普天間基地移設計画巡り国が沖縄県を提訴
NHK NEWS WEB 2016/7月22日 9時05分
沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画を巡り、名護市辺野古沖の埋め立て承認の取り消しを撤回するよう求めた国の指示に、沖縄県が応じないのは違法だとして、国は22日に裁判を起こしました。国と沖縄県が再び法廷で争うことになりましたが、対立が解消する見通しは立っていません。
普天間基地の移設計画を巡っては、ことし3月、国と沖縄県の間で裁判での和解が成立し、問題の解決に向けた協議と法的な手続きが並行して行われています。
このうち法的な手続きについては、国が沖縄県に対し、埋め立て承認の取り消しの撤回を求める是正指示を改めて行い、沖縄県の申し立てを受けた国と地方の争いを調停する委員会は先月、国の指示が違法かどうか判断しないとしました。
これについて沖縄県は、国の是正指示に不服はあるものの、協議を通じて解決を目指したいとして、法律上提訴できる期限の21日までに裁判を起こしませんでした。
一方、国は、沖縄県が是正指示に応じないのは違法だと主張して、22日午前、福岡高等裁判所那覇支部に訴えを起こしました。
訴えの中で、国は前の知事が行った埋め立て承認に法的な問題はなく、今の状況を放置すれば日米間の外交・防衛上に著しい不利益が生じるなどと改めて主張しています。
普天間基地の移設計画は、裁判での和解を受けて国と沖縄県の協議が続く一方で、双方が再び法廷で争うことになりましたが、対立が解消する見通しは立っていません。
1回目の審理は来月5日に開かれる予定です。
■官房長官「和解に沿った対応」
菅官房長官は午前の記者会見で、「和解条項では、国と沖縄県とが訴訟合戦を延々と繰り広げる関係を避けるために、司法の判断を仰ぐ手続きと協議の手続きを並行して迅速に進め、判決で司法の判断が示された場合には直ちに従い、その後もその趣旨に従って誠実に対応することがうたわれている。それに国も沖縄県も同意をしたわけで、訴訟と協議の両方が並行に進んで行われても全くおかしくない」と述べました。また菅官房長官は、「きのうも協議会の中で、和解条項は有効であること、確定判決には従うこと、政府と沖縄県との協議については継続をしていくことを確認し、翁長知事も『異存はない』ということだった。まさに和解条項に基づいて手続きが進んでいることの証しだ」と述べました。
■翁長知事 国の強硬な態度は異常
沖縄県の翁長知事は、22日昼すぎ、東京都内で記者団に対し「沖縄の米軍基地問題についての国の強硬な態度は異常とも言える。多くの選挙で、普天間基地の県外移設を求める県民の民意が示されているにもかかわらず、全く聞く耳を持たず、新基地建設を押し進めることは、民主主義国家のあるべき姿からほど遠いものと言わざるをえない」と述べました。その上で翁長知事は、「県としては、国土交通大臣の行った是正指示の違法性と、私の行った埋め立て承認の取り消しの適法性を立証、主張していく」と述べるとともに、みずから法廷で意見を述べる考えを示しました。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
―――――――――
沖縄北部のヘリパッド着工、住民と機動隊衝突
TBS News 2016/7/22
飛び交う怒号の中、激しくぶつかる住民と機動隊。政府は、沖縄県北部に建設予定のアメリカ軍のヘリパッドの着工に乗り出しました。
沖縄県東村、住民と機動隊のにらみ合いは夜明け前から始まりました。赤色灯をつけて集合しているのは、機動隊員およそ500人です。県外からも応援に駆けつけました。
夜が明けると、住民の排除と自動車などで築かれたバリケードの撤去作業が本格化します。
「家族に誇りを持って言えますか。自分たちがやっている行為は、誇りを持って言えるの?あなたたちは」
「なんで沖縄だけ、こんな不当な扱いを受けないといけないんですか」
住民たちは、自動車の周りを取り囲んで撤去されないように抵抗。しかし、1人ずつ連れて行かれます。そして、タイヤに移動用の車輪がつけられて、自動車が機動隊員によって撤去されていきました。残された住民は、自動車の上に乗り、必死の抵抗を続けますが、徐々に排除されていきます。
低空を飛ぶオスプレイ。東村にすでにあるヘリパッドを利用した飛行訓練の様子です。ヘリパッドとは、ヘリコプターなどが離着陸する場所です。今から20年前、日米両政府は、少女暴行事件をきっかけに、沖縄の基地負担を軽減させるため、普天間基地などの返還合意に至りました。合意の中には北部訓練場も含まれていました。訓練場のおよそ半分を返還する条件として、返還に伴い閉鎖されるヘリパッドの移転が決められたのです。2011年、防衛省はオスプレイの普天間基地配備を決定。それ以降、ヘリパッドがオスプレイの訓練に使用されるようになったのです。
「とにかくすごい騒音なんですよ、オスプレイは。毎日夜遅くまでオスプレイが飛んで、子どもが睡眠不足で学校にも行けない」(東村の住民)
新たなヘリパッドは6か所。そのうち2か所は完成し、運用されていますが、4か所は、住民の反対運動により、およそ2年間、工事が止まっていました。先月の夜間の騒音発生回数は実に383回。2014年度の年平均を24倍も上回り、周辺住民に過度な負担が強いられている実態が浮き彫りになりました。
22日午後、東村の現場では、車両の撤去が終了すると、重機や資材が次々と運び込まれ、工事が再開されました。
また、政府は22日朝、普天間基地の移設問題をめぐり、沖縄県側を相手取り、新たな訴訟も起こしました。(22日17:55)
ヘリパッド工事、中谷防衛相「法律に従って行っている」
TBS News 2016/7/22
沖縄県のアメリカ軍専用施設「北部訓練場」の一部返還に向けて、ヘリパッドの工事が始まり、地元の反発が強まっていることについて、中谷防衛大臣は、「法律に従って行っている」と強調しました。
「我々も法律に従って、整斉と行っているという認識です」(中谷元 防衛相)
中谷大臣は、22日朝から、北部訓練場のヘリパッドの工事に着手したことについて、このように述べるとともに、「20年にわたって、地元とのやり取りも、手順をもって丁寧に進めてきた」と政府側の手続きに問題はないと説明しました。
また、中谷大臣は、「北部訓練場の返還を一日も早く実現できるように作業を進めたい」と工事を急ぐ考えを示しました。(22日12:57)
◎上記事は[TBS News]からの転載・引用です