「ALS患者嘱託殺人」…過去の有罪事件と異質 東海大病院・国保京北病院・川崎協同病院・関西電力病院・射水市民病院

2020-07-28 | Life 死と隣合わせ

嘱託殺人、過去の有罪事件と異質 専門家「安楽死の議論に値しない」
2020/7/28(火) 19:31配信 産経新聞

  
 “安楽死”をめぐり医師が立件された主な事件

 ひそかに交わしていたメッセージを削除させ、偽名を使って自宅を訪問。初対面からわずか約10分で鎮静剤を投与し、その場を離れる-。ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の女性=当時(51)=への嘱託殺人容疑で京都府警に逮捕された2人の医師の事件前後の行動が明らかになるにつれ、過去の「安楽死」をめぐる事件と比べた異質さが鮮明になってきた。専門家は「積極的安楽死を議論するケースにあたらない」と指摘している。

 「訴追されないならお手伝いしたいのですが」
 大久保愉一容疑者(42)が、安楽死への願望を示唆する女性のツイッターに返信したのは平成31年1月。この頃からやり取りは続いていたが、大久保容疑者と山本直樹容疑者(43)が京都市の女性宅で実際に対面したのは、殺害したとされる昨年11月30日が初めてだったとみられる。
 過去の事件と大きく異なるのは、両容疑者が女性の主治医ではないという点だ。横浜地裁が、意図的に死を早める「積極的安楽死」が許容される4要件を示した3年の東海大病院事件では、有罪となった医師は患者の主治医だった。
 判決は、家族から複数回にわたり治療中止の要請があり、医師が翻意するよう説得したこともあったと認定。それでも、主治医を務めた期間が約2週間と短い点を重視し、「患者や家族との意思疎通は十分ではなかった」として積極的安楽死とは認めなかった。
 川崎協同病院で10年、意識が回復しない患者を死なせたとして、後に殺人罪で有罪判決を受けた医師も主治医で、公判では「家族の要請で治療行為を中止し、自然の死を迎えさせようとした」と無罪主張した。
 しかし、最高裁は21年、家族からの治療中止要請はあったが、「病状について的確な情報が伝えられてなされたものではない」と判断。医師が余命を判断するのに必要な検査もしていなかったと指弾した。
 今回の事件で京都府警は、女性が自身の殺害を依頼したとして、嘱託殺人罪を適用した。
 ただ、両容疑者が女性と直接対面したのはわずか10分間程度。女性を診察して病状を正確に把握し、苦痛を緩和する方法がないのかなどを検討した余地は見当たらない。鎮静剤を投与して時間を置かずに自宅を出て、死亡後の措置もせずにそのまま京都を離れたとみられている。
 医療倫理に詳しい慶応大大学院健康マネジメント研究科の前田正一教授は「2人は医学的診断も十分に行っておらず、正当な医療行為だったかの検討すらできない。過去に積極的安楽死の許容性が問題となったケースと性質が異なり、論評に値しない行為」と指摘している。
 最終更新:7/28(火) 19:31 産経新聞
 
 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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