産経ニュース 2015.3.14 07:30更新
【川崎中1殺害】ネットで「犯人視」された女子中生 「外に出るの怖い」 ツイッターに脅迫も
川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年、上村遼太さん(13)の遺体が見つかった事件は13日で発生から3週間を迎えた。発生直後からインターネット上では「犯人捜し」が行われ、事件と無関係の人物が「犯人」と名指しされる事態も起きた。その一人となった女子中学生は、名前や写真などが知らぬ間にネット上にさらされた。見知らぬ人から誹謗中傷を受けた女子生徒は、産経新聞の取材に「外に出るのも怖い」と、ネット社会の恐怖を語った。(岩崎雅子)
「人殺し」-。女子生徒の簡易投稿サイト「ツイッター」に脅迫まがいの言葉が届くようになったのは、上村さんの遺体発見から2日後の2月22日夜だった。
ネット上では、既に複数の人物が「犯人」と疑われ、女子生徒はその知人と誤解されたのだった。
また、上村さん殺害の前日、横浜市西区の公園にある公衆トイレで中学2年の男子生徒が暴行されて重傷を負う事件が発生。ネット上では、この事件と上村さんの事件とが「同一犯」視されており、女子生徒は両事件に無関係だったにもかかわらず、犯人グループの仲間と勘違いされていた。
川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年、上村遼太さん(13)の遺体が見つかった事件は13日で発生から3週間を迎えた。発生直後からインターネット上では「犯人捜し」が行われ、事件と無関係の人物が「犯人」と名指しされる事態も起きた。その一人となった女子中学生は、名前や写真などが知らぬ間にネット上にさらされた。見知らぬ人から誹謗中傷を受けた女子生徒は、産経新聞の取材に「外に出るのも怖い」と、ネット社会の恐怖を語った。(岩崎雅子)
「人殺し」-。女子生徒の簡易投稿サイト「ツイッター」に脅迫まがいの言葉が届くようになったのは、上村さんの遺体発見から2日後の2月22日夜だった。
ネット上では、既に複数の人物が「犯人」と疑われ、女子生徒はその知人と誤解されたのだった。
また、上村さん殺害の前日、横浜市西区の公園にある公衆トイレで中学2年の男子生徒が暴行されて重傷を負う事件が発生。ネット上では、この事件と上村さんの事件とが「同一犯」視されており、女子生徒は両事件に無関係だったにもかかわらず、犯人グループの仲間と勘違いされていた。
女子生徒の異変に気付いた中学校の教諭から連絡を受けた父親は今月6日、警察に相談した。
父親によると、警察はネット上の画像についてネット接続業者に消去を依頼するなど善処を約束したが、完全消去は困難で、脅迫文が届くといった物理的なものがなければ、捜査は難しいと言われたという。
「たくさんの人が、私の写真を『こいつが犯人だ』って見たんだと思うと、ショックで」
女子生徒は恐怖で多くの人が集まる場所に出かけられなくなり、最近は友人からの誘いも断っている。娘を気遣う父親は「せめて画像が消えてくれたら」とため息をついた。
◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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2015.3.14 07:30更新
【川崎中1殺害】過熱するネット上の“犯人捜し” 名誉毀損や脅迫の可能性も
「こいつらが犯人!」「みんなで復讐を」「誰か住所晒してくれ」。川崎市川崎区の中学1年、上村遼太さん(13)が殺害された事件をめぐり、インターネット上で過熱した「犯人捜し」の動きは、事件とは無関係の少女らの名前や写真などを「犯人」として拡散させるなど、歯止めがないまま“暴走”した。
このような動きに対し、ネット上の法律問題に詳しい藤井総弁護士(31)は「犯人と名指しすれば名誉毀損罪にあたる可能性が非常に高い」と警鐘を鳴らす。
「復讐してやる」といった言葉も、ツイッター上で返信する「リプライ機能」で書き込むなどして、「犯人視」した本人に伝われば、脅迫罪となりうるという。
事件とは無関係の人物がネット上で誹謗中傷や脅しを受けた例は、過去にも存在した。
大津市で平成23年10月に市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題では、無関係の人物を、男子生徒をいじめていたとされる同級生の親族と決めつける書き込みがネット上で拡散。25年3月にも、滋賀県内に住む無関係の男性をこの同級生の祖父とする虚偽の書き込みをしたとして、兵庫県内に住む30代男性が名誉毀損罪で略式起訴され、大津簡裁が罰金30万円の略式命令を出している。
無責任な書き込みが広がる背景について、藤井弁護士は「クリック一つで簡単にシェアでき、『みんなもやっている』という集団心理も働いている」と分析。「法治国家である以上、犯罪者はしかるべき法手続きに沿って処罰されるべきだ。義憤に駆られる気持ちも分からないではないが、人の名誉を毀損するような情報を拡散させてはいけない」と強調している。(小野晋史)
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2015.3.16 05:04更新
【産経抄】濡れ衣の乾く日 3月16日
後妻が先妻の娘を陥れようとして、潮水がしたたる漁師の衣を娘の枕元に置き、密会の証拠として夫に告げ口した。「濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」の語源のひとつとされている。
▼あるいは、蓑(みの)がないと雨に濡れることから、「蓑がない」を「実のない」とかけた「ダジャレ説」もある。ともかく、「根も葉もない噂」や「無実の罪」という意味で、平安時代からすでに使われていたらしい。
▼最近では、インターネット上で濡れ衣を着せられるトラブルが増えている。川崎市の多摩川河川敷で、中学1年の上村遼太君(13)が遺体で見つかった事件でも、無関係の人物が「犯人」と名指しされて、困り果てている。
▼小紙の取材に応じた女子中学生もその一人である。犯人グループの一人と勘違いされて、名前や顔写真が知らない間に、ネット上でさらされていた。「人殺し」「しらばっくれるな、死ね」などと、見知らぬ人から脅迫まがいの言葉も浴びせられた。ショックを受けた女子生徒は、外出するのが怖くなり、最近は友人からの誘いも断っているという。
▼ネットが、私たちの生活をどれほど便利にしたか、説明するまでもない。小欄もお世話にならない日はない。一方で、人の道にはずれた使い方をすると、きわめて危険な凶器にもなる。先日、兵庫県の淡路島で起きた惨劇の前から、すでに狼藉(ろうぜき)を働いていた。被害者は以前から、加害者がネット上で繰り返す誹謗(ひぼう)中傷に困り果てていた。
▼〈あめの下乾けるほどのなければや着てし濡れ衣干(ひ)るよしもなき〉。無実の罪で筑紫に流された菅原道真は、雨に濡れる衣が乾かないように、自分の疑いが晴れることもない、と嘆いた。女子生徒の濡れ衣と涙が乾く日が、一日も早く訪れるよう祈りたい。
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◇ 川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格18歳少年の自宅や車に落書き / 顔写真&実名報道 『週刊新潮』
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