「出産したらお辞めなさい」 曽野綾子寄稿でネットも大激論

2013-09-05 | 社会

「出産したらお辞めなさい」 曽野綾子寄稿でネットも大激論
 J-CASTニュース2013/9/ 5 11:30
   作家の曽野綾子さんが「週刊現代」2013年8月31日号に寄稿した内容が、波紋を広げている。セクハラやパワハラ、マタハラを訴える女性社員を「甘ったれ」と切り捨て、「出産したらお辞めなさい」と過激な見出しが躍ったからだ。
   曽野さん流の主張は、インターネット上でも議論が白熱している。
■マタハラ、待機児童、産休制度で持論展開
   曽野さんの寄稿は冒頭、出産した女性社員に対する嫌がらせを意味する「マタハラ」を取り上げた。問題ではあるが「経済の単位である会社には、男も女もない」ときっぱり。赤ちゃんが発熱したのを理由に、母親社員が早退するのを毎度快く送り出せる会社ばかりではないと指摘する。
   そのうえで、女性が出産したらいったん退職してもらい、子育てが終わってから再就職する道を確保すればよい、と大胆に提言した。
   次に切り込んだのは、待機児童問題。本来赤ちゃんは母親が、収入を減らしてでも家で育てるもの、と持論をぶつ。働く母親のために保育所を増やせ、という考えには相容れないようだ。
   産休制度も「会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ」。産休中は新たに採用するわけにもいかず、職場でやりくりしなければならない。だから女性を責任あるポストには置けないという。
   パワハラ、セクハラと騒ぎ立てる女性も「幼稚」とバッサリ。「お嫁に行かないの」と聞かれて不快なら巧みに切り返してやっつけてやれ、夜勤や徹夜を嫌がる女性は「夜通し遊ぶことができる女性なら、夜通し働くことも可能です」と突き放す。
「そういう意味で、男女は平等であるべきなんです。『女子だから』と自分たちを特別扱いすることを要求し、思い通りいかなければパワハラだと騒ぐ女子社員がいると、会社は懲りて自然に女性を雇わなくなりますよ」
■翌週号には賛同する女性の意見も掲載
   長文の寄稿文は、同性の女性になかなか厳しい。これには識者の間で議論を呼んだ模様だ。翌週の週刊現代でも、評論家の金美齢さんや西舘好子さんのように「甘ったれるな論」に賛同を示す人、逆に「あきれ果てました」という社会学者の上野千鶴子さんら反対派の言い分が掲載された。
   ツイッターでは、週刊現代の取材にも反対意見を述べていた産婦人科の宋美玄さんが「噴飯ものの『オッサン脳』論文(?)」と反発。写真家の蜷川実花さんも「いくらなんでも酷すぎる」と不快感を表している。
   ツイッターでも、曽野さんへの反対派が優勢のようだ。「働く女性に対するヘイトスピーチ」「あり得ない発言。ますます産む人がいなくなる」「上司な立場のおっさん達が読んでたら、女性社員はますます何も言えなくなるね」。なかには「オンラインでやってたら炎上してただろう」と皮肉る人も。
   弁護士で国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」の事務局長を務める伊藤和子さんは9月3日、ヤフーニュースの「個人コーナー」に寄稿。曽野さんの産休制度に関する主張について、「産休制度は労働基準法65条に明記された労働者保護の根幹。労働者保護のイロハのイ」としたうえで、この「最低限の労働者の権利」を攻撃する人がいるとは思わなかったと驚き、憤慨する。
■解決策は「労働者の権利否定から始まるべきではない」
   伊藤さんは、曽野さんのセクハラやマタハラに関する発言についても、同調する風潮がまん延すれば「女性の権利行使を躊躇(ためら)わせる」ことになると危惧。寄稿文を掲載した週刊現代も問題あり、と指摘した。
   仕事と子育ての両立は困難としたうえで、伊藤さんは「その解決は、労働者の権利を否定するところから始まるべきでは決してなく、権利を前提としたうえでの対策を建設的に議論するほかにない」と断言する。
   曽野さんの提言や掲載した週刊現代の意図が、伊藤さんの言うところの「おじさんたちのガス抜きくらいの軽いノリ」だったのか、それとも批判覚悟で世論に一石を投じたのか。ネット上では意見表明するユーザーが多い半面、大手メディアでは議論の渦は起きていないようだ。
 *上記事の著作権は[J-CASTニュース]に帰属します
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週刊現代Online 2013.8.19
特大号特別寄稿 セクハラ・パワハラ・マタハラ
曽野綾子「私の違和感」 何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ
 ■出産したらお辞めなさい ■早く大人になりなさい ■特別扱いはできません ■社会に出る資格がありません
 社会に出て、自立して生きる女性は増えている。男性と肩を並べ、仕事をこなす。「女だからって差別しないで」、と願ったのは彼女たちだったのに。今やモンスター社員と化した女子社員に、物申す。
出産したらお辞めなさい
 最近、マタニティ・ハラスメントという言葉をよく耳にするようになりました。マタハラとかセクハラとか、汚い表現ですね。妊娠・出産した女性社員に対する嫌がらせやいじめを指す言葉ですが、この問題に対し、企業側は、反対意見を言えないよう言論を封じ込められているようです。
  しかし、このような問題の現実を正視しないでいるようでは、女性は本当の意味で社会進出できないでしょう。経済の単位である会社には、男も女もないんですから。
  そもそも実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理なんです。なぜなら、赤ちゃんは始終熱を出す。大抵はたいしたことないですけど、母親としては心配です。その場合、「すみません、早退させてください」となるのは無理もありません。でも、そのたびに「どうぞ、急いで帰りなさい」と快く送り出せる会社ばかりではないはずです。
  ですから、女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです。
  私の家では今までに女性秘書が3人勤めてくれましたが、全員が今うちに「再就職」をしているんです。結婚と同時に辞め、子どもが中学にあがるくらいになった頃、復帰してもらいました。お互いに相手のことがわかっていますから、雇うほうも楽ですしね。
  それにしても、会社に迷惑をかけてまで、なぜ女性は会社を辞めたがらないのでしょうか――。子どもができたら、共働きをしないと生活が苦しくなってしまう、という心配は出てくるでしょうね。
  この考え方が、私とは少し違うんです。というのも、私たちが若くして子育てをした頃は、みんな貧乏暮らしをするものでした。6畳一間のアパートで新婚生活を始めて、子どもが生まれて手狭になると、やっとローンを組んで家を買う。これが当たり前でした。
  本来、子どもができたら自分勝手なことに使えるお金が減るのは当然なんです。それを、「子どもは国の宝なんだから、国がちゃんと面倒をみろ」と主張するのは、少し考え違いだと思います。子どもは、貯金を減らすなり、ほかのことに使っていたお金を減らすなりして、育てるものです。
  同じような観点から考えると、ふくれ上がる保育所の待機児童の問題も異常だと思うのです。子どもは、自分の家で育てるものです。だから昔は、みんな親と同居していたでしょう。そうすれば、おばあちゃんに子どもをみてもらって、お母さんは買い物にだって行ける。事実、私自身もそうやって仕事をしながら子供を育てました。
  ところが、いまの若い人は親と同居したくないし、収入が減るのも嫌だから、保育所に子どもを預けて働くのが当然というわけです。そして、「働く母親のためにもっと保育所を増やせ、待機児童をなんとかしろ」とおっしゃる。国家もその方向で動くでしょうが、本来子どもを育てるのは親個人です。保育所はあった方がいい。けれど、できるだけ長い時間、親は子どもと一緒にいるべきなんです。
  また、彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ。
  産休は、いつからいつまでと期間を決めて、会社を休みます。辞めてしまって、ずっといなくなるというのなら新しい人材を補填ほてんすれば済むけれど、そういうわけにもいかない。結局、産休で抜けた人の仕事を職場のみんなでやりくりしてカバーしないといけません。こんなことでは、女性を責任あるポストに置くわけにいかないのも当然でしょう。
 *上記事の著作権は[週刊現代Online]に帰属します
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