少年法改正案が成立へ=修正で合意-与党・民主
(時事通信社 - 05月29日 19:01)
少年審判への遺族や被害者の傍聴を認める少年法改正案について、与党と民主党は29日、加害少年が12歳未満の場合は認めないとの修正を行うことで合意した。自民、民主両党の国対幹部が同日、修正案について6月3日の衆院通過、同4日の参院審議入りを確認した。今国会で成立する見通しだ。
政府案は、現在は原則非公開となっている家庭裁判所の少年審判について、殺人や傷害、過失致死など死亡または死に至る危険があった重大事件に限り、遺族らの傍聴を認めるとしている。
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「少年法修正案」に、たったひとり反対する
身辺コラム / 2008年05月29日
時々、私はひとりになる。明日の衆議院法務委員会では少年法(自民・民主・公明)修正案に、おそらくひとりで反対の立場から質疑を行い、意見を述べ(反対討論)、反対する。えっ、たったひとりなの? と首を傾げる人もいるだろう。日本社会は同調圧力が強い。よほどのことがなければ、私も「野党共闘重視派」なので民主党と歩調をあわせたいという気持ちはある。けれども、今回は原則的対応をとらせてもらう。つまり、納得がいかないことには賛成出来ないということだ。
犯罪被害者の人たちが「刑事司法」の手続きから排斥されてきたことは事実である。私は、交通事故被害者の片山隼君の事件に10年前の法務委員会で取り組んで、交通事故で息子を亡くした御両親の「真相を解明したい」という一途な思いを「門前払い」で拒否した東京地検の対応がおかしいと批判した。それから10年、昨年成立した刑事裁判における犯罪被害者の法廷参加を制度化した刑事訴訟法改正など、大きな変化が生じている。そして、今回は少年審判に犯罪被害者の傍聴を認めるのが、少年法改正案である。
10年前、わが子の交通事故の真相解明に取り組んだ片山徒有さんは、その後「犯罪被害者」の救援に力を尽くすことになる。世田谷一家殺害事件で残された遺族のケアや、刑事司法への犯罪被害者の参加制度にも意見を述べてきた。そして、少年審判の犯罪被害者傍聴制度については慎重な意見を持っている。
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少年審判での被害者傍聴、犯罪被害者らが反対意見書
法制審議会(法相の諮問機関)が、少年審判への被害者傍聴を認めることを柱とした少年法改正の審議を始めるのを前に、犯罪被害者らで作る「被害者と司法を考える会」=片山徒有(ただあり)代表=は12日、被害者傍聴に反対する意見書を法務省に提出した。
同会は意見書で、「被害者が審判を傍聴することは精神的に大きな負担となり、被害者、少年のいずれにとっても利益にならない」などと慎重な議論を求めている。記者会見した片山代表は「少年審判は少年の更生を話し合う場であり、真相究明の場ではない。被害者には、裁判官や家裁調査官が事件に関する情報を丁寧に伝えるべきだ」と話した。(2007年12月12日読売新聞)
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もちろん、犯罪被害者の立場で少年審判の傍聴を強く望んでいる人たちもいる。今回の法改正を進めてきた法務省や、自民・民主・公明の3党は、こうした意見を受けて「少年審判の傍聴は必要だ」として明日には少年法修正案を採決しようとしている。しかし、少年審判は非公開で運営されており、その審判に「被害者傍聴」が常態化すれば少年審判の性格は大きく変化する。「反対」「賛成」どちらの立場でも、そう簡単な法改正ではないことは理解してもらえるだろう。私たちも時間をかけて修正協議を積み上げるのであれば、参加しようとも考えていた。しかし、自民・公明と民主であっという間に「合意」をして、たった二日間の審議で採決になだれこむことに強い違和感を持つ。明日は、鳩山大臣と与野党の修正案提案者に質問し、35人委員会の中でひとりで反対討論を行った後に反対するつもりだ。その報告は、明日また届けることにする。