〈脳死〉頭蓋骨を電動のこぎりで切り始めると、その時点で、泥状の脳がポトポトと漏れ出してくる

2011-03-08 | Life 死と隣合わせ

〔脳死と人の死〕鈴木修(すずき おさむ=法医学者、浜松医科大理事)
 中日新聞 2011/3/5 夕刊 「紙つぶて
 政権交代の直前2009年、混乱に乗じてといったら叱られそうだが、改正臓器移植法が国会で成立した。しかも、いわゆるA案が成立したのだ。A案では、脳死は無条件で人の死とうたっている。
 私も脳死状態の死体の解剖をたくさん経験している。司法解剖では、必ず、頭蓋腔(くう)、胸腔、腹腔を開く。脳死者の場合、首から下の各臓器は新鮮でしっかりとしているのに、大脳、小脳などは原形なく、まるで灰色の泥のようだ。頭蓋骨を電動のこぎりで切り始めると、その時点で、泥状の脳がポトポトと漏れ出してくる。やむをえず、洗面器を下にあて、頭蓋骨を開きながら、流れ出てくる泥状脳全体をすくいとる。もちろん脳の所見は取れないことが多い。
 この様に脳死者の脳の状態を見せ付けられると、脳死とは全人的に人の死と実感する。しかし、A案が通っても、まだ脳死を人の死と認めたくない人も多い。一度私どもの解剖をビデオに撮り、お見せすれば考えを変えてくれる人も出てくると思ったりする。
 もちろん、家族の気持ちも理解できる。脳死といわれても、心臓は拍動し、体は温かい。しかし、むごいかもしれないが、医学的に脳死は人の死なのだ。
 臓器だけでも他人の体の中で生きつづけることができると思って、移植を希望した家族も多いと聞く。
 改正臓器移植法が施行されてから、脳死臓器移植件数は3倍以上に跳ね上がった。それだけの数の命が救われるのだ。
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