五輪フィギュア、採点傾向に変化

2010-02-28 | 相撲・野球・・・など

五輪フィギュア 採点傾向に変化、ジャンプ回転数甘めに
(毎日新聞) 2/27 19:32
 バンクーバー冬季五輪のフィギュアスケートは25日に競技が終了し、日本勢は女子の浅田真央(中京大)が銀メダル、男子は高橋大輔(関大大学院)が日本男子初のメダル(銅)を獲得し、男女とも代表3人全員が入賞した。吉岡伸彦監督は「複数メダル獲得の目標を達成できた」と評価し、選手層の厚さを改めて示した。
 今大会は高得点化が進み、自己ベスト得点や今季ベスト得点の更新が続出。ジャンプ回転数の認定は甘めで、エレメンツ(要素)のGOE(出来栄え評価)、表現力などを示すプログラム構成点も高めだった。平松純子・国際スケート連盟(ISU)技術委員は「(ジャッジ用)教育ビデオで『質のいいものはどんどん点をあげよう』とあり、それが表れてきた」と指摘。「ジャンプは高さや前後の流れで質を評価するし、連続ジャンプは高さの差が大きい『親子』より、差が少ない『兄弟』の方がいい」と説明する。
 その点、自身の世界歴代最高得点を18点余りも更新した女子優勝の金妍児(キム・ヨナ、韓国)は、採点傾向の流れに沿った演技だった。高くて「兄弟型」の3−3回転連続などジャンプの質が高く、他の要素も完ぺき。フリーは基礎点より17.40点も上積みした。
 浅田はトリプルアクセル(3回転半)を女子で初めて1試合で3回成功の快挙を成し遂げた。だが、フリーで基礎点からの上積みは8.82点で、金妍児に遠く及ばない。スパイラルやステップのGOEは高かったが、ジャンプの加点が少ない。フリーでジャンプの2度のミスがなくても勝てなかった。今季は苦手なルッツやサルコウを回避したため、トリプルアクセル頼みになり、それが得点上積みのうえで限界となった。
 女子5位の安藤美姫(トヨタ自動車)はSPで3−3回転のミスで出遅れたのが響いた。フリーではミスを恐れて演技が硬く、加点を得られなかった。
 男子も4回転を回避したライサチェク(米国)が優勝。4−3回転連続ジャンプを決めながら2位に甘んじたプルシェンコ(ロシア)が不満を訴えたが、ジャンプの質の低さで加点が少なかった。
 高橋の銅メダルは後進にも希望を生み、単なるメダル獲得にとどまらない歴史的意義を持つ。プログラム構成点の高さは採点傾向の流れにも合っていた。
 女子4位に両親が日本人の16歳、長洲未来(米国)が入る大健闘を見せ、上位5人は3位のロシェット(カナダ)を除いてアジア人。ペアでは中国勢が金銀メダルを占めた。アイスダンスはバーチュー、モイヤー組(カナダ)が優勝し、この種目で初めて欧州勢以外が制した。ロシア勢はペアで13連覇を阻まれるなど、60年スコーバレー五輪以来の金メダルゼロ。世界の勢力地図が大きく変わった。【来住哲司】
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【五輪の中の世界】異次元の強さに衝撃/金妍児 米メディアは分析に夢中
産経ニュース2010.2.27 17:06
 フィギュア女子での金妍児(キムヨナ)の圧勝は、欧米メディアにも衝撃を与えたようだ。彼女はどれほどすごいのか、歴史の中にどう位置づけられるのか。各紙はこぞって分析に夢中になっている。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、「技術と洗練の前例のないコンビネーション」「あらゆる時代を通じてもっとも偉大な選手の1人」と評価した。
 1984年サラエボ五輪男子金メダルのスコット・ハミルトン氏は、彼女を「ライバルの戦意を喪失させる圧倒的な存在」とみる。
 「妍児があと4年、現在のレベルを維持したら、ほかの選手はどうしようもないだろう。焦りが無理につながり、けがをしてしまうかもしれない」
 ロサンゼルス・タイムズ紙は、「競技者としての部分と、芸術家としての部分が、これほど完璧(かんぺき)に調和した選手はかつて存在しなかった」。
 ロイター通信は「男子選手は妍児と競わずにすんだことを感謝しているだろう」とし、妍児の演技を「史上もっとも偉大な演技のひとつ」と絶賛した。
 歴史上の名選手との比較も興味深いテーマだ。
 92年アルベールビル五輪金メダルのクリスティ・ヤマグチ氏は、1920年代から30年代にかけての名選手で、後にハリウッド女優としても活躍した故ソニア・ヘニー選手を引き合いに出し、「フィギュアの演技は常に時代とともに移り変わるもの」と単純な比較を戒めつつも、「技術的にいえば、妍児の演技は女子フィギュアを別の次元に押し上げた」と指摘する。
 一方、ハミルトン氏は「へニー選手はフィギュアの革新者だったが、妍児はそうではない」と指摘。総合的な完成度の高さこそ彼女の長所だと分析した。
 いずれにせよ、バンクーバーでの演技がフィギュアの新時代を切り開いたことは間違いない。
 試合後の会見では「演技が終わって、『想像したほど大変じゃなかった』と思った」とも言ってのけ、技術面に加え、精神面でも別格であることを見せつけた。(バンクーバー 松尾理也)

五輪の結果を受けて最高難度ジャンプの価値見直しも<国際スケート連盟>2010/03/03
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〈来栖の独白〉
 金妍児選手は、比類ない美しさだった。浅田真央選手の演技中の顔には、これまでの彼女らしい笑顔がなく、厳しさ、苦しさだけを私は感じた。演技を終えて、「(演技の4分間は)長かった」と言い「短かった」とも述懐した。苦しかった4分間だったのだろう、と痛々しい思いで聴いた。オリンピック開始前からのメディアでの注目、そして国民の応援が、まだ19歳、あどけなさの残る天才に過重な圧迫となった。オリンピックという場で何としても「金」を獲り、国民の期待に応えねばならない。メディアは「日の丸」の期待を連日、浅田に伝え続けた。これでは浅田は壊れてしまう、私は強く危惧した。驚異の集中力とトレーニングで3回転半を3回成功させたが、笑顔は失われていた。
 一方、鈴木明子選手は、演技のさなかにあって笑みがこぼれ、終始楽しそうであった。演技を終えては、「(終わるのが)勿体ない、と思った」と。
 銀メダルに輝いてなお悔し涙を見せた浅田。一方、8位入賞で喜色を満面に隠さなかった鈴木。
 オリンピックが終われば、球春だ。埼玉西武ライオンズ・菊池雄星投手の事が気になっている。西武は三顧の礼で菊池を迎えた。メディアは岩手へ足を運び、まだ高校生の菊池を報道した。ここまで騒がれては、誰でも自分を特別な者と勘違いしてしまうのではないか。逸物には違いないだろうが、危うい。西武は菊池の出場を睨んで鉄道のダイヤを決めた。球場への観客動員を目論んでのことだ。
 菊池はルーキーだ。開幕一軍だって、私は危ぶんでいる。


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