君が代起立命令は合憲=最高裁/「思想・良心の自由を間接的に制約する面がある、との指摘は重い」橋下知事

2011-05-30 | 政治

君が代起立命令は合憲=元教員の敗訴確定-再雇用拒否訴訟・最高裁
 卒業式の君が代斉唱で起立しなかったことを理由に定年後の再雇用を拒否されたのは不当だとして、都立高校元教諭(64)が東京都に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は30日、「起立や斉唱を命じた校長の職務命令は合憲」として、元教諭側の上告を棄却した。請求を退けた二審判決が確定した。
 君が代をめぐる職務命令について最高裁が憲法判断するのは、ピアノ伴奏命令を合憲と判断した2007年以来2回目で、起立命令では初めて。都教委によると、係争中の同様の訴訟は23件あり、影響を与えそうだ。
 職務命令が憲法の定める思想良心の自由に反するかが最大の争点だった。判決は命令に基づく起立斉唱について、特定の思想を強制するものではないものの、個人の歴史観とは異なる行動を求められることで、間接的に思想良心の自由を制限していると判断した。
 その上で、入学式や卒業式は教育上重要な行事で秩序の確保が必要なことや、法律で国旗国歌が定められていること、全体の奉仕者としての公務員の地位などを踏まえると、命令には自由の制限が許されるだけの必要性や合理性が認められ、憲法に違反しないと結論付けた。
 判決は4裁判官全員一致の意見。須藤裁判長は「強制や不利益処分はできる限り抑制的であるべきだ」とし、千葉勝美裁判官は「国旗、国歌の問題は、強制的ではなく自発的な敬愛対象となるよう環境を整えることが重要」とする補足意見を、それぞれ述べた。
 元教諭は04年の卒業式で起立を拒否して戒告処分を受け、定年後に再雇用を申請したが、07年に不合格とされた。一審では原告の主張が一部認められたが、二審で逆転敗訴していた。時事通信2011/05/30-21:26
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大阪府の起立条例案審議に影響も 国旗国歌訴訟判決
日本経済新聞2011/5/30 21:12
 君が代斉唱で起立を命じた校長の職務命令を合憲とした最高裁判決は、教職員に起立・斉唱を義務付ける条例案が提出された大阪府議会の審議にも影響を与えそうだ。
 橋下徹知事率いる地域政党「大阪維新の会」は全国初とされる条例案を25日に府議会に提出。維新が過半数を握っているため、6月3日の本会議で可決される見通しだ。罰則は設けていない。
 条例の狙いについてこれまで知事は「教育委員会だけに指導を任せず、政治が一定の規範を示す必要がある」と説明していた。この日、最高裁判決を受け「世間は条例であえてやる必要はないという流れになってくると思うが、それでも条例が必要な理由をしっかり説明しなければならない」と述べた。
 義務化を迫られる学校現場には波紋も広がり、府教委幹部は議会で「現場の指導で起立しない教員は減っている。条例による義務付けは必要ない」との考えを示している。
 橋下知事は罰則についての条例を9月議会で成立させる意向を表明。これまで知事は「君が代で起立しない教職員は絶対にやめさせる」と強い調子で話していたが、この日は「『思想・良心の自由を間接的に制約する面がある』との指摘は重い。君が代だけをターゲットにしたものにはしない。(学校の中で)ふさわしくない行為は何なのか考えたい」と後退した。
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支局長からの手紙:起立して歌え /宮崎
 四半世紀も前のことだが、ある県で高校の教員採用試験を受けたことがある。その記憶がよみがえったのは、次のニュースを読んだからだ。
 入学式や卒業式で、君が代を起立して斉唱するよう教職員に義務付ける条例案を、「大阪維新の会」の大阪府議団が府議会に提案した。維新の会は、橋下徹知事が自らの主義・主張実現のためにつくった首長政党。先の統一地方選で府議会の過半数を制しており、条例案の可決は確実という。
 大阪本社版の記事によると、橋下知事は「国旗・国歌を否定するなら公務員を辞めればよい。自分の職場環境だけでしかバカな主義主張を貫けない教員はとっとと辞めてもらう」と主張し、不起立を繰り返す教職員を処分するための条例案もいずれ提案するという。
 私が思い出したのは面接の質問だった。「君が代斉唱中に起立しない教員がいますが、どう思いますか」。試験官にこう聞かれた。入学・卒業式での「日の丸掲揚」「君が代斉唱」の義務化が、学習指導要領に盛り込まれる少し前だった。起立強制は「思想信条の自由の侵害だ」などとして、各地で教員らと管理職との対立が起きていた。
 面接の質問は「初めに芽を摘んでおく」という趣旨だったかもしれない。「あまり強制すべきことでないと思う」という内容のことを答えた。試験は不合格だった。
 その後も、教委による教員の大量処分や、教員が懲戒処分取り消しを求めて裁判を起こすなどのいざこざは続いた。
 だが、今や起立しない教職員はほとんどいないと聞く。そもそも「起立して歌え」というのは、条例で定めなければならないことなのか。どうにも違和感がぬぐえない。
 くだんの試験官の質問に、今ならどう答えるだろう。「起立ぐらいしていいのでは」だろうか。思想信条というより、それが他の出席者らへの礼儀だと思うからだ。<宮崎支局長・池田亨>
毎日新聞 2011年5月30日 地方版
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