名張毒ぶどう酒事件「長生きし、兄の名誉回復を」 無実訴え続ける94歳の妹、次の再審請求へ意欲 2024年1月31日

2024-01-31 | 死刑/重刑/生命犯

「長生きし 兄の名誉回復に全力」 94歳 妹 無実訴え続ける
  中日新聞 2024年1月31日 水曜日

 10回目の請求も、またも再審の高い壁を越えることはできなかった。名張毒ぶどう酒事件の再審請求を退けた最高裁決定。無罪を訴え、獄中で病死した奥西勝・元死刑囚の妹で請求人を担った岡美代子さん(94)=奈良県山添村=は落胆を隠せなかったが、「まだ頑張る」と引き続き、兄の無実を訴え続ける意向を示した。

 30日夕、支援者が電話で棄却の決定を伝えると「ええっ」と驚き、がっかりした様子だったという岡さん。だが、弁護団や支援者に感謝を述べた後に、「私も長生きして兄の名誉を回復できるように全力を尽くします」と次の請求に向けて意欲を見せたという。
 岡さんと支援者も高齢化しており、関係者の間では第10次請求審が「最後になるだろう」との声も出ていた。だが弁護団も「第10次請求は幕を閉じるが、事件が冤罪であることの核心はいささかも揺らぐことはない。再審開始、完全無罪判決に向けて、引き続き最善を尽くす」と声明を出した。
 再審請求に40年余携わる弁護団長の鈴木泉弁護士は30日に、名古屋市内で開いた会見で「新証拠の鑑定をした学者の証人尋問を強く求めてきたが、最高裁は認めなかった。第7次請求で最高裁は『科学的な検討が必要だ』と言っていたのに矛盾している」と批判した。
 一方、今回の決定では同事件の特別抗告審では初めて裁判官1人から反対意見が付いた。弁護団からは「実験方法や結果について丹念に検討して、鑑定の信用性を認めてくれた」「市民的な感覚をよく表している」と評価する声が上がった。第11次請求に向け、別の科学的な立証方法がないか検討を重ねるとしている。
 元死刑囚の特別面会人だった稲生昇三さん(84)=愛知県半田市=は「裁判所は事実と向き合うことを放棄した。こういうことでは司法は死んでしまう。岡さんも頑張ると言っているので、今後も支援を続けたい」と話した。
 
 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用、及び書き写し(=来栖)

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