日本経済の外需依存度の高さが浮き彫りになった  アジアの活力をどう取り込むか

2009-08-19 | 社会
日経新聞 社説1 最悪期を脱したが霧は晴れぬ日本経済(8/19)
 2009年4~6月期の日本の実質国内総生産(GDP)が5四半期ぶりにプラスに転じた。世界的な金融危機が深刻化した昨年秋以降の急激な落ち込みから、日本経済が持ち直してきたことが裏付けられた。ただ、最悪期は脱したとはいえ、景気回復の持続性には不安が残る。
 4~6月期の実質GDPは前期比、年率換算で3.7%増と、08年10~12月期(13.1%減)、09年1~3月期(11.7%減)の大幅な落ち込みから回復した。
 中国などアジア向け輸出に支えられ、海外需要がGDPを押し上げた。国内需要では政府の追加経済対策などで公共投資や個人消費がプラスになったものの、設備投資や住宅投資は大幅マイナスを続けている。
 持ち直したとはいえ、日本のGDPは昨年9月のリーマン・ショック前の水準には及ばない。4~6月期の実質GDPは、08年1~3月期に比べるとまだ7.5%も少ない。
 民間エコノミストの多くは、4~6月期に続いて7~9月期以降も年内は緩やかな景気回復傾向が続くとみているが、日本経済の先行きの霧が晴れたわけではない。
 4~6月期のGDP回復の原動力になった海外需要の先行きにはなお注意が必要だ。政府の大型財政出動で急回復した中国の成長の持続性や、金融危機のもたらした欧米経済への傷の深さなど、まだ不透明な要素も多い。海外経済が再び減速すれば、外需依存度の強い日本経済にも再び強い下押し圧力がかかる。
 国内需要の基盤はもっと弱い。4~6月期の個人消費は前期比0.8%増と08年7~9月期以来のプラスに転じたが、エコカー減税など政府の経済対策に支えられた部分が大きく、その持続性には疑問が残る。消費が本格的に持ち直すには、雇用や所得の回復が必要になるだろう。
 政府・日銀は、4~6月期のGDP統計の好転に気を緩めずに、経済動向には細心の注意を払ってほしい。経済政策を考えるうえで重要なのは、一時的な財政刺激策だけでなく、中長期的に日本の成長力を高める規制緩和など構造改革もあわせて進めることだ。
 今回のGDP統計でも日本経済の外需依存度の高さが浮き彫りになった。家計所得を引き上げ、内需を振興することは重要課題だが、少子・高齢化で長期的に国内市場が縮小する日本にとって、成長力の高いアジアの活力をどう取り込むかという視点も欠かせない。日本の競争力を高め、内需も外需も強くするような政策を次期政権に期待したい。

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