「東電OL事件」マイナリ元被告に再審無罪 東京高裁 小川正持裁判長(=小沢一郎氏の控訴審担当)

2012-11-07 | 社会

【東電OL殺害】ネパール人元被告に再審無罪判決、確定へ
産経ニュース2012.11.7 10:33
 東京電力女性社員殺害事件で、無期懲役とされたネパール人、ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告(46)の再審判決公判が7日、東京高裁で開かれた。小川正持裁判長は、平成12年の1審東京地裁の無罪判決を支持、検察側の控訴を棄却した。検察側は最高裁に上告する上訴権を放棄する方針で、無罪が確定する。
 戦後に発生し、死刑か無期懲役が確定した事件で再審無罪判決が出るのは、8件目。
 マイナリさんはすでに帰国しており、初公判に続き出廷しなかった。
 再審請求審で東京高検が行った鑑定で、被害者の体内に残されていた体液から第三者のDNA型を検出し、現場にあった体毛と一致することが判明。このDNA型は遺体の胸や下着の付着物からも検出された。
 高裁は今年6月、「第三者が被害者を殺害した疑いがある」として、再審開始を決定。刑の執行停止も認められ、マイナリさんは釈放された。
 高検は、その後実施した追加鑑定で被害者の爪の付着物からも第三者のDNA型が検出されたため、有罪主張を撤回。再審初公判では「被告以外が犯人である可能性を否定できず、現段階で有罪と認めることができない」として無罪を求める意見を述べた。
 弁護側は再審で、検察側の鑑定結果の開示が遅れた点などに触れ「もっと早く無実を明らかにすることができた」と指摘。有罪判決を確定させた裁判所も批判した。 
 12年の1審東京地裁判決は無罪を言い渡したが、東京高裁は同年、無期懲役の逆転有罪を言い渡し、15年に最高裁で確定した。
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東電女性殺害事件/身体上のことや私生活をここまで暴かれる苦痛/無罪推定原則2011-07-22 | 社会
  東電女性殺害 新事実に目を凝らせ
  社説:東電女性社員殺害 再審で審理やり直せ
 驚くべき事実だ。97年に起きた東京電力の女性社員殺害事件で、被害者の体から採取された精液のDNA鑑定をした結果、無期懲役が確定したネパール人受刑者とは別人で、現場に残された身元不明の体毛と型が一致したことが分かったのだ。
 元飲食店従業員のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者の再審請求審で、東京高裁の求めに応じ、東京高検が専門家に鑑定を依頼していた。
 直接的な証拠がない事件だと言われた。だが、現場である東京都渋谷区のアパートの部屋のトイレに残されていた精液と、落ちていた体毛1本のDNA型がマイナリ受刑者と一致したことなどから、マイナリ受刑者は逮捕・起訴された。
 しかし、マイナリ受刑者は捜査段階から一貫して否認した。1審・東京地裁は2000年4月、トイレにあったマイナリ受刑者の精液を「犯行のあった日より以前に残された可能性が高い」と認定。さらに、遺体近くに別の第三者の体毛が残っていたことを指摘し「状況証拠はいずれも反対解釈の余地があり不十分」などとして、無罪を言い渡した。
 しかし、東京高裁は同12月、マイナリ受刑者以外が現場の部屋にいた可能性を否定し、無期懲役を言い渡し、03年11月に最高裁で確定した。
 再審は、無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が見つかった場合に始まる。最高裁は75年の「白鳥決定」で「新証拠と他の全証拠を総合的に評価し、事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りる」と、比較的緩やかな判断基準を示した。
 新たな鑑定結果は、現場にマイナリ受刑者以外の第三者がいた可能性を示すもので、確定判決の事実認定に大きな疑問を投げかけたのは間違いない。裁判所は再審開始を決定し、改めて審理をやり直すべきだ。
 それにしても、被害者の体から精液が採取されていたならば、容疑者の特定に直結する直接的な証拠ではないか。トイレに残っていたコンドームの精液をDNA鑑定する一方で、体に残った精液のDNA鑑定をしなかったとすればなぜか。整合性が取れないとの疑問が残る。
 警察・検察当局は、鑑定技術の問題なのかを含め、再審請求審までDNA鑑定がずれ込んだ経緯を十分に説明してもらいたい。また、なぜ公判段階で証拠調べができなかったのか弁護団も検証すべきだ。検察側の証拠開示に問題があったのか、弁護側に落ち度があったのか責任の所在を明らかにすることが、今後の刑事弁護に生かす道につながる。
 DNA鑑定は、容疑者の特定に直結する。再鑑定ができるよう複数の試料を残すことなど保管についてのルール作りも改めて求めたい。
 毎日新聞2011年7月22日2時32分
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<来栖の独白2011/07/22Thu.>
 「こういう事件、裁判があったのか」という感懐。私は、つい昨日まで、この事件のことは知らずにきた。あらためていくつかの記事に目を通し、「疑わしきは被告人の利益に」の条文が頭に浮かんだ。
 犯人でない者を罪に定め(1審判決は無罪だったという)懲役刑を科すなどはあってはならないことだが、この種の事件に出会っていつも考えてしまう。被害者(女性)としては身体上のことや私生活等をここまで暴かれ世間の口の端に上ることの苦痛は決して小さくないだろう、と。記事・社説には、究極のプライバシーといえるワードがあまた躍る。同じ女性として、非常に辛い。果たしてこれ以上の捜査を被害者は望んでいるだろうか、などと意気地のない私は考えてしまう。

「疑わしきは被告人の利益に」
 無罪推定の原則は犯罪の明確な証明があったときにのみ有罪となり、それ以外の時は無罪となることを意味すると同時に、犯罪の立証責任を検察官に負担させ、立証できないときは被告人を無罪とする原則でもある。
 無罪推定原則の法的根拠は憲法31条の適正手続き保障の規定の解釈や刑事訴訟法336条後段によるとされる。
憲法31条「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」
 重要なのは「法律の定める手続きによらなければ」という文言である。憲法31条は”原則被告人は無罪である。しかし、例外的に法律(=刑事訴訟法)の定める手続きによれば有罪とできる”と解釈されているのである。
刑事訴訟法336条「被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪を言い渡さなければならない。」
 これは犯罪の証明がないときは無罪という直接的な規定である。無罪推定原則が刑事裁判で鉄則とされるのは、刑事訴訟法の条文があることも理由だが、それ以上に無罪推定原則が憲法上の保障を受けているためである。言うまでもないことだが、憲法上の保障は法律上の保障よりも強い保障である。
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東電OL殺害再審開始決定した小川正持裁判長 小沢一郎氏の控訴審担当/麻原彰晃死刑囚 地裁裁判長も 2012-06-08 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 【東電OL殺害再審開始】決定出した小川正持裁判長 小沢一郎被告の控訴審も担当
 産経ニュース2012.6.7 22:48
 今回の決定を出した東京高裁第4刑事部の小川正持裁判長(62)は、多数の著名事件を担当するベテランだ。昭和52年に任官し、司法研修所教官、前橋地裁所長などを歴任。平成21年の裁判員制度導入には、最高裁刑事局長として携わった。
 幼女4人連続誘拐殺人事件で20年に死刑執行された宮崎勤元死刑囚の1審では右陪席を勤めた。オウム真理教の元教祖、麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(57)の判決公判では裁判長として死刑を言い渡した。資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で政治資金規正法違反罪に問われ、1審で無罪判決を受けた民主党元代表の小沢一郎被告(70)の控訴審も担当している。
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【事実上の無罪判決 言渡し】小沢「抹殺裁判」2審初公判「即日結審」 指定弁護士の追加証拠請求却下 2012-09-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 陸山会事件:控訴審が即日結審 小沢代表判決11月12日
 毎日新聞 2012年09月26日 11時31分(最終更新 09月26日 11時52分)
 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた「国民の生活が第一」代表、小沢一郎被告(70)の控訴審第1回公判が26日、東京高裁(小川正持裁判長)であった。小沢代表を無罪とした1審・東京地裁判決(4月26日)について、検察官役の指定弁護士は「事実誤認があり、破棄されるべきだ」と主張、弁護側は控訴棄却を求めた。控訴審は即日結審し、判決は11月12日に言い渡される。
 指定弁護士は追加の証拠として▽00年ごろまで小沢代表の事務所に勤め、控訴後に事情聴取した元秘書2人の供述調書▽東京地検特捜部が捜査時に作成した代表の供述調書−−など約10点を請求したが認められなかった。
 控訴審の最大の争点は、陸山会の04、05年分政治資金収支報告書の記載内容について、小沢代表が違法性を認識していたか否か。
 1審判決はまず、土地購入を04年ではなく05年に先送りした収支報告書の記載を虚偽と認定。元秘書の衆院議員、石川知裕被告(39)=1審有罪、控訴中=らから小沢代表が報告を受け、了承したことも認めた。その上で、石川議員が報告の際に事実と異なる説明をし、小沢代表が記載を適正と認識していた可能性があるとして、元秘書らとの共謀の成立を認めなかった。
 指定弁護士は、代表が土地購入時の04年10月、陸山会に提供した4億円とは別に、同額の銀行融資を受けるため関係書類に署名押印した点を重視。「代表は土地代金が近日中に支払われると理解していた。05年に先送りされたと認識した可能性はない」とし、融資で4億円提供を隠そうとしたとしつつ共謀を否定した1審判決は「客観的に不合理」と主張した。
 一方、弁護側は指定弁護士の主張について「証拠に基づかない想像に過ぎず、論理則や経験則からみて1審判決が不合理であることを示せていない」として無罪維持を求めた。【鈴木一生】
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