緊迫感に包まれた「工藤会」野村・田上両被告の控訴審判決…「超厳戒態勢護送」戦慄の舞台裏
3月12日に福岡高裁で工藤会の一連の事件に関する控訴審判決が言い渡された。 一審の福岡地裁の死刑判決を破棄し、一転しての無期懲役となった工藤会総裁の野村悟被告。無期懲役となったが、全面無罪の主張を一貫して崩しておらず、ナンバー2で会長の田上不美夫被告と共に最高裁へ即日上告した。
ブルーシートで目張り、防弾車両も動員…野村・田上両被告 厳戒態勢での護送一部始終【写真】
出廷時、裁判長から「不規則発言があった際は即時退廷を命じる」と発言があった。
これ’’21年8月に行われた福岡地裁での退廷時、死刑判決を受けた野村被告から「公正な裁判をお願いしてたんだけどねぇ。こんな裁判あるんか。アンタ、生涯このことを後悔するよ」と衝撃の発言があったことに由来する。
だが今回、裁判長が判決文を読み上げている際や出退廷時は一礼するなど終始静かに裁判に臨んでいたという。
控訴審判決の当日、拘置所や裁判所周辺は昨年などと同様、警察による厳しい警備態勢が敷かれていた。 拘置所前には職員をはじめ、福岡県警の警察官や捜査員など30名ほどが正門の周辺を警備し、不測の事態に備えて警戒を行っていた。
野村・田上両被告が拘置所内で護送車に乗り込む際は目張りのためのブルーシートが張られ、外から中をうかがい知ることはできなかった。 車列も例によって厳戒態勢だ。先導の覆面パトカーに護送車が2台、さらに覆面パトカーが2台続き、予備の護送車が最後尾に位置する。護送車のどちらに両被告が乗っているのかも不明だ。
そして一部には「防弾架装」が施された車両もあった。
総勢6台の車列が午前9時過ぎに拘置所を出発し、午前9時20分頃には裁判所に到着した。県警のヘリが車列を上空から追尾し、ルート確認などを行っていた。 車列は一般車両などが近付けないように信号操作が実施され、ほぼノンストップで裁判所へ走り去った。
車線変更時も後方の車両がすぐさま移動し護送車を取り囲む陣形を形成していた。万が一の奪還や敵対勢力などの襲撃を警戒した緊迫感のある雰囲気が伝わった。
裁判は午前10時に始まった。今回も傍聴券を求めて多数の傍聴希望者が集まり、44席の傍聴席に対し300人ほどが集まったという。
昨年9月の控訴審では58席が用意されたが、今回はさらに狭き門となったようだ。 15時過ぎ、裁判が終わり、傍聴者らが裁判所から続々と出てきた。ほどなくして両被告を乗せた車列も裁判所を出発した。
裁判所周辺は福岡県警の捜査員や裁判所職員が警戒を行っており、物々しい雰囲気に包まれていた。そして近辺の交差点は信号操作が行われたが、学校や仕事の帰宅時間が重なり、事情を知らない歩行者は足止めされ、道路は渋滞を余儀なくされた中を車列は拘置所へと戻っていった。 撮影・取材・文:有村拓真
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