オウム幹部死刑から5年、アレフは今も「麻原絶対」…際立つ若者の入信・「資産隠し」2023/08/22

2023-08-22 | オウム真理教事件

オウム幹部死刑から5年、アレフは今も「麻原絶対」…際立つ若者の入信・「資産隠し」
 2023年08月22日 11時20分 読売新聞

アレフにオウム事件遺族嘆き

 地下鉄サリン事件など数々の凶悪事件を起こしたオウム真理教。教祖の麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(執行時63歳)ら元教団幹部13人の死刑執行から5年が過ぎたが、後継団体の勢力は維持されたままだ。公安当局が「元死刑囚への帰依を深めている」として監視を強める一方、近年は事件後に生まれた若い世代の入信が目立つ。被害者遺族らは事件の風化を防ぐ必要性を訴えている。(柏原諒輪、坂本早希)

 オウム幹部死刑から5年、アレフは今も「麻原絶対」…際立つ若者の入信・「資産隠し」 
   (写真:読売新聞)

■神格化を危惧

 〈麻原彰晃尊師の超越神力エピソード集〉

 4月下旬、札幌市。後継団体主流派「Aleph(アレフ)」の施設に立ち入り検査をした公安調査庁の担当者は、松本元死刑囚のカラー写真が表紙に印刷された刊行物を見つけた。

 同庁によると、各地のアレフの施設では祭壇に松本元死刑囚の肖像写真が掲げられ、埼玉県の施設では昨年9月、団体側が「松本元死刑囚の脳波のデータを注入する」とうたう「ヘッドギア」が確認されている。

 オウム真理教は1989~95年に地下鉄、松本両サリン事件などを相次いで起こした。一連の事件では計29人が死亡、約6500人が負傷し、元幹部13人の死刑が確定した。松本元死刑囚ら7人の刑は2018年7月6日に、残り6人は同月26日に執行された。

 だが、後継団体の活動は今も続き、アレフなど三つの団体を合わせた信者数は計約1650人で刑執行当時と変わっていない。同庁幹部は「アレフは今も『麻原絶対』を掲げて称賛している。この世にいないからこそ、さらに神格化の進む恐れがある」と危惧する。

■SNSで触手

 近年は若者の入信が際立ち、19~22年は3団体に新たに入った約250人のうち、約6割が20歳代だった。

 同庁によると、アレフは団体名を隠したまま、SNSで「ヨガや心理学を学べる」などと宣伝し、オウム真理教への知識の少ない世代をイベントに勧誘。悩みの相談に乗って関係を築いた後、「地下鉄サリン事件などはオウム以外の者による陰謀だ」と説明するなどして警戒心を取り除き、入信させているという。

 同庁は今年、14都道府県で延べ27か所の施設に計25回(17日現在)の立ち入り検査を実施。団体規制法の観察処分が始まった00年以降、過去最多に迫るペースだ。

 同庁が監視を強める背景にはアレフの強硬姿勢がある。後継団体は3か月ごとに資産状況などを報告しなければならないが、アレフは20年2月以降、収益事業で得た資産を報告しなくなった。この結果、同庁が把握できた後継団体の資産額は、19年10月には約12億9100万円あったが、昨年10月には約2700万円に激減した。

 同庁は今年1月、「活動実態を十分に報告していない」として、アレフに対し、居住用を除く土地・建物の使用や寄付の受領を半年間禁じる再発防止処分を出すよう、公安審査委員会に請求。公安審は3月、初めて同処分を出した。同庁は7月に改めて公安審に処分を請求しており、認められればさらに活動を制限できる。

 処分違反には罰則もあり、同庁は警察に刑事告発するなど厳しい姿勢で臨んでいる。ただ、アレフは最近の立ち入り検査時も検査官の質問を無視するなど、改善の動きはほとんどみられないという。

■高橋シズヱさん「風化を防ぐ、遺族の務め」

 遺族らが懸念するのは、事件の風化だ。

 地下鉄サリン事件で夫を亡くした(76)は今年、事件について講演した際、参加者から寄せられたアンケートの回答に衝撃を受けた。

 高橋さんは事件が起きた3月には毎年、被害者の会の代表世話人として法相らと面談し、後継団体の監視強化を要請するなどしてきており、これまで風化を実感したことはなかった。しかし、回答には「事件を知らないので話がわからなかった」とつづられているものもあった。

 高橋さんは「風化を防ぐのは遺族の大切な務めで、次世代への責任だ」と決意を新たにしたといい、「遺族は高齢化しており、大々的なことはできないが、細く長い活動を続けることが後継団体へのけん制にもなるのではないか」と話す。

 オウムに入信した長男の脱会に奔走中、猛毒のVXで襲撃された永岡弘行さん(85)は若者がアレフに入信する現状を嘆く。

 一連の事件後、永岡さんはアレフなどから約50人の脱会を支援した。今も子どもの入信を心配する親からの相談は後を絶たず、「命ある限り脱会活動を続けたい」と使命感をにじませた。

 ◎上記事は[@nity ニュース]からの転載・引用です


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