無罪だが、気になる「収支報告書の記載を虚偽記載と認定」「指定弁護士の主張を相当程度認定」

2012-04-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

<来栖の独白12/4/26Thu.>
 無罪判決はよかった。1審判決というのは、絶大な重みをもつ。これを上級審で覆すには、途方もない力を要す。
 ただ、気になる点も私には幾つかある。大善裁判長が
[1]石川知裕氏らによる収支報告書の記載を虚偽記載と認定している
[2]指定弁護士の主張を相当程度認めている
 点である。
 これでは、「有罪とするには証拠が弱い」といった程度の灰色無罪認定であり、指定弁護士(検察側)に控訴を唆している促しているようにも聞こえる。
 もちろん私は「有罪」判決を最も恐れたが、灰色無罪も、相当程度こわい。これで検察が控訴すれば「クロだよ」と世間から囁かれるグレーの時代が続く。
 少し、付けたりを。
 本件弁護人が安田好弘弁護士だったら無罪は出なかったろう。技量の問題ではない。弘中惇一郎弁護士に一定の穏健な評価があったから、裁判所は無罪を出した。これが安田さんだったなら対権力の構図が鮮明になりすぎて、裁判所は意地でも「無罪」は出せなかった、出すわけにはいかなかったろう。ここが、判決を分けた。
 安田さんは弁護士として、限定されてしまった・・・。刑事弁護では、安田さんはその名の故に、通じなくなった・・・。和歌山毒カレー事件でも光市事件でも、裁判所は「弁護人・・・」と、普通名詞だけでは書かない。「弁護人安田好弘・・・」と弁護人の後ろに固有名詞(安田)を付ける。読む者に殊更、悪徳、反社会的弁護士を連想させる。深い嘆息が私にある。
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小沢元代表に無罪=秘書との共謀否定、虚偽記載了承は認める-東京地裁
 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の判決が26日、東京地裁であり、大善文男裁判長は無罪(求刑禁錮3年)を言い渡した。小沢元代表が虚偽記載を了承したと認定したが、「元秘書との共謀は認められない」と判断した。 国会議員への全面無罪判決は、2006年の村岡兼造元官房長官の一審判決=二審で逆転有罪、確定=以来。検察審査会の起訴議決に基づく強制起訴事件の判決は2例目で、いずれも無罪となった。
 大善裁判長は、最大の争点となった元秘書との共謀について、土地購入代金の計上を翌年にずらすことの「報告を受けていない」とした小沢被告の供述は信用できないと判断し、石川知裕衆院議員(38)から報告を受け、了承したと認定。石川議員や池田光智元秘書(34)が、小沢被告の了承を受けた上で虚偽記載したことを認めた。
 自己資金の4億円を担保に銀行から融資を受けることも、説明を受けて了承していたとし、提供した4億円を簿外で処理することも、「小沢被告の意向に沿うものだったと考えられる」と判断。検察官役の指定弁護士側の主張に沿った事実認定をした。
 しかし、土地代金が2004年に支払われたことについて小沢被告が報告を受けておらず、05年に支払われたと考えていたこともあり得ると指摘。土地取得が05年分の収支報告書に記載されることは適法と考えた可能性があるとして、虚偽記載の故意や、元秘書との共謀について、立証が十分でないと結論付けた。
 小沢被告の法廷での供述については、「変遷や不自然な点が認められ、信用できない」とする一方、「確かな記憶がないことも考えられる」とした。
 争点の一つだった起訴議決の有効性については、適法と判断した。その上で、「事実に反する捜査報告書を作成し、検察審査会の判断を誤らせるようなことは決して許されない」と述べ、見立てに沿った捜査が問題の背景にあったと指摘。検察当局で十分に調査し、対応すべきだと述べた。(時事通信2012/04/26-12:51)
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小沢一郎氏 裁判/無罪判決でも「疑わしきは被告人の利益に」を過度に強調、暗に「有罪」を宣言するか・・・ 2012-04-22 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 <来栖の独白2012/4/22 Sun.>
 「無罪判決を一度も出したことがないのでは」と言われるほど極めて保守的で予定調和的な判決ばかり出してきた大善裁判長が、どういうニュアンス、言い回しで判決文を書くか、それも焦点ではないだろうか。
 判決自体は「無罪」としても、よく云われる「疑わしきは被告人の利益に」が過度に強調されれば、暗に「有罪」を宣言しているようなものだ。この裁判においては「疑わしきは被告人の利益に」との文脈は、無罪判決を根こそぎ無力にする。もともと「政治とカネ」などという曖昧なイメージで、証拠のないところから検察が事件を造り、メディアを巧みに操って、強制起訴にたどり着いた。イメージが、推定有罪をまとって闊歩した。(「無罪推定」とは、挙証責任が検察側にあるということだが)
 証拠の大半を不採用とし、有罪を言い渡しにくい苦肉の策として、「疑わしきは」といった言い回しをするのではないか。「有罪」と「無罪」を、同時に言い渡す・・・。あれこれ考えてしまう。昔から私は「疑わしきは被告人の利益に」という文脈に違和感があった。「疑わしき」も「利益」も、哀しい響きではないか。クロと認定しているようではないか・・・。
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小沢一郎氏裁判/有罪か無罪か 「判決前夜」まんがイラストぼうごなつこのページ 2012-04-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 

 
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光市母子殺害事件 平成24年02月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 全文
最高裁判例 平成20(あ)1136 殺人,強姦致死,窃盗被告事件  
平成24年02月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
主 文
  本件上告を棄却する。
 理 由
  弁護人安田好弘ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
  なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
  付言すると,本件は,犯行時18歳の少年であった被告人が,(1) 山口県光市内のアパートの一室において,当時23歳の主婦(以下「被害者」という。)を強姦しようと企て,(以下 略 来栖)
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【毒物カレー事件】最高裁判決全文
 【主文】
 本件上告を棄却する。
 【理由】
 弁護人安田好弘ほかの上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお、所論にかんがみ記録を精査しても、本件につき、刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
 すなわち、原判決の是認する第1審判示第1の殺人、殺人未遂の事実は、(以下 略 来栖)


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