7月31日11時9分配信 毎日新聞
【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)は30日、日本で死刑囚3人の死刑が28日に執行されたことに「深い遺憾の意」を表明する声明を発表し、衆院選後に発足する政権に執行停止と将来の死刑制度廃止を呼びかける考えを明らかにした。
声明は「残酷かつ非人道的」な死刑に犯罪抑止効果はないと指摘し、「総選挙後に発足する政権に対し、日本における死刑適用についてEUの見解を表明する」としている。EUの全加盟国は死刑を廃止しており、日米などに同調を呼びかけている。 .最終更新:7月31日11時9分
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森英介法相による3度目の死刑執行に抗議する
http://www.jca.apc.org/cpr/2009/090728execution.pdf#search='死刑執行 久間三千年'
2009 年7 月28 日 監獄人権センター
麻生内閣の森英介法相は本日(7月28日)、山地悠紀夫さん(大阪拘置所)、前上博さん(大阪拘置所)、陳徳通さん(東京拘置所)の3人に対して死刑を執行した。私たち監獄人権センターは、本日の死刑執行に強く抗議する。
今回の死刑執行は森英介法相による3 度目の執行である。すでに衆議院が解散され、8月30日の総選挙後に総辞職が予定されている内閣の法相が、しかも、政権交代さえとりざたされているこの時期にあえて執行に踏み切ったことは、政治的にも無責任で許し難い暴挙である。
2007年12月の鳩山邦夫法相(当時)による執行以来、ほぼ2~3カ月に1度のペースで行われてきた死刑執行を、森英介法相は今年1月29日の4 名の死刑執行以降、半年近くにわたって行って来なかった。その背景には、昨年10月28日に森法相が飯塚事件の久間三千年さんに対して行った死刑執行が,無実の人に対する執行であった疑いが、足利事件の菅家利和さんの再審開始によって一段と高まったという事情があったと思われる。
足利事件とほぼ同時期の飯塚事件において、久間三千年さんの有罪認定の決め手となったDNA鑑定は足利事件と同じ「MCT118」式の検査法で、しかも、久間三千年さんのDNA型は菅家利和さんのDNA型と同じ「16-26型」とされていた。菅家さんに対するこのDNA鑑定が誤りであったことが明らかになった今、久間さんの冤罪の可能性は一段と高まったと言わねばならない。
久間さんは一貫して無罪を主張し、死刑執行の直前まで弁護団を通じて再審を準備していた。また、森法相が久間さんの死刑を執行した昨年10月28日までには、東京高裁が足利事件のDNA 再鑑定に踏み切る可能性がすでに高まっていた。森英介法相はこれらの事情を精査しないまま、あるいは知りながら、あえて久間三千年さんの死刑を執行することによって、決してあってはならない「冤罪執行」に手を染めた可能性が高いのである。
足利事件の無実が誰の目にも明らかになったこの春以降、森英介法相も自ら犯した「冤罪執行」の可能性を意識し、死刑執行を躊躇してきたに違いない。ならば、なぜ今、新たな死刑執行に踏み切ったのか。森英介法相はこの点について、説明責任を果たすべきである。
さらに、今回執行された山地悠紀夫さんと前上博さんは、ともに控訴を取り下げ、一審判決限りで死刑が確定した。しかも、ともに確定して2年余りでの執行であり、陳徳通さんも確定後3年余りしかたっていない。
この間、死刑執行のペースを上げるために、今回と同様上訴を取り下げて自ら判決を確定させた死刑確定者を狙って早期に執行するケースが目立つ。しかし、これは昨年10月に行われた国際人権(自由権)規約委員会の「死刑事件における必要的上訴制度」の勧告にも反し、それこそ「冤罪執行」の危険性を高めるものである。
今年に入ってからも、東アフリカのブルンジやアメリカのニューメキシコ州が死刑を廃止するなど、世界は「死刑のない世界」に向かって着実に前進している。日本でも裁判員制度が実施され、市民が死刑か否かの判断に直面することが現実のものとなり、死刑制度に対する関心もかつてなく高まっている。
このような状況の中で、民主党もその政策集「index2009」の中で、「死刑存廃の国民的議論を行う」「当面の執行停止や死刑の告知、執行方法なども含めて国会内外で幅広く議論を継続してい」くと明記するなど、死刑存廃問題に具体的に言及する政党も増えてきた。
「冤罪執行」の危険や必要的上訴制度の問題を含めて今回の執行が突き付けている問題点を、政府、各政党、各議員そして私たち市民は真剣に議論し、「死刑のない社会」に向かって今こそ舵を切るべきである。
【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)は30日、日本で死刑囚3人の死刑が28日に執行されたことに「深い遺憾の意」を表明する声明を発表し、衆院選後に発足する政権に執行停止と将来の死刑制度廃止を呼びかける考えを明らかにした。
声明は「残酷かつ非人道的」な死刑に犯罪抑止効果はないと指摘し、「総選挙後に発足する政権に対し、日本における死刑適用についてEUの見解を表明する」としている。EUの全加盟国は死刑を廃止しており、日米などに同調を呼びかけている。 .最終更新:7月31日11時9分
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森英介法相による3度目の死刑執行に抗議する
http://www.jca.apc.org/cpr/2009/090728execution.pdf#search='死刑執行 久間三千年'
2009 年7 月28 日 監獄人権センター
麻生内閣の森英介法相は本日(7月28日)、山地悠紀夫さん(大阪拘置所)、前上博さん(大阪拘置所)、陳徳通さん(東京拘置所)の3人に対して死刑を執行した。私たち監獄人権センターは、本日の死刑執行に強く抗議する。
今回の死刑執行は森英介法相による3 度目の執行である。すでに衆議院が解散され、8月30日の総選挙後に総辞職が予定されている内閣の法相が、しかも、政権交代さえとりざたされているこの時期にあえて執行に踏み切ったことは、政治的にも無責任で許し難い暴挙である。
2007年12月の鳩山邦夫法相(当時)による執行以来、ほぼ2~3カ月に1度のペースで行われてきた死刑執行を、森英介法相は今年1月29日の4 名の死刑執行以降、半年近くにわたって行って来なかった。その背景には、昨年10月28日に森法相が飯塚事件の久間三千年さんに対して行った死刑執行が,無実の人に対する執行であった疑いが、足利事件の菅家利和さんの再審開始によって一段と高まったという事情があったと思われる。
足利事件とほぼ同時期の飯塚事件において、久間三千年さんの有罪認定の決め手となったDNA鑑定は足利事件と同じ「MCT118」式の検査法で、しかも、久間三千年さんのDNA型は菅家利和さんのDNA型と同じ「16-26型」とされていた。菅家さんに対するこのDNA鑑定が誤りであったことが明らかになった今、久間さんの冤罪の可能性は一段と高まったと言わねばならない。
久間さんは一貫して無罪を主張し、死刑執行の直前まで弁護団を通じて再審を準備していた。また、森法相が久間さんの死刑を執行した昨年10月28日までには、東京高裁が足利事件のDNA 再鑑定に踏み切る可能性がすでに高まっていた。森英介法相はこれらの事情を精査しないまま、あるいは知りながら、あえて久間三千年さんの死刑を執行することによって、決してあってはならない「冤罪執行」に手を染めた可能性が高いのである。
足利事件の無実が誰の目にも明らかになったこの春以降、森英介法相も自ら犯した「冤罪執行」の可能性を意識し、死刑執行を躊躇してきたに違いない。ならば、なぜ今、新たな死刑執行に踏み切ったのか。森英介法相はこの点について、説明責任を果たすべきである。
さらに、今回執行された山地悠紀夫さんと前上博さんは、ともに控訴を取り下げ、一審判決限りで死刑が確定した。しかも、ともに確定して2年余りでの執行であり、陳徳通さんも確定後3年余りしかたっていない。
この間、死刑執行のペースを上げるために、今回と同様上訴を取り下げて自ら判決を確定させた死刑確定者を狙って早期に執行するケースが目立つ。しかし、これは昨年10月に行われた国際人権(自由権)規約委員会の「死刑事件における必要的上訴制度」の勧告にも反し、それこそ「冤罪執行」の危険性を高めるものである。
今年に入ってからも、東アフリカのブルンジやアメリカのニューメキシコ州が死刑を廃止するなど、世界は「死刑のない世界」に向かって着実に前進している。日本でも裁判員制度が実施され、市民が死刑か否かの判断に直面することが現実のものとなり、死刑制度に対する関心もかつてなく高まっている。
このような状況の中で、民主党もその政策集「index2009」の中で、「死刑存廃の国民的議論を行う」「当面の執行停止や死刑の告知、執行方法なども含めて国会内外で幅広く議論を継続してい」くと明記するなど、死刑存廃問題に具体的に言及する政党も増えてきた。
「冤罪執行」の危険や必要的上訴制度の問題を含めて今回の執行が突き付けている問題点を、政府、各政党、各議員そして私たち市民は真剣に議論し、「死刑のない社会」に向かって今こそ舵を切るべきである。