すべきだ」と強調した。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


「レムデシビル」で患者回復 新型コロナウイルスに感染 米で報道 2020.4.16


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