米連邦政府、16年ぶりの死刑執行再開を命令 殺人犯など5人に 2019/7/26

2019-07-26 | 死刑/重刑(国際)

米連邦政府、16年ぶりの死刑執行を命令 殺人犯など5人に
 2019年7月26日 15時2分 BBC News
     米司法省は25日、長年中断されてきた連邦レベルでの死刑執行を、16年ぶりに再開すると発表した。今年末から来年初めにかけ、死刑囚5人の刑を執行するという。
 ウィリアム・バー司法長官はこの日、声明を発表。殺人または子どもや高齢者に対する強姦の罪で、連邦裁判所で死刑を宣告された5人について、刑執行の日取りを決めるよう連邦刑務所局に指示したと明らかにした。
 アメリカには連邦(国)と州レベルの2種類の法体系と司法制度があり、事件の形態や影響などをもとに、犯罪の容疑者は、連邦法と州法のどちらに違反したのかにもとづき訴追される。通貨の偽造や郵便の窃盗など影響が全国に及ぶ犯罪は自動的に連邦裁判所で裁かれるが、その他の多くの犯罪は州裁判所で刑が言い渡される。
 州レベルではテキサスやアラバマなどで毎年のように死刑が執行されている一方、連邦レベルでは湾岸戦争の復員兵ルイス・ジョーンズ・ジュニア死刑囚(53)の刑が2003年に執行されて以来、中断されていた。
 米民間団体・死刑情報センターによると、全米50州のうち29州で死刑がある。うちカリフォルニアやコロラドなど4州では、州知事の指示によって死刑の執行が停止されている。

「トランプ政権なら驚きではない」
 バー氏は声明で、「(共和・民主)両党の政治の下で、司法省は最悪の犯罪人に対する死刑を続けてきた。司法省は法の支配を維持し、被害者と家族のために、我々の司法制度が科した刑を執行する」と述べた。
 政府による今回の方針転換は驚きではないと、民間団体・米死刑情報センターのロバート・ダナム事務局長は言う。
 「トランプ大統領は死刑を強く支持してきたし、麻薬密売や、州や地域の警察官が絡んだ殺人などの罪にも死刑を適用するという極端な提案もしてきた」
 「だから、トランプ氏が死刑執行を望むのは驚きではなかった。驚いたのは、(死刑執行再開まで)これほど長く時間がかかったことだ」
 BBCの北米担当アンソニー・ザーカー記者も、ドナルド・トランプ大統領がこれまで、有罪が確定した犯罪者について、丁寧に扱われ過ぎだし、再審の機会もたくさんありすぎると不満を述べてきたと指摘している。
 一方、人権団体・米自由人権協会(ACLU)のキャシー・スタブス氏は、死刑囚5人の刑執行の予定が近接している点を問題視し、「それぞれの事件の公平性について、深刻な疑問を生み出す」と批判する。
 「事件を再検討するには時間が必要で、このように事件をひとまとめにして先を急ぐ理由はまったくない」

いったんは違法とされたが…
 アメリカの死刑をめぐっては、1972年に連邦最高裁判所が、連邦と州の両方において違法と判断した。しかし、1976年に同裁判所は、複数の州で死刑の復活を認めた。さらに1988年には、政府が連邦レベルでの死刑を可能にする法律を成立させた。
 死刑情報センターによると、1988~2018年に連邦法違反で死刑が宣告されたのは78人に上るが、死刑が執行されたのは3人だけという。現在、連邦レベルの死刑囚は62人いる。
 連邦レベルの死刑はこれまで、3種類の薬物を注射して執行されていた。しかし近年、不必要な苦しみを引き起こす恐れがあるなどとして一部の薬物が問題視されていたほか、製薬会社には死刑執行に使う薬品の販売を拒否する動きも生まれている。
 バー氏は今回、強力な鎮静効果のある薬物1種だけによる死刑執行を認める方針だ。
 BBCのザーカー記者は、アメリカでは多くの人がまだ死刑を支持しているものの、死刑囚の冤罪が多いと言う指摘を理由に死刑反対派が増えていることを示す世論調査結果もあると伝えている。
 そのため、死刑執行再開は死刑反対派の厳しい批判を呼ぶだろうが、大きな政治的なうねりにはつながらないだろうと、ザーカー記者はみている。

<データ>アメリカの死刑
 1976年以降に死刑を執行された人数では、テキサス州が561人で最も多く、ヴァージニア州(113人)、オクラホマ州(112人)が続く        全米の死刑囚は2673人        死刑囚が最も多いのはカリフォルニア州で733人。ただし、1976年以降の死刑執行は13人        死刑宣告を受けた人は、1998年には295人だったが、2018年は43人で85%減 
 (死刑情報センターの統計より)
 (英語記事 US government orders first executions since 2003)
 BBC News

 ◎上記事は[livedoor NEWS]からの転載・引用です


米連邦政府、死刑執行を16年ぶり再開へ
  2019年7月26日 6時2分 AFPBB News          
     【AFP=時事】ウィリアム・バー(William Barr)米司法長官は25日、連邦政府が16年間にわたり停止していた死刑執行の再開を決め、殺人罪で有罪となった死刑囚5人の刑執行日を設定したと発表した。
 死刑執行の再開は、暴力犯罪に対する処罰の厳格化を求めたドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の要請に応じた形。バー氏は米連邦刑務所局(Federal Bureau of Prisons)に対し、死刑執行の再開に向け、薬物注射による刑執行の新手順制定を指示した。バー氏は声明で「司法省は法の支配を守る。われわれには、犠牲者とその家族のために、司法制度が言い渡した刑を執行する義務がある」と説明した。
 米国では昨年25件の死刑が執行されたが、これらはすべて州レベルで有罪となった死刑囚に対し州当局が執行したものだった。一方、連邦レベルの死刑囚については、執行方法や使用薬物をめぐる議論や、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領の消極的姿勢により、2003年を最後に刑が執行されていなかった。
 米NPO「死刑情報センター(Death Penalty Information Center)」によると、米国には連邦レベルの死刑囚が62人おり、この中には2013年に3人が死亡したボストン・マラソン(Boston Marathon)爆破事件で有罪判決を受けたジョハル・ツァルナエフ(Dzhokhar Tsarnaev)死刑囚や、2015年にサウスカロライナ州チャールストン(Charleston)の教会で黒人9人を殺害した白人至上主義者のディラン・ルーフ(Dylann Roof)死刑囚が含まれている。
 連邦刑務所局はバー氏の指示を受け、5死刑囚の刑執行日を設定。5人はいずれも、被害者に子どもが含まれる残忍な殺人事件で15年以上前に死刑判決を言い渡されていた。
 【翻訳編集】AFPBB News

 ◎上記事は[livedoor NEWS]からの転載・引用です
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注射された薬物が効かず、死刑は中止 43分間悶絶して死んだ死刑囚 米国で再燃する死刑議論 JBpress 石 紀美子 2014/5/20 
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