〈来栖の独白 2012/02/17 Fri.〉
証拠がなければ「推認」で、というのが、連中のやり方ではなかったか。石川さんのとき(登石裁判長)も、途中経過では感触は悪くなかったのに、「推認」で有罪が決定した。裁判ほど、わからないものはない。法と証拠のみに基づくのではなく、往々にして裁判官自身の都合が関わっている。
それにしても、小沢氏の「政治とカネ」事件を徹底利用して総理の座を射止めた菅直人氏。こんな詐欺師を我々国民は総理に戴いた。政治を失わせた検察の罪は深甚だし、国の損失は計り知れない。取り返しがつかない。
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東京地裁 石川調書全面却下 これで小沢元代表無罪決定的か
日刊ゲンダイ2012年2月17日
崩れた!検察審の強制起訴根拠 <世紀の謀略裁判は大逆転へ>
これで小沢無罪は決定的ではないか。この日、行われた小沢被告の第14回公判。注目は石川知裕、池田光智・両元秘書の捜査段階での供述調書が証拠採用されるかどうかだったが、大善文男裁判長は却下の決定を下した。政治資金収支報告書の虚偽記載に小沢本人が関わったのかどうか。小沢の共謀を示す直接の証拠は、元秘書の「小沢に報告し・了承を得た」という捜査段階での調書しかなかった。これが却下されたことで、4月下旬と見込まれる判決は無罪に向けて大きく前進することになる。
もともとイチャモンのような政治資金収支報告書をめぐる裁判だが、国民から選ばれた検察審査会が元秘書だけでなく、親分・小沢の共謀を認定、強制起訴の判断を下したのは、捜査段階で元秘書らが小沢への「報告・了承」を認めていたからだ。その後、元秘書らの裁判などで、この調書作成には検事による威圧的な取り調べや、調書のでっち上げがあったことが判明。元秘書らの公判では主な供述調書が却下された。
それだけに、今回の決定も当然といえば当然の流れなのだが、謀略に満ちた小沢裁判だけに何が起こるかわからない。この日の決定は、「今のところまともな判断が下されている」という意味で、価値がある。
<「調書は違法、不当なもの」地裁が断罪>
地裁が却下を決めた2人の主な供述は以下の通りだ。
〈小沢に「登記をずらして土地の取得を来年に回したほうがいいのではないか」と提案し、「そうしておいてくれ」といわれた〉(石川議員)
〈私が先生に無断で報告書の不記載などを決めることなどできるはずがなかったので、先生に報告や相談をして、了解を得たことは間違いない〉(石川議員)
〈(元代表からの4億円を複数の銀行口座に分散入金した理由を問われ)その4億円は先生が政治活動の中で何らかの形で蓄えた簿外の資金で、表に出せない資金だと思ったからです〉(石川議員)
〈「先生に返済した4億円は報告書に記載しません」と報告し、「分かった」と了承された〉(池田元秘書)
結局、検察官役の指定弁護士が請求していた石川議員の調書13通のうち、8通が全面却下され、池田元秘書の「報告・了承を得た」との一部調書も退けられた。小沢の関与を裏付ける調書はごっそり、否定されたことになる。
東京地裁はその理由についてこう説明した。
「虚偽供述に導く危険性が高い取り調べであり、違法、不当なもので許容できない」
検察側の全面敗北ではないか。
この日の小沢は紺色のスーツに青いネクタイ姿。口を真一文字に結んで裁判長を見つめた。大半の調書が不採用と分かると、弘中惇一郎弁護士と喜田村洋一弁護士は笑顔でうなずき合ったが、小沢は表情を変えなかった。
世紀の謀略裁判は、ようやく、ピリオドが打たれるのか。厳しい表情の小沢は、まだまだ予断を許さないと思っているように見えた。
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<小沢元代表公判>石川議員らの調書却下 東京地裁
毎日新聞 2月17日(金)12時3分配信
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第14回公判が17日、東京地裁であり、大善文男裁判長は衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人の供述調書の多くについて証拠採用を却下した。元代表の関与を認めた石川議員の調書について「検事が再逮捕を示唆したり『元代表の関与を否定していると元代表が起訴される』などと懐柔・説得して調書に応じさせた疑いがある」などと述べ、任意性を否定した。
立証の柱だった石川議員らの調書が失われたことで検察官役の指定弁護士には厳しい内容となった。4月下旬にも言い渡される判決に影響を与えそうだ。
元秘書3人の供述調書計42通のほか公判調書を指定弁護士が証拠請求していたが、42通のうち29通が全部または部分的に却下された。石川議員の調書は13通中8通が全部、3通が一部却下された。石川議員の後任の事務担当者、池田光智被告(34)が04年の土地購入を05年分収支報告書に計上することを元代表に報告したとする調書は一部採用された。
石川議員は取り調べや保釈後の10年5月の再聴取で「04年分収支報告書の内容を元代表に報告し、了承を得た」と供述したとされるが、自身や元代表の公判では全否定。指定弁護士は「元代表がいる法廷で不利なことは証言しにくい。証言も自身の公判からさらに元代表に迎合した内容になった」として、採用を求めていた。
大善裁判長は、石川議員が「隠し録音」した再聴取について「検事が『関与を認める供述を維持すれば元代表の不起訴も維持される』と繰り返し推奨している。強力な利益誘導で、虚偽供述に導く危険性の高い取り調べで違法不当」と批判。「調書は検察審査会への提供が予定されており、検事の(不起訴が維持されるとの)説明には妥当性に問題がある」とも指摘した。
再聴取後にこの検事が作成した捜査報告書に録音内容にないやりとりが記載されていた問題にも触れ「検事は法廷で『(作成の際)記憶が混同した』と証言したが、信用できない」と述べた。さらに、特捜部の取り調べの問題点について「複数の検事が(元代表が関与したと供述するよう)圧力をかけていたこともうかがわれ、組織的なものだった」と指摘した。
公判は来月、論告と最終弁論を経て結審する。【和田武士、鈴木一生】
<決定理由の骨子>
・石川議員の取り調べでは検事が「元代表が起訴されない」などと懐柔・説得して調書作成に応じさせた疑いがある。
・石川議員の保釈後の再聴取では検事による強力な利益誘導があり、虚偽供述に導く危険性の高い取り調べ方法だ。
・池田元秘書が「04年の土地購入代金支払いを05年分報告書に計上することを元代表に報告した」とした調書の一部は任意性に疑いがない。
最終更新:2月17日(金)13時24分
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◆小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢元代表、法廷:「7割本当のこと供述」 担当検事が石川被告印象
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第9回公判が15日、東京地裁(大善文男裁判長)であり、東京地検特捜部検事として元秘書の衆院議員、石川知裕被告(38)=1審有罪、控訴中=を取り調べた田代政弘検事(44)が証人出廷した。検察官役の指定弁護士の尋問に「(元代表の関係政治団体である)改革フォーラム21の金の出入りなど広範囲で生々しい話をしていたが、石川議員が承諾した範囲で調書に記載した」と述べ、不当な取り調べはなかったと強調した。
田代検事は、石川議員が▽元代表提供の4億円を収支報告書に記載しなかった▽報告書の内容は元代表に説明していた--などと供述したとし、「7割くらいは本当のことをしゃべっていると思ったが、元代表の関与を薄めて供述しているとの疑いも持った」と振り返った。また、石川議員の印象を「八方美人で正論に弱い」などと評した。
石川議員は保釈後の昨年5月にも田代検事の聴取を受け、その際に隠し持ったICレコーダーでやりとりを録音。石川議員が「『(特捜部は)恐ろしい組織だから何をするか分からないぞ』って諭してくれたことがあったじゃないですか」と問いかけ、田代検事が「うんうん」と応じるやりとりがあり、石川議員の公判で調書の任意性が否定される根拠の一つとなった。
尋問で指定弁護士はこの部分を再生。見解を問われた田代検事は「(議員の)話を理解して肯定しているわけではない」と説明した。録音には、石川議員が調書の訂正を求めたが、田代検事が応じない場面もあった。田代検事は「元代表の強制起訴を回避しようとしていると感じた」と述べた。【和田武士、野口由紀】
毎日新聞 2011年12月15日 東京夕刊
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◆小沢一郎氏裁判 第9回公判
産経ニュース2011/12/15 Thu.
裁判長「お仕事は?」
証人「検察官です」
指定弁護士「現在の勤務地は?」
証人「新潟地方検察庁です」
指定弁護士「陸山会事件の捜査はいつ担当しましたか」
証人「平成21年7月下旬から、22年5月下旬だったと思います」
指定弁護士「石川議員の調書を改めてごらんになりましたね」
証人「はい」
指定弁護士「調書に訂正すべき内容はありましたか」
証人「必ずしも説明が十分伝わらなかったところはあると思うが、事実関係として訂正することはありません」
指定弁護士「(逮捕後に)石川議員の窓口となったのはだれでしたか」
証人「☆☆弁護士(法廷では実名)のグループと、◎◎弁護士(同)のグループということだったと思います」
指定弁護士「弁護士グループが2つあったということですね。なぜ分かりましたか」
証人「石川議員から聞いたからです。逮捕当日は☆☆弁護士ともう1人の弁護士が接見しましたが、グループが2つあり、アドバイスが違うので非常に困惑していますと言っておられました。また、札幌の弁護士がおり、◎◎弁護士のグループかと思いましたが、(石川議員が)『自分の知り合いで個人的に頼んだ』といい、厳密に言えば3グループあったようです」
指定弁護士「接見はしていましたね」
証人「それぞれのグループが1日1回。計2回接見しておりました」
指定弁護士「接見を意識して取り調べをしましたか」
証人「意識しました。取り調べの内容が弁護士に伝わり、どんな録取をしたかも伝わる。アドバイスも当然受けると予測されました」
《指定弁護士はその後、取り調べ時の様子について聞く》
指定弁護士「取り調べの内容はどのように決めますか」
証人「被疑事実と証拠、主任検事の指示に基づきますが、その日に何を取り調べるかは私の判断で決めました」
指定弁護士「大久保(隆規元秘書)さん、池田(光智元秘書)さんも逮捕されましたが、それぞれの供述調書を渡されたことは?」
証人「ありません」
指定弁護士「供述内容について口頭で知らされたことは?」
証人「主任検事からピンポイントで、(他の2人が)こういったことを話しているので、(石川議員に)確認してほしいといわれたことはあります」
指定弁護士「(22年)1月23日に小沢被告の(任意の)取り調べがあったことはご存じでしたか」
証人「私は知りませんでした。極秘事項ですので知っているのはごく一部だけ。私は報道レベルで知っていたというだけです」
指定弁護士「取り調べの対象が事実と違う供述をした場合にはどうしますか」
証人「真実を話させるためにどうするかということですか」
指定弁護士「はい」
証人「抽象的にはなりますが、事実と異なる供述をするには、それなりの理由があると思います。その理由を突き止めたうえで、それを取り除くのですが、あとはケース・バイ・ケースとしか言いようがありません」
指定弁護士「調書の作成方法はどうなっていますか」
証人「取り調べたことを口頭で伝え、事務官がパソコンに入力します。それをプリントアウトして(取り調べの対象者に)渡し、私は画面をみて読み上げます。その後、原稿を黙読させます」
指定弁護士「問題がなければ署名をすると?」
証人「はい」
指定弁護士「事務官は取り調べにはいつも立ち会いを?」
証人「基本的にはそうです。本件では1、2回、石川議員から事務官に席を外してほしい、と申し入れがあり、そうしたことがありましたが」
指定弁護士「そのとき、(石川議員は)重要な話を?」
証人「内容について思い出すことはできませんが、事件の上ではたいした話ではなく、むしろプライベートなことだったと思います」
指定弁護士「調書の内容は事前に準備しますか」
証人「項目ぐらいは書き留めますが、事前に原稿を用意することはありません」
指定弁護士「(小沢被告が元秘書に渡した)4億円の原資について、特捜部はどのように考えていましたか」 証人「ゼネコンから渡ったお金ではないか、という捜査でした」
指定弁護士「具体的には?」
証人「水谷建設から計1億円の金が渡っているのではないかということです」
指定弁護士「それはだれの供述をもとに?」
証人「水谷建設の元社長の供述だったと思います」
指定弁護士「ほかのゼネコンからは?」
証人「細かい金銭の授受は出てましたが、水谷建設のように億単位の話は聞きませんでした」
指定弁護士「石川議員には何を聞きましたか」
証人「平成16年10月に5千万円の現金を受け取ったのではないか。また、17年3月に水谷建設から小沢事務所に5千万円が渡ったという事実を知っているのではないかということです」
指定弁護士「石川議員の取り調べで、建設関係の取り調べが占めた割合は?」
証人「記録はつけていませんが、私の感覚では半分ぐらいは水谷建設の話を聞いていたのではないかと思います」
指定弁護士「1億円をもらったか、もらってないかを聞くのに、それほど時間はかからないかと思いますが」 証人「押し問答でずっと続けていたわけではありません。水谷建設と小沢事務所の関係、秘書とゼネコンの関係などについても逐一聞いておりました」
指定弁護士「石川議員は5千万円の授受について、どう供述を?」
証人「当初から一貫して『そうしたことはない』ということでした」
指定弁護士「ゼネコンと小沢事務所の関係については?」
証人「小沢事務所のなかでゼネコン対応は大久保さんが行っていた、と。自分は口も出せないし、手も出せないと言っていました」
指定弁護士「石川議員の取り調べでは十数通の調書を作成しましたね。供述していないことを調書にしたことは?」
証人「ありません」
指定弁護士「供述した通りのことを調書にしたと?」
証人「実際には広範囲に、生々しい話をしていました。それをすべて調書にしたわけではなく、承諾が得られるところで調書にしたと思います」
指定弁護士「(石川議員が取り調べの中で)どの程度、真実を語っていたと思いますか」
証人「感覚ですが、私としては7割くらいは、本当のことを話していたと感じていました」
指定弁護士「真実ではない3割とは、どういうことですか」
証人「小沢被告の関与の度合いを薄く証言しているのではないかと感じていました」
指定弁護士「信頼関係は築けたと思っていますか」
証人「ええ、当時はそのように思っていました。少なくとも、被疑者と検事の対立関係はありませんでした」
指定弁護士「録音では、先輩と後輩の親しい関係のやりとりもありますが…」
証人「まぁ、そこまでは、行きませんが、大学が同じで、高校時代にやっていたスポーツも同じで私自身は親しみを感じていました」
指定弁護士「雑談には、どれくらいの時間を割いていましたか」
証人「計っていないので分かりませんが、それほど多くはありません。ただ、雑談をする際は、形だけのものにはしていませんでした」
指定弁護士「形だけにしないというのは、どういうことですか」
証人「石川さんの出身地の話や、両親ら家族の話、小沢被告の書生になった後の苦労話などです」
指定弁護士「石川議員の著書の中では、(先輩の)衆院議員の話も出てくるが…。雑談の中で、何か記憶に残っていますか」
証人「本当かどうかは分かりませんが、石川さんは(先輩議員らから)『事実は認めてはいけない』とか『日本の政治、小沢先生のために、(石川議員が)防波堤にならなければならない』などと言われたと話していました」
指定弁護士「石川議員は取り調べの当初のころは、どんな感じでしたか」
証人「ひと言でいって私は『横柄(おうへい)だな』と感じていました」
指定弁護士「具体的には?」
証人「石川さんの説明に『納得できない』と異議を唱えると、『検事が納得できようが、納得できまいが関係ない』という感じでした」
指定弁護士「これまで証人は、いろんなタイプの被疑者に接してきたのでしょうが、石川議員は、どんなタイプですか」
証人「これも決めつけは難しいですが、八方美人かつ正論に弱いと感じていました。自分は立派な人間で誠実でありたいという気持ちが強いと判断していました」
指定弁護士「そういう性格と判断した石川議員に対して、どう接しようと思ったのですか」
証人「最初に『(私は)フェアにやる』と説明しました。また、黙秘権もあり言いたくなければ言わなくても構わないが、正直に事実を話し、積極的に嘘をつくのはやめてほしいと約束しました」
指定弁護士「そう説得して、徐々に信頼を得ていったのですね」
証人「石川さんは国民から負託を受けた国会議員であり、その議員がいい加減な話をすれば、選挙民を裏切ることになると説得しました」
指定弁護士「具体的に本件では真実を語っていると感じていましたか」
証人「先ほども話しましたが、真実に近い話はしていたと思います。ただ、いろいろな事情があって、譲れないところもあったのでしょう」
《問題の土地の購入に際し、小沢被告は4億円の資金を用意していたが、その後、りそな銀行からも定期預金を担保に4億円の融資を受けていた。石川議員は公判でこの計8億円について「小沢被告から預かった4億円を担保に4億円を借りたので、記載は借りた4億円の1回でいいと認識していた」と証言している》
指定弁護士「石川議員は取り調べでも、このような説明をしていたのですか」
証人「まったくありません」
指定弁護士「証人は、このような説明が成り立つと思っていますか」
証人「(成り立つとは)考えられません。政治資金収支報告書には、政治団体の収入すべて、つまり8億円を記載しなければなりません」
《平成16年の収支報告書には、4億円の借入金が収入として記載されている》
指定弁護士「この4億円を、石川議員はどの4億円と説明していましたか」
証人「りそなの4億円です」
指定弁護士「小沢被告の4億円については?」
証人「記載していないと説明していました」
指定弁護士「収支報告書の小沢被告への説明については、(石川議員は)どう説明していましたか」
証人「平成17年3月の提出前に原案と収支報告書の一覧を、東京・赤坂の事務所の部屋の机に並べ、小沢被告に説明したと話していた記憶があります」
《石川議員は、公判で小沢被告は年1回、年末に収支一覧表を見せて関係5団体の収入と支出を説明するだけで、政治資金収支報告書を見せることはなかったと主張している》
指定弁護士「年末の説明については」
証人「12月下旬の忘年会の際に、法人と個人献金の増減を報告していたと言っていました」
指定弁護士「この際に収支一覧表を見せたといっていましたか」
証人「そういう話はありません」
《問題の土地の不動産登記は、代金の支払いを終えた平成16年10月から、翌年1月にずらされている。石川議員は、これを前任秘書の樋高剛衆院議員からアドバイスを受けたと証言していた。指定弁護士は、この点も確認していく》
指定弁護士「樋高議員の事件の関与について、何か話していましたか」
証人「まったく供述していません」
指定弁護士「樋高議員について、どう話していましたか」
証人「確か、登記をずらすことは、樋高議員らと話をしているときに、石川議員が思いついたと」
指定弁護士「本件への関与については」
証人「(樋高議員は)まったく関与していないといっていた。むしろ、私の方が(樋高議員の)関与を疑ったくらいでした。すべて自分(石川議員)で思いついたとは、考えられなかったので…」
証人「石川さんはその都度言い分が変わり、前後の発言が矛盾していた。私は『1つ1つについて有利、不利を考えて話をするから、つじつまが合わなくなる。事実を話せばつじつまが合う』と説得しました」
指定弁護士「それで、石川さんに変化があったんですか」
証人「説明に窮し、黙り込んでいる時間も長かったですが、結局『自分のことは認める』と言いました」
指定弁護士「どういう意味ですか」
証人「虚偽記載は書き忘れではなく、意図的に不記載にしたということです」
証人「不合理な弁解を引っ込めたという段階。真相に迫っているとは、およそ言えませんでした」
《翌15日に逮捕された石川議員。これまでの公判では、この15日の前後に「特捜部は恐ろしい組織なんだから、何するか分からないぞ」と検事から威迫を受けたと主張している。》
指定弁護士「このような発言をする状況でしたか」
証人「いいえ。そもそも石川議員の供述は内容自体が不合理で、有効性が期待できませんでした。それに、政権与党の幹事長に関する捜査で、取り調べは慎重に慎重を期していました。任意の取り調べでは録音される危険もあるし、『足下をすくわれることを言うな』と、上司から口酸っぱく言われていました。石川議員には当然弁護士もついているので、不合理な言辞は使えません。弁護士を通じて抗議を受ければ、取り調べしづらくなります」
指定弁護士「聴取後に本人や弁護士から、威迫があったと抗議を受けましたか」
証人「私自身受けていませんし、(上司の)主任検事からも抗議があったとは聞いていません」
《ここで、指定弁護士は石川議員が昨年5月の任意の再聴取で、証人の検事とのやり取りをひそかに録音した「隠し録音」を再生する。雑音も入るが、「『早く認めないと、ここは恐ろしい組織なんだから、何するか分かんないぞ』と諭してくれたことがあったじゃないですか」と話す石川議員に対し、検事が「うんうん」とうなずく音声が、廷内に響く》
指定弁護士「石川議員の発言を理解して『うんうん』と答えたんですか」
証人「録音を聞くまで、この(「恐ろしい組織~」という石川議員の)発言自体を記憶していなかったほどです。理解、承認して『うん』ではなかったと思います」
指定弁護士「発言に応答したのではないと?」
証人「再生を聞いてもわかる通り、この前後でも私は『うーうー』と相づちを打っている。流れの1つである、というのがお分かりになると思います」
指定弁護士「威迫を受けて調書に署名した、と石川議員はそういう主張をしています」
証人「全くありませんでした。(石川議員が)承諾した範囲で調書を取っていますが、実際の取り調べでは(石川議員は)もっといろいろなことを言っています。水谷建設の問題については、完全に否認を続けていました。そういう石川さんの態度からしても、威迫はありませんでした」
指定弁護士「どうして小沢被告が関与していると考えたのですか」
証人「陸山会は小沢被告の資金管理団体ですし、融資申請書や約束手形に自署があった。当然、何らかの関与があると考えた」
指定弁護士「石川さんの供述について、ご記憶はありますか」
証人「いろいろとありましたが、どんな話があったかを個条書きに話すのは難しいですが」
指定弁護士「取り調べにあたりメモは作成されていましたか」
証人「走り書きにはしてありました」
《指定弁護士は「記憶喚起のため」として○○検事に取り調べメモを見せることを求め、裁判長がこれを認める。》
指定弁護士「一番下に『そうか、そうしてくれ』と書かれているのは」
証人「石川さんが小沢被告に登記をずらすことを報告して『そうか、そうしてくれ』と言われたという供述です」
指定弁護士「この『ちゃんと戻すんだぞ』という部分は?」
証人「石川さんが小沢被告に4億円を借りた際に言われたことだと思います」
指定弁護士「その下に『最低目標 水谷』と書いてあるのはどういうことですか」
証人「水谷建設の(計1億円の裏献金)問題や、石川さんは西松事件のときに段ボールを持ち出した疑いがあったので、取り調べで聞かなくてはいけないという私の備忘のためです」
指定弁護士「調書にしなかったのはどうしてですか」
証人「民主党代表選が近いという部分など、客観的事実かどうかわからない部分や抽象的な部分があったし、石川さんの供述が具体的に進展すると思いましたし。また、この日は午前中に弁護士の接見があったりして、取り調べが夜だけだったこともあります」
指定弁護士「1月17、18日にも(調書を)作成していないのはどうしてですか」
証人「石川さんが拒否したからです。弁護士に署名を拒否するように言われたからと」
指定弁護士「19日には作成しましたね」
証人「はい」
指定弁護士「(調書を作成するときに石川議員は)本件4億円の原資のくだりについて何か言ってましたか」
証人「調書の作成を始めたときに『それは困る。直接、見聞きしたことではない』と言っていた」
指定弁護士「調書作成時に石川さんから何か言われましたか」
証人「『これで小沢先生は共謀の共同正犯ですかね』とふっかけられた」
指定弁護士「あなたは何と答えましたか」
証人「事実なら仕方ないと言ったら、『仕方ないではすみませんよ!』とくってかかられた。なので他の証拠と合わせてみて、共謀の成立に十分、不十分があるので何とも言えないと答えた」
指定弁護士「それについて何と言われましたか」
証人「『検事はどう思いますか』といわれた。今後、具体的に供述が進展すると思っていたので、これだけでは(共謀の成立は)厳しいのではと言った」
指定弁護士「平成22年1月30日の調書ですが、4億円の(支出記載の翌年への)先送りは(小沢被告への)報告、了承を得たとありますね」
証人「はい」
指定弁護士「石川さんは他の検事に何と答えてましたか」
証人「『了解なくやったので小沢先生は知らない』ということでした」
指定弁護士「それは誰から聞きましたか」
証人「小沢被告の取り調べを担当した検事から聞きました」
指定弁護士「次に平成22年5月17日の石川さんの調書です。検察審査会の議決を受けての取り調べですね」
証人「はい」
指定弁護士「石川さんの供述はどうでしたか」
証人「従前通りだったと思います」
指定弁護士「この日、石川議員には、どういうことを聞こうと思っていましたか」
証人「水谷建設のことや、小沢被告の事件への関与について従前の供述を維持するかどうかについて聞こうと思っていました」
指定弁護士「それまでのメディアでの石川さんの言動は?」
証人「後退していました」
指定弁護士「当日の石川議員の取り調べで何か考えていましたか」
証人「起訴後に会っていなかったので、まずは近況を聞いて信頼関係を築こうと思っていました」
指定弁護士「録音されているとは思っていなかった?」
証人「はい」
指定弁護士「実際の録音テープはあなたも聞かれましたか」
証人「はい」
指定弁護士「どう思いましたか」
証人「全体で聞いてもらえれば、おかしなことをしていると非難されるものではない」
指定弁護士「この日の取り調べで石川議員は従前通りの供述を変えようとしていましたか」
証人「それはありました。1点は『(収支報告書の記載の先送りを)登記をずらすのが主目的で4億円を隠すためではない』ということ。2点目は『収支一覧表の作成は3月ではなく12月だった』ということ」
指定弁護士「登記の先送りについては、(録音の中で)10回くらい(石川議員の供述が)出てきています。どう思いましたか」
証人「合理的であれば調書に取り入れるが、合理的ではなかった。なので、調書を作ろうと思ったがとりやめた」
指定弁護士「取り調べの中であなたが『めんどくせーからさ』と言っていますが、これはどういう趣旨の発言ですか」
証人「この日突然、収支一覧表の話をしてきたので、また根拠のない話をし始めたなと思いました」
指定弁護士「小沢被告がどうしたら起訴されないかを話しましたか」
証人「そうではありません。真実に近い内容を供述してほしかった。起訴を避けるために、こうしろとは言っていない」
指定弁護士「石川さんが新たに調書に入れようとしたところは、あなたとしては、調書に入れるとどうなると思いましたか」
証人「起訴の可能性が高まることはあっても、低くなることはないと思いました」
指定弁護士「石川さんはなぜこのようなことを調書に入れさせようとしたと思いますか」
証人「石川さんがそう言うことで、小沢被告の起訴を回避したかったのではないかと思います」
指定弁護士「あなたはそうすることで逆に起訴の可能性が高まると思っていたんですね」
証人「私はそう思っていました」
指定弁護士「あなたが石川さんに、従前の供述を維持させようと思ったのは問題なかったということですか」
証人「問題ありませんでした」
指定弁護士「最後に聞きますが、石川さんが同意していないことを調書にしたことはありましたか」
証人「それはありません」
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《約1時間半の休憩を挟んで、再開》
《男性弁護士は、○○検事が検察官役の指定弁護士側の証人として出廷するために、指定弁護士と事前に打ち合わせをしたか尋ねた。○○検事は今年11月から4回にわたり、東京地検で、毎回午後1時から5時ぐらいまでの間、打ち合わせをしたと答えた》
弁護人「(打ち合わせで)録音(石川議員が取り調べを隠し撮りしたテープ)は再生しましたか」
証人「1回あったと思います」
弁護人「今までその時以外に、聞いた機会はありましたか」
証人「あります」
弁護人「いつごろですか」
証人「録音が存在すると分かった直後に説明を求められたので、そのときに聞きました」
弁護人「通して聞いたのはそのときだけですか」
証人「その1回です」
弁護人「あなたが、陸山会事件にかかわったのは、21年7月から22年5月下旬でよろしいですか」
証人「はい」
弁護人「この事件は、収支報告書の虚偽記載と不記載についてと、ゼネコンからのお金の授受ということで、2つの事件があったのですか」
証人「(小沢被告が提供した)4億円の原資が問題になっていたので、収支報告書の内容とゼネコンからの金銭授受について両方問題になっていました」
弁護人「裏付けの過程で、水谷建設(の1億円の話)が出てきたのですか」
証人「はい」
弁護人「水谷建設のお金の授受について、検察は事件として立件しましたか」
証人「立件してないと認識しています。客観的にはどうか分かりませんが」
弁護人「地検の同僚が、ほかの関係者の取り調べをしているというのは知っていましたか」
証人「ゼネコンや下請けの関係者は多く呼ばれていると思っていたので、聴取は行われていると思いました。しかし、いつ誰が、誰を調べているかは分かりませんでした」
弁護人「石川さんの周囲にいる秘書に対する聴取は聞いたことがありますか」
証人「全く知りませんでした」
弁護人「あなたは石川さんに対して『この事件はどう収めるかだ』と言ったことはありますか」
証人「ありません」
弁護人「『特捜部はこわい』『捜査が広がる』『何するか分からないぞ』というような、石川さんにそう理解されるような言葉を言ったことはありますか」
証人「言ったことはありません」
弁護人「22年5月17日の取り調べの反訳書の72ページで『地検の怖さは身をもって分かりました』と石川さんが言っていましたが、石川さんがそう感じてるとは思いましたか」
証人「思いませんでした」
弁護人「石川さんは『地獄の20日間』と言っていますが、石川さんがそういう状況にいると感じたことはありますか」
証人「現職の国会議員ですし、相当つらい期間ではあると思っていました。とくに最初の5日間は相当落ち込んでいました」
弁護人「『特捜部が納得しないと、他にも強制捜査を及ぼさないといけなくなる』というようなことを石川さんに言ったことはありますか」
証人「言ったことはありません」
弁護人「直接的ではなくても、そう取られることを言ったことはありませんか」
証人「ありません」
《弁護側は反訳書を○○検事に見せる》
弁護人「(石川議員の再逮捕について)『組織として本気になったときに、全くできない話かっていうとそうでもないわけじゃない』と言いましたか」
証人「言いました」
弁護人「それに類する話を、(石川議員の)身柄拘束中に言っていませんか」
証人「石川さんが再逮捕を心配して、私に聞いてきたことがありました。私は『分からない、やれる可能性がないとは言えない』と客観的な意見を言いました」
弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
証人「書きました」
弁護人「何日に書きましたか」
証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
弁護人「何ページの報告書ですか」
証人「5、6ページだったでしょうか」
弁護人「あなたが書いたものでしょう」
証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
弁護人「それを何日もかけたのですか」
証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
弁護人「中身は覚えていますか」
証人「だいたいは把握しています」
弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
証人「はい」
弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
証人「そうです」
《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた-とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
証人「やり取りがあったと認識して書いた」
弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
証人「はい」
弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
証人「それは記憶にはありません」
弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
証人「そうではありません」
《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
証人「はい」
弁護人「繰り返し述べましたね」
証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
弁護人「指示はだれからか」
証人「主任検事です」
弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
証人「かいつまんで言えばそうです」
弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
証人「協議の内容については、分かりません」
弁護人「可能性の話ですよ」
証人「可能性の話ならば…」
《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」
《○○検事が任意聴取の際に「石川さんの供述がさ、やっぱり功を奏したんでしょ…」などと言った隠し録音の部分を紹介した》
弁護人「功を奏するというのは?」
証人「小沢さんが起訴されないことを指したと思います」
弁護人「なぜ、そんなことを言ったのか」
証人「石川さんに同調するように言っただけで、事実だという趣旨で言ったのではありません」
《○○検事は、石川議員を取り調べる際、「フェアプレーで本当のことを言ってほしい」と約束していたとされる》
弁護人「フェアプレーであると言いながら、あなた自身は事実を認識できないことを話すのですか」
証人「客観的な事実は分からない。(小沢被告の)起訴を望んでいなかった石川さんに同調した形で話しただけです」
⇒[小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉]
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◆小沢一郎氏裁判 第11回公判 「虚偽記入にはあたらない」弥永真生筑波大教授(商事法)の証人尋問2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第11回公判 会計専門家「収支報告書は家計簿と同じレベル」
産経ニュース2011.12.20 22:13
弁護人「『法的形式』がより重視される理由はありますか」
証人「形式であれば外部から見ても分かる状態で会計処理され、主観の見積もりが入りづらいです」
弁護人「他にメリットはありますか」
証人「(会計書類の)作成者も予想の見積もりを立てる必要がなく、簡単です」
弁護人「専門知識がなくても『法的形式』であれば会計処理できると?」
証人「おっしゃる通りです」
《教授はすでに提出した意見書の中で、「法的形式」の観点に基づけば、本登記の時点で土地代金の支出を収支報告書に記載した陸山会側の対応に問題はなかった、としている》
証人「不動産の引き渡し時を特定するのは難しい場合もある。客観的に確定される登記時が、中小企業であれば基準になります。むしろ、本登記していないものを収支報告書に計上することに問題が生じる可能性もあります」
弁護人「資産取得と支出の計上時期は、同一年度であったほうがよいと考えますか」
証人「支出だけ記載され、資産の記載がなければ、誤解を生む恐れがあります。例えば前年に5万円の手付金を払い、翌年に95万円で資産を取得したとしても、資産取得代金が『95万円』と記載されるべきではないと考えます」
《教授は会計学の視点で、資金管理団体の帳簿について、一般企業と同様の厳格な基準で論じるべきではないと繰り返し強調する》
弁護人「政治資金規正法は、資金管理団体にどの程度のレベルの会計処理を求めていますか」
証人「現金の収支がきちんとしているかどうかを求めているが、公認会計士も監査法人も通さない仕組み。非常に乱暴な言い方になるが、主婦が家計簿をつけるレベルにかなり近い。せっかくつけたから、配偶者に報告する、そういうイメージだ」
弁護人「会計学の専門家でなくても作れるのが収支報告書ということですね」
証人「会計だけでなく、法的な知識がなくても作成できるもの。(一連の土地売買が)終わっていないから記録しなくてもいい、という素朴な感覚を否定するルールを(政治資金規正法が)定めているとは考えられません」
《弁護側の尋問が終わり、30分の休廷を挟んだ後、指定弁護士側の反対尋問が始まった。質問に立った指定弁護士は、教授の意見書は前提事実に問題がある、と指摘した。不動産会社と陸山会は16年10月に、同月内に売買が完了するとの契約を結んだが、登記は翌17年1月に行われた。弁護士側はその過程で「売買契約が売買予約契約に変更された」と主張、指定弁護士側は「売買契約は10月中に完了した」としているが、この争点が欠落している、という内容だ》
指定弁護士「売買予約契約に変更されたと理解したんですか」
証人「変更と推測しました。若い頃には法学を勉強した身ですから。暗黙の理解で当然、契約内容の変更があると思ったが、意見書では会計学の専門家として、そのことに直接ふれていません」
《指定弁護士は本登記を17年1月にする、という内容の司法書士あての委任状を廷内モニターに表示した。委任状は本登記日の「1月7日」部分が手書きされている。実質的には、16年中に売買に関するすべての業務が終わっていたとして、指定弁護士は教授に質問。これは、教授が意見書を提出した段階で持ち合わせていなかった情報で、指定弁護士側は判断の変更を迫っていく》
証人「白紙で委任状が出されていたなら、(16年に)所有権の移転がなかったというのは無理がある、ということはありえます。しかし、(「1月7日」が)事後に埋められたのでなければ、やはり最終的に手続きが終わったのは1月7日となる。会計学的な評価は難しいです」
《指定弁護士は16年分の収支報告書で、登記を終えていない別の不動産が、売買契約段階で記載されている点を指摘。教授は「16年分の収支報告書に土地購入を記載したくなかった、という動機1つでは、翌年の記載が合理性を欠くとはいえない」「矛盾の可能性はあると思うが、はっきりいう根拠がない」》
裁判官「16年に取得した土地を17年分の収支報告書に記載してかまわないということですね」
証人「そうです」
裁判官「どの条文を解釈しているんですか」
証人「取得年月日を書けという(政治資金規正法の)要求は、報告書を作成する人が、本登記した日を書くと理解されます。16年に土地取得を書けないのに、支出だけ書くのはアンバランスです」
裁判官「でも、司法上は誤りなんですよね」
証人「土地取得が(年内に完了していると)特定できていれば、誤りです」
裁判官「後で誤りが分かっても、直さなくていいのですか?」
証人「難しい質問です。企業が過年の誤りを一つ一つ訂正しているかどうか…」
裁判官「誤りは直した方がいいですか」
証人「直した方がいいか、そこまで要求されているかどうかは言い切れません」
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◆「特捜部は恐ろしいところだ」ストーリー通りの供述を取らなければ、という強いプレッシャー〈陸山会事件〉2011-07-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア