7歳女児殺害から11年で来週初公判、裁判員に迫られる難しい判断
TBS News 2016/2/26 16:44
今から11年前、栃木県の旧今市市で当時7歳の吉田有希ちゃんが連れ去られ、殺害された事件は、来週、初公判を迎えます。「無罪主張」の被告側と、状況証拠を積み重ねる方針の検察側が全面対決する法廷で、裁判員は難しい判断を迫られます。
栃木県の旧今市市、今の日光市。あの事件を受け、緊急通報装置が設置されています。2005年12月、この場所から小学1年で当時7歳だった吉田有希ちゃんが下校途中に何者かに連れ去られました。翌日、およそ60キロ離れた茨城県常陸大宮市の山中で、有希ちゃんが刃物で刺され殺害されているのが見つかりました。
事件が大きく動いたのは発生から8年半が経過した2014年。警察は無職の勝又拓哉被告を殺人の疑いで逮捕しました。
「勝又被告が起訴されてから裁判の争点を整理する公判前整理手続きが行われましたが、合計24回、1年半にもわたる異例のものでした」(記者)
有力な物的証拠が少ないとされる事件。検察側は「状況証拠」を積み上げ、有希ちゃんを殺害したのは勝又被告以外にいないと立証しようとしています。凶器は未だに見つかっていないなど、決定的な証拠がないとみられているのです。
捜査で浮かび上がった状況証拠の一端が警察や検察幹部らへのJNNの取材で新たにわかりました。有希ちゃんの遺体に猫の毛が付着していたというのです。
猫とたわむれる勝又被告。勝又被告は事件当時、猫を飼っていたと母親は証言します。
「お風呂入れて、乾かして、全部掃除して、一緒に寝ている。かわいがって、かわいがってしょうがない」(勝又被告の母親)
警察は、遺体に付いた猫の毛と勝又被告が飼っていた猫の毛の双方を鑑定したところ、「同じ種類とみて矛盾はない」という結果を得たということです。しかし、「同じ個体」、つまり、勝又被告が飼っていた猫の毛と同じという鑑定結果は出ませんでした。
「猫のDNA鑑定はサンプル数も少ないし、研究が進んでいるわけでもない。証拠としては弱い」(検察幹部)
検察幹部の一人は、犯行を裏付ける「決定的証拠にはならない」と話しています。一方、勝又被告側は検察側と全面対決する方針です。
「捜査機関から連日、侮辱や罵倒、非難を受けるなど威圧的な取り調べを受け、自殺未遂をするほどにまで追い詰められました。勝又さんは連日、圧倒的な力を持つ捜査官からこのような違法な取り調べを継続されたことにより、虚偽の自白をするよう追い込まれてしまったわけです」(勝又被告の弁護団 今月9日)
勝又被告側は、一時、自白したことについて、「信用性と任意性がなく、証拠にはできない」と無罪を主張する方針です。
「仲良くなっていくにつれて笑顔が増えたり、相づちを打ってくれることがうれしかったです。今でも有希ちゃんが亡くなってしまったことには胸が痛みます」
「事件を風化させたくない」。有希ちゃんと事件直前まで一緒にいた同級生の少女が、私たちに今の気持ちを伝えてくれました。
検察側と被告側が全面対決する中、有希ちゃんの父親と祖母が被害者参加人制度を使って法廷に立つ予定で、裁判員は難しい判断を迫られることになります。注目の初公判は来週月曜日です。(26日16:44)
◎上記事は[TBS News]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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今市事件、3月31日判決 被告人質問異例の7日間
下野新聞 2月26日 朝刊
2005年12月、日光市(旧今市市)大沢小1年だった吉田有希(よしだゆき)ちゃん=当時(7)=が殺害された今市事件で、殺人罪に問われた鹿沼市西沢町、無職勝又拓哉(かつまたたくや)被告(33)の裁判員裁判判決の予定期日が3月31日に決まったことが25日、分かった。勝又被告が証言する被告人質問は、異例の7日間にわたり行われる。
25日に宇都宮地裁(松原里美(まつばらさとみ)裁判長)で、勝又被告の公判前整理手続き第24回協議が開かれ、終了後、地裁が審理の概要を明らかにした。検察側、弁護側が主張や争点などを整理する手続きは地裁で最多となる第24回協議で終結した。
勝又被告の弁護側は無罪主張の方針を明らかにしており、公判では勝又被告の自白の信用性、任意性が大きな争点になる見通し。
地裁によると、勝又被告の公判は2月29日午前10時に始まり、公判は土、日、祝日、3月7日と判決日を除き、3月22日まで15日間開かれる。県内の裁判員裁判では過去最長となる。
初公判で罪状認否や冒頭陳述などが行われ、その後、事実関係や勝又被告の自白内容、情状などに関する審理が予定されている。特に自白に関する審理には3月4日と8~17日まで、9日間が割り当てられている。
被告人質問は3月3日~16日の間の7日間に分けられ、他の証拠調べの内容と対応する形で、組み込まれているのも異例。3月22日が論告求刑公判となる。
◎上記事は[下野新聞]からの転載・引用です
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◇ 今市 女児殺害事件〈勝又拓哉被告〉弁護団 無罪主張へ「威圧的な取り調べで嘘の自白に追い込まれた」
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◇ 栃木 小1女児〈吉田有希ちゃん〉殺害事件 勝又拓哉被告「取り調べ録画テープ」は物証なしの壁を突き破るか 2015-01-17
◇ 今市 女児殺害事件 勝又拓哉容疑者「吉田有希ちゃんが夢に出てくるから自供したい」/猟奇的なものを押収 2014-06-04
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