広島女児殺害で最高裁が9月に弁論…2審見直しの可能性

2009-07-04 | 死刑/重刑/生命犯

あいりちゃん事件2審変更も '09/7/4中国新聞
 木下あいりちゃん事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(37)の上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は3日までに、検察側、弁護側双方の主張を聴く弁論を9月11日に開くことを決めた。
 二審の結論変更に必要な弁論が開かれることから、一審広島地裁の無期懲役判決を破棄して審理を差し戻した二審広島高裁判決が見直される見通し。その場合、高裁に審理のやり直しを命じるケースなどが考えられる。
 広島高裁判決は、犯行場所の特定につながる可能性のある被告の捜査段階の供述調書を証拠として調べなかった点を「審理不十分」と指摘しており、最高裁が、証拠を整理して絞り込む「公判前整理手続き」の在り方について初判断を示す公算が大きい。
 トレス被告の弁護人は、最高裁が弁論を開くと決めたことについて「高裁判決を破棄してもう一度、広島高裁で審理するよう命じるか、弁護側の上告が棄却されて高裁判決が維持されるか、どちらかの判断が予想される」とみる。
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広島の女児殺害事件 2審見直しの可能性 
7月3日19時58分配信 産経新聞
 広島市安芸区で平成17年、下校途中の小学1年、木下あいりちゃん=当時(7)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われたペルー人、ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(37)の上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は、検察、弁護側双方の主張を聞く弁論を9月11日に開くことを決めた。1審広島地裁の無期懲役判決を破棄し、審理を差し戻した2審広島高裁判決が見直される可能性がある。
 ヤギ被告側は、証拠と争点を絞るために行った1審の公判前整理手続きを2審が非難、「争点を明らかにしないまま終えた」などと判示した点について審理を求め、上告を受理するよう申し立てていた。最高裁はこれを受理したため、公判前整理手続きのあり方についても初判断が示される見通し。
 公判前整理手続きは、裁判員裁判では必ず実施され、初公判前に弁護人と検察官、裁判官が協議、審理計画を立てて集中審理を実現する。裁判員として参加する国民の負担軽減が狙いだが、一方で拙速になりかねないとの指摘もあり、最高裁の判断は各地裁での実務に影響するとみられる。
 1審の公判前整理手続きのなかで、検察側はヤギ被告の捜査段階での供述調書を取り調べるように求めたが、弁護側は不同意。地裁も任意になされた供述かどうかを立証してまで調べる必要性はないとして、公判のなかで却下した。判決では検察側の死刑求刑に対し、無期懲役を選択した。
 これに対し、2審は「公判前整理手続きは充実した審理を計画的で迅速に行うもので、調書の任意性という争点を明らかにしないまま終えたのは、目的に反する」と指摘、審理を尽くしておらず違法などとして差し戻した。
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公判前整理手続き 裁判員制度の成否に影響か
産経新聞2009/06/03 00:48更新
 裁判員制度のもとでは、参加する国民の負担軽減のために、迅速で分かりやすい審理が求められる。事前に証拠や争点を絞り込む公判前整理手続きは、迅速な審理を実現するために不可欠な手続きだ。一方で「必要な証拠まで切り捨てられ、議論が深まらない」「密室で裁判の流れが決まる」など弊害も指摘される。迅速化と精密司法のはざまで、公判前整理手続きのあり方は裁判員制度の成否にかかわってきそうだ。
 最高裁によると、昨年の裁判員裁判対象事件で公判前整理手続きを経た裁判の平均開廷回数は3・5回。スピードアップには成果をあげているといえる。
 ただ、裁判の迅速化を重視するあまり、本当に必要な証拠が採用されない恐れも懸念されている。広島市の小1女児殺害事件の控訴審判決で広島高裁は昨年12月、「争点整理をせず(一部の)証拠請求を却下した」と公判前整理手続きの不備を指摘、審理が十分ではないとして裁判を地裁に差し戻した。被告の供述調書を採用せず、犯行現場の特定がないまま結論を出した広島地裁に注文を付けたかたちだ。
 最高裁も1月、模擬裁判のなかで行われた公判前整理手続きについて、「有益な証拠まで切り捨てる事態があった」と結論付けた。
 また、事実上、手続きはほぼ非公開で行われているため、「密室で裁判の流れが決められる」「(手続きに参加できる)裁判官や検察官、弁護士と、裁判員との間に情報格差ができる」などの問題点も関係者から指摘される。
 あるベテラン裁判官は「何が重要な点かを絞り込むのは難しく、一部で問題があったのは確かだ」と導入に伴う弊害を認める。その上で、「裁判員が理解しやすくするためには、『争点を絞る』のではなく『裁判の重要な部分を確認する』という考えかたで公判前整理手続きを進めなければならない」と考える。
 安冨潔慶応大教授(刑事訴訟法)は「裁判員に過度な負担をかけないためにも、絶対に必要な手続きだ。一方で、裁判員への配慮を重視するあまり、証拠を絞りすぎれば、事件の真相解明にはつながらず被告の利益が損なわれる。裁判員への負担に配慮しつつも、ある程度の幅をもった証拠採用をし、余裕のある審理計画にせざるをえないだろう」と指摘している。
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広島女児殺害で最高裁が9月に弁論…高裁判決見直しか
7月4日3時7分配信 読売新聞
 広島市安芸区で2005年、小学1年の木下あいりちゃん(当時7歳)が殺害された事件で、殺人、強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー国籍のホセマヌエル・トレス・ヤギ被告(37)の上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は9月11日に口頭弁論を開くことを決めた。
 無期懲役を言い渡した1審・広島地裁判決について、「審理を尽くしておらず違法」と述べて審理を1審に差し戻した2審・広島高裁判決を見直す公算が大きい。
 この事件では1審で初公判前に証拠や争点を絞り込む公判前整理手続きが採用されたが、2審判決では、1審の審理の進め方が問題になった。最高裁では、同手続きのあり方について初の判断を示す見通し。
 2006年5月に始まった1審は裁判員裁判を見据えた公判迅速化のモデルケースとされ、約2か月後、検察側の死刑求刑に対して、無期懲役を言い渡した。
 しかし、2審判決は、1審が殺害場所を特定せずに判決を言い渡したことを問題視。08年12月の判決で、殺害場所を示唆する供述をしたヤギ被告の調書を、同地裁が取り調べなかったことについて、「公判前整理手続きの目的に反して不当。審理も尽くされていない」と批判し、1審に差し戻した。
 これに対し、弁護側は「公判前整理手続きでは証拠を厳選することが求められる。控訴審は手続きの目的を見誤っている」などと主張している。 最終更新:7月4日3時7分

http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/colum-menu.htm

広島女児殺害事件1審判決文要旨 広島女児殺害事件
「被告の命にも意味があるのではないか」悩む父
一審判決破棄、地裁に差し戻し


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