中日春秋
2007年12月28日
高校生諸君。沖縄の人たちに感謝しよう。もし、あの人たちがあれだけの怒りを表明してくれなかったら、君たちは沖縄戦の集団自決が「軍の関与」なしで起きたかのように書かれた日本史の教科書を読まされるところだったのだ
▼教科書会社が最初、申請した時には「軍の強制」性の記述があったのだが、文科省の検定意見が出されて「強制」どころか「関与」まで削られてしまっていた。これでは住民は勝手に死んだ、と言われているようなもの。「関与」の復活で最低限の誤りは正された
▼問題は「軍の強制」である。当時、生きて敵軍に捕まるのは恥ずかしいこと、という教えが根強かった。そして軍が住民に手榴弾(しゅりゅうだん)を配布していた事実もある。何より多くの住民が証言もしている。だが、命令文書など証拠がないと文科省は結局、「強制」を認めなかった
▼高校生諸君。でもこれは教科書にひと泡吹かすチャンスかもしれない。軍の強制性があったかどうか、日本史の時間などに自分たちで勉強してみてはどうか。当時の軍と民間人の関係は。そも沖縄戦とは何だったのか。現地の声を集めてみる手もあるだろう
▼今回の教科書検定の騒ぎ自体を勉強の対象にしてみることも勧めたい。なぜ突如、「強制」性を認めない意見が文科省サイドから出てきたのか。できる範囲で調べ、話し合ってみたらいい。格好のいい結論は出ても出なくても構わない
▼先生も理解してくれるはずだ。歴史家のE・H・ノーマンもこんなことを言っている。学習は「問題を解く過程にこそ本質がある」。
同じようなことで、1997年頃の名古屋市立の小学校で使われた「保険」の教科書でも薬害エイズのことが省かれてました。その3箇所の間違いを愛知県の教育委員会に電話で問い合わせたところ無言で次回の教科書は指摘した3箇所を省いた内容のものとなっていました。間違った教科書で子供らが学んだわけですから学んだ小学生全員に訂正の書面を出してくださいとお願いしたのですが、無視されました。
歴史といえば、安倍短期内閣のこととか、厚生省の年金問題は特に詳しく、当然歴史の教科書に載ると期待してます。