トヨタ・米公聴会  南部の議員=雇用重視の姿勢

2010-02-20 | 社会
“欠陥隠し”に厳しい追及 南部の議員は手加減? トヨタ公聴会
産経ニュース2010.2.19 20:02
 【ワシントン=渡辺浩生】トヨタ自動車の大量リコール(回収、無償修理)問題で公聴会を開く米下院監督・政治改革委員会は、豊田章男社長に対し、アクセルペダルなどの不具合に関連した急加速の原因解明と「欠陥隠し」の有無などを問いただす。ただ、トヨタの工場がある南部選出の議員は、雇用を維持するためにも“トヨタ不信”をあおるような追及には距離を置くとみられる。
 豊田社長の出席を主張してきたアイサ筆頭理事(共和)は、豊田社長が17日の会見で、招請されれば検討する意向を口にすると、即座に招請状をタウンズ委員長を通じて送りつけて外堀を埋め、議会に引っ張り出すことに成功した。
 「これは事実に基づく調査だ」。アイサ氏は18日、国民生活に直結するクルマの安全問題の解明が目的と強調。1980~90年代の保護主義的な“日本企業たたき”と受け取られないよう予防線を張った。
 焦点の急加速の苦情は過去10年間で米当局に2千件以上もあり、トヨタの対応の遅れが批判されてきた。中には、トヨタが認めたアクセルペダルの不具合や、フロアマットにアクセルペダルが引っかかるといった問題とは無関係に急加速した例があるとも報道され、「ほかに原因はないのか」との疑念を招いている。
 豊田社長は17日の会見で「決して逃げたり、ごまかしたりはしない」と隠蔽(いんぺい)を強く否定したが、トヨタで企業内弁護士を務めた元社員は米メディアを通じて「トヨタは安全上の欠陥の証拠を顧客や当局から隠してきた」と主張。同委は18日、この元社員に対して保有する関連文書の提出を命じる召喚状を発送しており、事実関係を追及する考えだ。
 さらに、日本の本社と北米トヨタの意思疎通のまずさが、当局への報告や対応の遅れの原因という指摘も根強くあり、公聴会でただす構えをみせている。
 一方、米国内には、公聴会への対応次第でトヨタの顧客離れに拍車がかかり、リストラに追い込まれる懸念もある。同委のメンバーで、トヨタの工場があるテキサス州サン・アントニオを地元とするクエリャル下院議員(民主)は産経新聞の取材に対し「サン・アントニオの2千人を含めた米国の従業員はトヨタが安全を再確立させる力を頼りにしている」と語り、トヨタが雇用に果たす役割を重視する姿勢を示した。

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