埼玉・祖父母強盗殺人事件 少年(当時17歳)に懲役15年判決 東京高裁 秋葉康弘裁判長 2015.9.4.

2015-09-04 | 少年 社会

祖父母殺害などの罪 少年に2審も懲役15年判決
 NHK NEWS WEB 9月4日 17時37分
 去年3月、埼玉県川口市のアパートで祖父母を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われた当時17歳の少年に2審の東京高等裁判所は「結果は重大だが、少年の成育環境や犯行への母親の影響といった考慮すべき事情もある」として、1審に続いて懲役15年の判決を言い渡しました。
 この裁判は去年3月、川口市のアパートで70代の祖父母を殺害して現金などを奪ったとして、当時17歳で現在は19歳の少年が強盗殺人などの罪に問われたもので、1審のさいたま地方裁判所は懲役15年の判決を言い渡しました。
 弁護側は「母親から虐待を受け続け、祖父母を殺してでも金を借りるよう指示され、逆らえなかった」などとして控訴していました。
 4日の判決で東京高等裁判所の秋葉康弘裁判長は、「犯行を指示していないという母親の証言には不自然な点があり、強い疑念が残る」として、弁護側の主張を認めました。そのうえで、「強盗殺人の結果は重大だが、少年の成育環境や犯行への母親の影響といった考慮すべき事情もある。1審の判決は今回の犯行の重さや、同じような事件の判決に照らして不当とはいえない」として、1審に続いて懲役15年を言い渡しました。
*過酷な生い立ちたどった少年
 少年の弁護士や裁判の資料によりますと、少年は物心がつくようになってすぐに両親が別居したため、母親と生活するようになりました。少年が8歳のころには母親が夜遊びを繰り返すようになり、知らない男性が家に出入りするようになりました。
 10歳のときには母親が突然いなくなって1か月間連絡が取れなくなり、その後、戻ってきた母親と交際相手の男性との生活が始まりました。
 11歳になった平成20年からは、2年余りもホテルでの宿泊や公園での野宿を繰り返す不安定な生活を余儀なくされ、母親や交際相手の男性から虐待され続けたということです。
 少年は事件後につづった手記で当時の心境について、「生きているのがただただつらいいだけだった。何も見えないで全く消えない闇の中を迷っている感じだった」と記しています。
 さらに、小学5年生以降は学校に通わせてもらうこともできず、社会とのつながりを断たれていました。
平成22年、13歳になるころに、母親が生活保護を受給して横浜市の簡易宿泊所に身を寄せることになり、いったんは生活が落ち着きました。このころには、横浜市内のフリースクールに、しばらく通うことができました。しかし、生活保護を受けることで自由にならなくなった生活に嫌気がさした母親が簡易宿泊所を出ることを決め、再び不安定な暮らしになりました。母親は自分では働かず、少年に対して親戚に金を借りに行くよう命じるようになり、少年は親戚にうそをついて借金を重ねざるをえなかったといいます。
 少年は16歳になると、家族を養うために塗装会社に就職しましたが、母親に指示されるまま、給料を何度も前借りさせられていました。しかし、母親はそのお金を遊びに使い続けていたということです。親戚に借金を断られるようになり、母親から祖父母に金を借りてくるよう執ように迫られた少年は、追い詰められた末に犯行に及びました。少年は手記の中で、「絶望。恐怖。そんなことしか感じられなかった。死ねたら楽だろうな。何度もできないことを考えた」と当時の苦しい胸のうちを明かしています。
 一方で、少年は最近、支援者と文通したり、面会したりする機会が増えているということで、4日の判決でも、「自分自身の問題点を理解し、事件に対する反省を深める兆しが見られる」と指摘しています。
*フリースクールの責任者は
 少年は14歳の11月下旬から2月初旬までの間に、合わせて13日このフリースクールに通っていました。
 当時の責任者の男性は「ごく普通のとても気持ちが優しい感じの子でした。表情はちょっと暗かったが、住む場所を転々として継続的に学べていなかった分、学校に通いたい、学びたいという気持ちは、ひしひしと伝わってきました」と振り返りました。
 最初に、少年と面接した記録には「漢字をマスターしたい」、「マンガを描くのが好き」などと記されていました。少年は当時、中学2年生の年齢でしたが、フリースクールでは小学校3、4年生の算数や低学年の漢字について、学んでいたといいます。
 ただ、少年は周囲の人との関わり方が得意でないように見えたといい、「反抗的とか人を拒否する態度やことばづかいは一切なかったが、仲間に入りたいけれど、なかなかその輪に入れない、ちょっと引いたところでみんなの楽しそうな様子を見ている感じでした」と話していました。
 そのうえで、「事件を起こしたことは問題だが、地域社会とか私たちも含めた周囲の大人が、もう少しアンテナを高くして、少年を見守ることができていれば、違った結果になっていた気がします。貧困や家庭の問題などで学校に通えない子どもを支援していく仕組み作りをしっかりしないと、同じようなことが、また起きてしまうおそれがあります」と指摘していました。
*専門家「親子両方に支援必要」
 少年の心理に詳しく、事件後に少年と面会を重ねてきた理化学研究所の黒田公美さんは「少年には母親から見捨てられることへの非常に強い不安があった。追い詰められた気持ちになっても自分では状況を変えることができず、思考停止のような状態に陥っていたのではないか」と分析しています。
 そのうえで、「親の責任は非常に大きいが、どの親も責任を果たせるかというと、できない人もいる。追い込まれている家族がいたら、公的な手段で、子どもだけを救出するのではなく、親子両方を支えるような支援が必要だ」と指摘しています。

 ◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの引用です
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⇒ 埼玉・祖父母強盗殺人事件 被告少年(19)の上告棄却 懲役15年が確定へ 最高裁2016.6.8.付 
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埼玉・祖父母強盗殺人事件 1審で懲役15年判決の少年 手記に「絶望と恐怖だけだった。死ねたら楽だろうな」

    

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埼玉・祖父母強盗殺人 懲役15年判決 弁護側「裁判所は、教育ではなくて、罰を与えるという選択をした」控訴
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