【突破する日本】中国、尖閣強奪の危機 「森友学園国会」の空費、現実逃避策では許されない
★(4)
連載:突破する日本 zakzak 2017.03.17
国会は「森友学園国会」と化して空費している。その間もわが国の「危機」は高まっている。
産経新聞は12日、「トランプ政権の(沖縄県)尖閣諸島防衛の公約にもかかわらず、中国は尖閣海域への侵入を増し、日本の施政権の侵食に成功している。このままだと中国は尖閣施政権の共有を宣言しかねず、日本にとっては危機が高まったといえる」とする、米国の防衛問題大手シンクタンク「戦略予算評価センター」の上級研究員、トシ・ヨシハラ氏の衝撃的な分析を紹介している(古森義久氏『あめりかノート』)。
尖閣海域に入ってくる中国海警の警備艦隊は昨年中ごろまでは2隻編成だったが、4隻に増えている。個々の艦もより大型かつ新鋭となっている。それを排除しようとする日本の海上保安庁巡視船との持久戦では、中国が勝つことが確実となってきた。
中国海警は尖閣の日本の領海や接続水域に月平均3、4回侵入しているが、恒常的かつ自由自在に尖閣海域をパトロールできる能力をほぼ獲得した。尖閣の施政権は一方的にせよ、中国の手にあるのだと宣言できる状態に近いという。
米トランプ政権発足後、日米両政府は、尖閣は日米安保条約第5条の適用対象であることを確認した。これで日本国民は「米国が守ってくれる」と安心している。しかし、5条が適用されるのは、わが国の施政権下にあることが前提だ。わが国が実効支配していなければ適用されない。それが危ぶまれているというのだ。
わが国が実効支配していない土地や海域を米軍が守ったり、取り戻してくれることはない。あくまで、実効支配はわが国で行わなければならない。わが国が実効支配している尖閣諸島を、中国が正面から軍事進攻であれば米軍は日本に応戦できる。しかし、周辺海域から日本を排除することに米軍は手を出せない。日米安保条約の隙間を突いた戦略だ。
そのうえで尖閣に対して日本が先に挑発行動を取ったという口実で、中国が米軍の介入を抑えて「短期で過激な戦争」の準備をしている可能性があるとヨシハラ氏は警告している。
背景には、海警を背後から指揮する中国海軍が尖閣だけでなく、東シナ海全域を制覇して戦略特権を築こうという戦略があると指摘する。その先には、米軍を東アジアから排除するという野望があるとも分析している。
これが、われわれの目前にある危機だ。国会はこのような事態にどう対応すべきか、法整備はできているのかを議論する場だ。朝鮮半島も危ない。「ダチョウの平和」(=ダチョウは危機が迫ると砂の中に頭を突っ込み、危険を見ないようにしてやり過ごすとされる)をむさぼっている暇はない。
■八木秀次(やぎ・ひでつぐ)
1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士課程中退。専攻は憲法学、思想史、国家論、人権論。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。教育再生実行会議委員、法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長など。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)など多数。
◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です
----------
* 「森友学園国会」の様相…外交・安保危機放置で民進支持率1%アップのみ ★(3)八木秀次
* 南スーダン撤退と森友問題は関係あるわけがない 蓮舫氏のアリバイ批判は、政局しか見えない近視眼的見方 ★(2)八木秀次
* 「森友学園」問題での倒閣運動は無理筋 度が過ぎる「同じ穴のムジナ」現象 ★(1)八木秀次
――――――――――――――――――――――――
◇ 中国の奥の手は「敵国条項」 その瞬間、「尖閣は中国のもの」となる 中西輝政 月刊WiLL2013年2月号
...........