皇室の将来を危うくする「生前退位」の安易な結論=八幡和郎 「生前退位」実現で皇室は新たな危機に?= 元宮内庁職員が警告

2016-09-06 | 雲上

皇室の将来を危うくする「生前退位」の安易な結論 政治は愚を繰り返すな 八幡和郎氏
 zakzak 2016.08.16
 天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたことを受け、政府はあらゆる選択肢を検討し、陛下のお気持ちを最大限尊重する方向で対応する方針だ。この問題について、『歴代天皇列伝』(PHP研究所)など、皇室関係の著書がある徳島文理大学教授の八幡和郎氏が緊急寄稿した。
   *   *
 陛下の「生前退位」に関するお言葉は感動的だった。だが、政治家や国民が「ご希望通りにしなくては」と単純に受け止めるムードには疑問を感じる。「第二の玉音放送」といわれると戸惑うばかりだ。それでは、陛下が渾身の力で守られている象徴天皇制の趣旨に反する。
 陛下のお言葉を重く受け止めつつも、国会と政府は、将来に向けての展望も踏まえ、自らの責任で決定を下すべきだ。とりあえず、例外的措置として扱うことは憲政の汚点となりかねないし、皇室の将来を危うくする。
 皇室典範の改正でなく、特別措置法で処置する-という意見もある。
 法体系上は皇室典範も一般の法律と同格だが、天皇制の根幹にかかわるので憲法に準じる存在といわれてきた。それが、特措法で例外が可能なら、女帝でも何でも簡単にできることになり、皇室制度は著しく不安定になる。皇室典範そのものを改正するのが王道だ。 有識者懇談会で方向をまとめようという提案があるが、科学技術と違って客観的に結論が出る問題ではない。大事なことだから専門家に任すのでは政治の責任放棄だ。
 有識者懇談会といえば、小泉内閣のときに皇位継承問題で、偏った結論が予想されるメンバーが任命され、安易に女帝や女系天皇を容認する結論を出した苦い記憶がある。その愚を繰り返すべきでない。
 懇談会を設置するとしても論点整理に留めるべきだし、権威をもたすなら人選をより慎重に行うべきだ。専門家の意見が正しいわけでないのは安全保障法制についての憲法論議で懲りたはずだ。
 皇室典範改正が最低必要なのは、(1)生前譲位という制度の創設と要件の設定(2)譲位後の先帝陛下の称号や扱い(3)天皇の子に限られている皇太子に秋篠宮殿下が、悠仁親王が皇太孫に就かれるための規定-である。
 これで、将来はともかく、悠仁親王までは男子男系でという路線について、不安定さを減らすことができよう。
 他にも、さまざまな問題はあるが、あとは継続審議でいい。退位は75歳くらいを過ぎ、かつ、ご自身が望まれるときに限っておけば、不都合はあまりないと思う。
 
 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
----------
「生前退位」実現で皇室は新たな危機に? 元宮内庁職員が警告
  dot.   (更新 2016/7/20 07:00)
 13日にNHKが報道した天皇陛下の「生前退位」の意向は、国民に大きな衝撃を与えた。現状では「憲法上の問題から(皇室典範改正を伴う)生前退位は無理だ」(官邸の政権幹部)ということだが、もし実現すれば、安倍政権、そして天皇の在り方にも影響を及ぼす。
 首相官邸は天皇陛下の意向を尊重し、典範改正など必要な法整備に向けて検討を始め、来年の通常国会で必要な法改正を目指す方針との情報も出ている。宮内庁幹部は「政権との調整がこれから始まるタイミングだっただけに、うまくいかないおそれもある」と話す。政治部記者が言う。
「参院選の勝利で地盤が固まった安倍政権としては、緊急事態条項を含む憲法改正に向けて議論を始めたい。より安定した政治環境をつくろうと、年末までに衆院の解散・総選挙に打って出る可能性もある。現政権は、女性宮家創設を含む皇室典範の改正に消極的で、どの程度進むのかは不透明です」
 第2次安倍政権が発足して3年半が経過したが、皇室の制度改革は進まなかった。政治的なエネルギーを要する典範改正に着手すれば、憲法改正が吹き飛ぶとの懸念があるのか。逆に、官邸情報に強いNHKがスクープしたことで、政権が典範改正を突破口に、憲法改正への機運を盛り上げるとの疑念が野党側に広がる。
 仮に、幾つものハードルを乗り越えて、「生前退位」を含む典範改正が実現したとする。そのとき、皇室は新たな危機にさらされると、元宮内庁職員の山下晋司氏が警告する。
「平成の象徴天皇としてふさわしい働きができない、という理由で生前退位を認めたとしましょう。そして、徳仁新天皇と雅子新皇后の仕事ぶりが国民の期待に応えないもので、『象徴天皇としてふさわしいものではない』と評価された場合、次に『ふさわしい』秋篠宮殿下に譲位しろとの声が起きかねない」
 旧皇室典範は1889(明治22)年に、大日本帝国憲法と時を同じくして制定された。元勲・伊藤博文らは、天皇が随意にその位を退かれるのはもってのほかと論じ、天皇の終身在位の仕組みを作った。それは、天皇が政治的な思惑で「退位」に追い込まれたり、退位した天皇が上皇として権力を振るう危険性を排除するためである。国民の感情で判断する余地が生まれれば、究極には天皇の人気投票につながりかねないと、山下氏は危惧する。
「天皇陛下がご高齢で働かされてお気の毒」「早く退位の制度を整えてお休みになって」
 天皇の「生前退位」報道が出ると、感傷的な声がテレビ画面や新聞の紙面を覆った。だが、皇室制度の根幹をかきまわすような事態は避けるべきであろう。
 1987年から87歳で崩御するまでの1年4カ月間、昭和天皇は病に倒れていたが、摂政は置かれなかった。いまの天皇陛下と、皇太子さまが国事行為を昭和天皇に代わり臨時代行した。摂政は、天皇が精神的・身体的に機能していないことが前提だ。あるジャーナリストはこう解説する。
「それは、周囲が天皇陛下は、たとえ何もできないとしても、在位してくださるだけでいい、それこそが国民の敬愛にかなうのだ、と昭和天皇へ伝え続けたためです。ところが今回は、天皇陛下が、『高齢で象徴天皇として十分に仕事ができない』という話が漏れ聞こえたとたん、『お疲れ様』の大合唱が始まった。まるで『蛍の光』を大音量で流して、舞台から強制退場させているふうにすら感じる。それはご本人の思いとはすれ違うような気もする」
 天皇公務のさらなる軽減や、皇太子ご夫妻への大幅な仕事の引き継ぎなど、可能な範囲で対応できないのだろうか。平成の天皇が、魂を注ぎ込むように築き上げた象徴天皇と、二人三脚で歩んできた皇后の姿を、国民はもう少し見ていたいと感じているのではないだろうか。
  ※週刊朝日 2016年7月29日号より抜粋

 ◎上記事は[ dot. ]からの転載・引用です
------------------------
天皇陛下メッセージ全文 象徴としてのお務めについてのお言葉 2016/8/8 Mon.
.......


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。