<米国アーカンソー州>駆け込み死刑執行2017/4/20 薬物期限迫り11日間で8人計画 注目される鎮静剤ミダゾラム

2017-04-22 | 死刑/重刑(国際)

アーカンソー州「駆け込み死刑」論争で注目される鎮静剤ミダゾラム
2017年4月19日(水)13時20分 ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
 <死刑執行で使われる麻酔薬が実は効いていなかったら......この恐ろしいケースはアメリカで複数報告されている事実だ>
 アメリカ南部アーカンソー州が4月末の注射薬の使用期限に間に合わせるため前倒しで死刑を執行しようとし、国内外で論争を引き起こしている。連邦地裁は15日、執行差し止め命令を出した。ニューヨークタイムズなど複数のメディアが報じた。
 事態が発覚したのは先月上旬。同州のエーサ・ハチンソン知事が署名した死刑執行命令書によれば、4月17~27日に8人という、前例がないほど短期集中的な死刑の執行が計画され、これに反発した死刑囚や支援グループなどは3月28日、執行停止を求めて州を相手取り訴訟を起こした。
 米NPOの死刑情報センター(DPIC)によると、これほどの短期間で集中的に死刑執行が実施されれば全米でも前代未聞の事態。ここで同時に注目を集めたのは使用される薬品の危険性だ。
*鎮静剤が注目される理由
 欧州を拠点にする製薬メーカーの多くが、死刑で自社製品が使用されるのを拒否する動きがある。アメリカでは代替薬として催眠鎮静剤ミダゾラムが使用されているが、麻酔の効果を発揮せず、死刑囚が苦しんで死亡するケースが相次いで報告されている。
 特に2016年、米製薬大手ファイザーが「死刑執行に用いる薬品は販売しない」と宣言し、業界も強く同調。不正な販売ルートの取り締まり強化などで入手はさらに困難になった。CNNによれば、アーカンソー州も薬品の不足と法、倫理上の問題で、2005年まで死刑の執行を完全に見合わせていた。
 今回アーカンソー州にミダゾラムを販売していた米マッケソン社も、販売する際の使用目的を「医療行為」に限定しており、アーカンソー州の注文を受けたとき「誤解」して販売したという。同社は13日、「アーカンソー州は、意図的にマッケソンの販売目的をかいくぐった」と声明を発表。全額返金と引き換えに薬瓶10本分のミダゾラムの返品を求めているが返品は完了しておらず、薬を取り戻すために法的措置を含め「あらゆる手段」を検討していると米CBSの取材に答えている。
*死刑そのものへの疑問
 今月予定されていた死刑のうち、2人はすでに別の手続きを踏んで阻止されていた。連邦地裁は4月6日、ジェイソン・マックギ―の刑執行を中止し、さらに14日、ブルース・ワードにも同様の措置を取った。
 CNNによれば、17日に死刑執行予定だったブルースは1990年に女性を絞殺した罪で収監されているが、弁護士は「ブルースに責任能力は無い」として死刑が適さないと主張してきた。ハーバード・ロースクールはレポートの中で、この8人の死刑囚のうちワードを含む6人が、精神的に何らかの異常があると指摘している。
*論争は今後も続く
 15日の執行差し止め命令を受けてアーカンソー州のレズリー・ラトレッジ検事総長は、判決を不服とし上訴する意向を示している。背景には、死刑執行までに「何十年も待っていた」という被害者家族の心理的苦痛もある。
 一方で同連邦地裁のクリスティン・ベイカー裁判官は「ミダゾラムが死刑囚に適切に効かない場合、死ぬ前に重度の痛みを被る」として、囚人側が死刑の執行方法について争うことは可能だとしている。
 法、製薬業界、被害者心理という複雑な問題が絡み合うテーマだけに、今後も論争は続きそうだ。

 ◎上記事は[NewsweekJapan]からの転載・引用です
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米アーカンソー州、05年以来の死刑執行 計画に批判相次ぐ中
AFP=時事 4/21(金) 21:29配信
【AFP=時事】米アーカンソー(Arkansas)州で20日、同州が今月中に計画している集中的な死刑執行スケジュールに対し性急過ぎるとの批判の声が上がっている中、2005年以来となる死刑が執行された。
  刑が執行されたのはレデル・リー(Ledell Lee)死刑囚。米連邦最高裁が執行期限間際の一連の異議申し立てを却下した後、刑は執行された。
  20年以上前に死刑を宣告されたリー死刑囚だが、法的争いによってこれまで刑は執行されてこなかった。20日も激しい法的争いが繰り広げられ刑の執行は期限が切れる21日午前0時の直前となった。米連邦最高裁や連邦地裁は、一時的な死刑執行の停止を命じていたが、最終的に命令は撤回された。
  同州のレスリー・ラトレッジ(Leslie Rutledge)司法長官は死刑執行後に発表された声明で「今夜、数十年にわたる多くの異議申し立ての末、裁判所が支持した陪審の判断による合法的な刑が執行された」と述べた。
  アーカンソー州では今月中にさらに3人の死刑囚の刑の執行が予定されている。同州では当初、今月17日から27日までの11日間に8人という、前例がないほど集中的な死刑執行が計画されていたが、現在その一部は裁判所で争われている。
  エーサ・ハチンソン(Asa Hutchinson)アーカンソー州知事は、今月末に死刑の薬剤注射に使われる薬物の使用期限が迫っているため、今回の死刑執行の計画は必要だと述べていた。【翻訳編集】 AFPBB News 最終更新:4/23(日) 2:05
 
 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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<米国>駆け込み死刑執行 薬物期限迫り11日間で8人計画
毎日新聞 4/22(土) 19:37配信
 【ロサンゼルス長野宏美】死刑に使う薬物の使用期限が迫っているため、今月17日から11日間で8人の死刑執行を計画していた米南部アーカンソー州で20日深夜、1人目の死刑が執行された。集中的な「駆け込み執行」は前代未聞との批判があり、俳優のジョニー・デップさんらが現地で抗議運動に参加した。
 死刑が執行されたのは1993年に女性を殺害した罪で死刑判決を受けた黒人のレデル・リー死刑囚(51)。
  米国では主に薬物による死刑執行が行われてきたが、製薬会社が販売を拒否するなど、執行用薬物の入手が難しくなっている。アーカンソー州では執行に使われる3種類の薬物の一つである鎮静剤「ミタゾラム」の使用期限が今月末に切れることから、17~27日に8人の死刑を執行すると発表していた。
  死刑囚らが執行停止を求めて訴訟を起こし、再審理の必要性などで8人のうち4人に対する執行は直前で差し止められたが、連邦最高裁は20日、リー死刑囚について執行を認めた。州司法長官は執行後、「遺族は正義を待ち望んでいた」との声明を発表。来週、さらに3人に対する執行が予定され、弁護人が差し止めを求めている。
最終更新:4/22(土) 23:37
 
 ◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です
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「死刑執行に、うちの製品使うな」米製薬大手・ファイザーが販売を限定 20165/13
注射された薬物が効かず、死刑は中止 43分間悶絶して死んだ死刑囚 / 米国で再燃する死刑議論
死刑執行の薬物注射に失敗し、死刑囚が苦しみながら死亡する事故 米南西部アリゾナ州 2014.7.23
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