ありがとう運転免許証 2022.10.20.

2022-10-20 | 高齢 社会

くらしの作文」中日新聞 2022.10.20. 

 ありがとう運転免許証 
 *****(57歳)
 仏壇に「2022年(令和4年)09年30日まで有効」と記された運転免許証が供えられています。二月に急逝した母のものです。
 母は今年、運転免許の更新があるので検査に受かるだろかと、すごく心配をしていました。その思いにあらがうように、私や家族は更新せずに返納するようにと促していました。なぜなら母は昨年に軽度の認知症との診断を受けていたからです。
 しかしながら今思うと、運転免許を持つ方がまだ稀な時代に母は取得し、魚の行商をしたり、電報配達の仕事を請け負ったりと、人生においてとても積極的で、運転免許に対してひとかたならぬ思いがあったのだと推察されます。
 父が運転免許を持たなかったので、家族旅行では常に母がハンドルを握り、父は助手席。大阪万博、富士山五合目、毎年の夏休みには遠出をしました。
 晩年にはワンボックスカーを購入し、きょうだいを連れてはお寺巡り、時には青森に移住した姉のところまで行ったこともありました。
 六十年近く母の傍らで事故なく見守ってくれ、みんなの思い出がたくさん詰まった免許証。仏壇に供えたのは、他でもない助手席で母の運転に小言ばかり言っていた父でした。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)

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〈来栖の独白〉2022.10.20. Thu.
 (作文投稿者名は実名で載せてありましたが、*****と致しました)
 自分のことのように拝読した。私は、今月の誕生日で免許証の期限が切れる。更新して何か事故を起こしてはいけないので、返納することにした。夫君の妹(=私と同年=私より10日早く誕生)が本年の賀状に「免許証、返納しました」と書いていたのも、私に決心する力をくれた。


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