貴乃花はモンゴル派閥の何がそんなに許せなかったのか 『現代ビジネス』 2017.11.27

2017-11-27 | 相撲・野球・・・など

貴乃花はモンゴル派閥のなにがそんなに許せなかったのか  覚悟を決めた可能性も 
 現代ビジネス 2017.11.27
 世の中でパワハラが社会問題になっても、角界は変わらない。外国人力士は増えたが、国際化するどころか、ますます閉ざされた世界になっている。貴乃花親方はそこに一石を投じようとしているのか。
*誰も止められなかった
 また繰り返された角界の暴行事件。渦中にいるのは加害者の横綱・日馬富士、被害者の平幕・貴ノ岩、そして貴ノ岩の師匠・貴乃花親方である。
 「事件が発生してスポーツ紙が報じるまでの間、11月2日に元横綱の親方と現役横綱が一堂に会する親睦会『横綱会』が福岡市内で開催されました。
 八角理事長(元横綱・北勝海)も参加したこの会に、貴乃花親方だけが欠席したんです。このときすでに相撲協会と事を構えるつもりだったんでしょうね」(貴乃花部屋関係者)
 貴乃花親方と懇意といわれるスポーツニッポンが暴行事件をスクープしたことも偶然ではない、というのも相撲協会関係者の一致した見方だ。
 事の起こりは、10月25日深夜、巡業が行われた鳥取市内での宴会。繁華街のラウンジには、日馬富士、貴ノ岩のほか、横綱・白鵬、横綱・鶴竜、関脇・照ノ富士らモンゴル人力士や付け人ら十数人が杯を重ねていた。
 ここで貴ノ岩が酒の勢いもあって「これからは自分たちの時代ですかね」と軽口を叩いた。これに日馬富士が激怒して説教する。
 さらに、その際中に貴ノ岩のスマホが鳴り、操作を始めた。日馬富士の怒りのタガは外れ、ビール瓶を手にとり、貴ノ岩の頭部を殴打。倒れたところを素手で20発以上殴った。
 一部報道によれば灰皿、カラオケ機器、アイスピックまで振り上げたという。一歩間違えば、貴ノ岩の生命が危険にさらされていた。
 「力士の喧嘩はお互いが頑丈なので、つい道具を手にしてしまうんですが、明らかにやりすぎですよね。日馬富士は、ふだんは温和で紳士的なのですが、酒グセが悪い。
 かつて朝青龍が健在だったころは、日馬富士は弟分でいじられ放題だった。だから酒を飲んでも、朝青龍がいたから、暴力をふるうことはなかった。
 ところがいま、モンゴルの同胞グループ内には彼を止められる人がいないんです。先輩横綱である白鵬より日馬富士のほうが年上。若い時分は二人でよく飲んでいましたが、いまは横綱同士でお互いに気を遣って、酒席が一緒になることは珍しい。
 白鵬は日本人女性と結婚したこともあり、モンゴル人グループ内でも孤高の存在で、日馬富士ともやや距離があります。後輩の鶴竜は日馬富士に逆らうことはできない」(相撲協会関係者)
 モンゴル人力士の飲み会は元小結の旭鷲山が関取になった'95年ごろから開催されるようになった。最初は3人ほどの集まりだったが、徐々に人数が増えていく。いまモンゴル出身の力士は関取だけでも12人。大所帯の「派閥」になった。
*同胞とはつるむな
 「異郷で暮らす寂しさからか、モンゴル出身の力士は地方巡業のときだけでなく、都内のモンゴル料理屋などで年に何度も懇親会をします。メンバーはみな酒が強く、酔うと荒っぽくなる。
 しかし、日馬富士は結婚し3人の子宝に恵まれて、横綱にもなったので、だいぶおとなしくなったとも聞いていました。ただ、後輩の挨拶や礼儀には厳しいですよ」(スポーツ紙相撲担当記者)
 貴ノ岩はそういうモンゴル派閥とは距離を置いており、今回珍しく宴席に出席したのは、母校である鳥取城北高校の恩師が参加していたからだろう。ふだんはモンゴル人の飲み会にも参加しなければ、つるむこともない。
 たとえば他の相撲部屋所属でも先輩力士が同じ店で食事をしているとわかれば、後輩が挨拶に出向くのが、角界のルールである。ところが、貴ノ岩はそうしたことを一切しないのだという。
 「これは力士同士の馴れ合いを嫌う貴乃花部屋の方針によるところが大きい。
 部屋を作ったときに、『外国人力士は入れない』と公言していた貴乃花が、貴ノ岩の才能に惚れこんで弟子にした。貴ノ岩も父親のように貴乃花親方に心酔して、師匠の方針に従っているんです。
 日馬富士にしてみれば、モンゴル出身の先輩に対して挨拶ぐらいちゃんとしろよ、と以前から貴ノ岩に不満を持っていた。それがヒートアップして暴力をふるってしまった。
 最終的には二人はその場で和解して、酒席は解散したそうです。周囲も大したケガはしていないと思っていたのでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
 貴ノ岩も当初は貴乃花親方に「転んだ」と報告し、翌日の巡業にも参加している。
 だが、暴行から4日後の10月29日、貴乃花親方は巡業先の広島県福山市から鳥取県に舞い戻り、鳥取県警に被害届を出した。
 後日体調不良を訴えた貴ノ岩から、すべてを聞いてそうした行動に出たのだろう。貴ノ岩は「脳震とう、左前頭部裂傷、右中頭蓋底骨折」など全治2週間だった。
 11月3日、警察からの問い合わせでトラブルを知った相撲協会担当者から事情を聞かれた貴乃花親方は、「わからない」と回答をした。その真意もまた誰にもわからない。
 だが、巡業部長という立場でありながら、事前に協会に相談することなく、被害届を出した。これは覚悟を持ってのことだろう。協会に明かせば、話し合いで示談となり、事件は公にならないと考えたに違いない。
 先輩横綱にあたる伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が、日馬富士とともに謝罪のために部屋を訪れた際、貴乃花親方はちょうど車で出かけてしまい、すれ違いとなった。
 だが、車内から二人の姿は見えていたはずなのに、車を止めずに走り去った。横綱が袴を着てくることだけでも、よほどのこと。それを無視したのである。宣戦布告ともとれる。
*貴乃花の強すぎる使命感
 「モンゴル人力士の集まりについては、あまり良く思っていない親方や女将さんはいるんですよ。その一人が貴乃花親方なんです。
 所属する部屋や年齢、番付が異なる力士が集まってグループを作れば、内部でトラブルが起こることもありえる。彼らはモンゴル語でよく携帯でも話していますから、そのことで、八百長が疑われるようなことにもつながりかねません。
 次々とモンゴル出身の横綱が誕生し、メンバーの態度が大きくなっていったという面もありますね」(前出・相撲協会関係者)
 日馬富士は今年の秋場所において、最低ラインとも言える11勝4敗で優勝を果たした。その日馬富士から愛弟子が一方的に暴行を受けたのだ。
 優勝すれば後輩に暴力をふるってもいいのか。正義感あふれるガチンコ力士として横綱に上りつめ、いまは相撲協会の改革を訴える貴乃花親方が、激しい憤りを覚えるのは当然かもしれない。
 「貴乃花親方は相撲界を自分が導くという強すぎる使命感を持っています。来年1月には2年に1度の協会の理事・理事長選挙が開催されます。
 前回の理事長選で貴乃花親方は八角理事長に完敗して、『もう出ない』と言っていました。ですが、今回の事件により、結果的に八角理事長の責任問題は避けられません。
 しかも次は伊勢ヶ濱親方と見る向きもありましたが、その目も無くなってしまいました。そうなれば、次の理事長選では消去法で貴乃花親方となってもおかしくありません」(前出・スポーツ紙記者)
 貴乃花親方は理事長となり、今回の事件を契機に、角界から「かわいがり」を一掃する覚悟を固めたのか。
 '07年6月、時津風部屋の力士・時太山(斉藤俊さん・享年17)は兄弟子からビール瓶やバットで殴られるなど集団リンチを受けて亡くなった。父親の斉藤正人氏が言う。
 「角界は変わっていない。いや、もっと悪い。加害者が横綱で、他の部屋の力士を殴っているんだから。隠蔽体質も変わってない。
 あれから相撲協会も、時津風部屋も、兄弟子たちも、『墓前にお参りしたい』と言っていたのに、一切連絡がないですよ。今回の件も昔なら『酒の席のことだから』で済んだかもしれないですが、いまはそういう時代ではないでしょう」
 鳥取県警は傷害罪で日馬富士に対する捜査を開始した。起訴される可能性も高い。貴乃花親方が理事長として、協会の襟を正す日はくるのか。
 「週刊現代」2017年12月2日号より

 ◎上記事は[現代ビジネス]からの転載・引用です
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「真実を話し、膿を出し切って日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてあげたい」白鵬 2017/11/26
孤高の貴乃花親方、不可解行動に秘められた真意  理事剥奪も覚悟、激しさ増す執行部とのせめぎ合い
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