元稲沢市議・桜木琢磨被告の裁判が異例の9度目の判決延期となった背景---検察が起訴内容を客観的な証拠で立証できていない

2016-12-02 | 死刑/重刑(国際)

勾留期限後に延長を通知 元稲沢市議に最高人民法院 
 中日新聞 2016/12/2 朝刊
 【北京=加藤直人】中国で麻薬運搬罪で起訴され、「懲役十五年以上から死刑」を求刑された愛知県稲沢市の元市議、桜木琢磨被告(73)の裁判で、八月末に勾留期限が切れた際、最高人民法院(最高裁)が期限切れから一カ月半余も過ぎた十月十八日に桜木被告に対し「九月一日から十一月三十一日まで勾留を延長する」と郵送で通知していたことが分かった。
 弁護人は「期限が切れたままの拘留継続が違法であるだけでなく、実在しない11月31日を拘留期限と記載するなど裁判所は無責任すぎる」と厳しく批判。(中略)
 弁護人と1日に面会した桜木被告は9度目の判決延期を「助けのない感じだ。こんな状態が終わる日は来るのか」と現在の心境を語り「元公職者だから差別されているように感じる」と述べたという。弁護人は「桜木被告は無実を信じているため精神的には元気だが、看守所の医師の診断では腸に疾患があるようだ」と明かした。
〔解説〕
 愛知県の元稲沢市議、桜木琢磨被告(73)の裁判が異例の9度目の判決延期となった背景には、桜木被告が覚醒剤の存在を知っていたと検察側が明確に立証できていないと最高人民法院が認識し、判断を先送りしている可能性が高い。
 桜木被告は公判で「覚醒剤の存在を知らなかった。(アフリカ人に)だまされた」と起訴内容を全面的に否認した。弁護人によると、麻薬運搬罪の成立には故意を持ち麻薬だと明確に知ったうえで運ぶことが必要で、他人にだまされて運ぶ行為は犯罪にならない。最高人民法院は「事件が複雑で証拠を確認する必要がある」との理由で勾留期限延長を繰り返しており、検察が起訴内容を客観的な証拠で立証できていないと認識しているとみられる。
 中国では日本のような三権分立は機能せず、共産党主導の決定を司法も含めた国家機関が追認するのが実情だ。日中外交関係者の間では外国の公職者を逮捕、起訴し、死刑を含む求刑をしながら無罪判決を出すことに、党内内部で慎重審理を求める議論があるとの見方がある。
 だが、中国司法でも「疑わしきは被告人の利益に」との刑事裁判の原則は採用されており、弁護側が早期の無罪判決を求めているのには合理性がある。勾留期限が切れても被告に延長決定や理由を速やかに通知せず勾留を続けたのは違法であり、そうした状態で起訴から2年4ヵ月も判決を出さないのは人権侵害との批判も免れない。(北京・加藤直人)

 ◎ 中日新聞より書き写し(=来栖)
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