18歳の責任 少年法適用年齢も検討を 産経新聞【主張】

2015-04-04 | 少年 社会

 産経ニュース 2015.3.29 05:01更新
【主張】18歳の責任 少年法適用年齢も検討を
 選挙権年齢を「18歳以上」とする公職選挙法の改正が検討されている。併せて「20歳未満」と規定される少年法の適用年齢についても議論すべきではないか。
 選挙権を与えるということは、判断能力を備えた大人と認めることだ。同時に、相応の責任も負うことが望ましい。
 終戦前は「25歳以上の男子」と規定された選挙権は昭和21年、新憲法公布とともに「20歳以上の男女」と改められた。逆に「18歳未満」を対象とした旧少年法は23年、GHQの指導もあり、「20歳未満」に引き上げられた。
 現行では、世界の多くの主要国が選挙権、少年法とも、18歳を境界としている。
 少年法は保護、更生を目的としており、犯罪に対する応報としての刑事罰を科す刑法とは趣旨が異なる。子供を守るのは国や大人の責務であり、本来の目的は堅持すべきだろう。
 一方で少年法は、平成12年に検察官に送致できる年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げ、19年には少年院送致の対象年齢を「14歳以上」から「おおむね12歳以上」と改正するなど、厳罰化を繰り返してきた。少年による重大事件が頻発したことが、その理由に挙げられる。
 また少年法は、17歳以下の死刑を禁じている。年長少年と位置づける18、19歳には死刑も可能ということだ。現実に24年には、山口県光市で起きた母子殺害事件で犯行時18歳だった被告に死刑判決が確定した。宮城県石巻市の3人殺傷事件では22年、同じく犯行当時18歳の被告に仙台地裁の裁判員裁判は死刑を選択した。
 究極の刑罰である死刑の選択が可能であること自体、保護や更生を目的とする少年法の趣旨と大きく矛盾している。適用年齢の引き下げで、この矛盾を解消すべきではないか。
 川崎市では2月、18歳の少年を主犯とする、信じがたいほど残虐な殺害事件があった。だが、法改正についての議論は感情的にならず、冷静に推し進めることが必要だろう。
 この事件では、主犯少年の名前や写真が週刊誌やネットにさらされた。これは本人と推知できる記事、写真の掲載を禁じた少年法61条に反する。61条の是非や不備については大いに論じればいいが、脱法行為に胸は張れない。
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  (抜粋)
 それから約70年。少年法は凶悪事件が起こるたび見直され、現在まで複数の改正を経ている。
 第一の大きな契機は平成5年の山形マット死事件。山形家裁の審判で7人中6人が否認し3人が不処分となったにもかかわらず、仙台高裁が不処分の3人のアリバイを事実上否認した。少年審判の事実認定のあり方が問題視された。
 さらに9年の神戸連続児童殺傷事件では、残忍な犯行にもかかわらず、当時刑事罰に問われない14歳だった少年は医療少年院に送致するにとどまった。
 これらの事件を受け、13年施行の改正法では、重大事件の審判で検察官関与を認め、刑事罰の対象を16歳以上から14歳以上に引き下げた。16歳以上が故意に被害者を死亡させた場合は、事件を検察に逆送する「原則逆送制度」も導入された。19年には、少年院送致の下限が14歳から「おおむね12歳」に引き下げられた。
 さらに21年に大阪府富田林市の少年が男子高校生をバットで殴り殺した事件の判決公判では、裁判長が懲役5年以上10年以下の不定期刑を言い渡した上で、「少年法は狭い範囲の不定期刑しか認めておらず、刑期は十分でない」として、無期刑と不定期刑の差がありすぎることを指摘した。さらに、「本件を機に議論が高まり、適切な改正がされるよう望まれる」と異例の言及をした。
 これらのことから、昨年4月の改正では、有期刑の上限を15年から20年に、不定期刑も「5~10年」を「10~15年」に引き上げられた。
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