江戸川・高3女子〈岩瀬加奈さん〉強殺事件 青木正裕被告に無期懲役判決 東京地裁 2017/5/23

2017-05-23 | 死刑/重刑/生命犯

女子高校生殺害 アルバイト先の元同僚に無期懲役の判決
2017/5月23日 19時32分
 おととし、東京・江戸川区で当時17歳の女子高校生が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われた、アルバイト先の元同僚の裁判員裁判で、東京地方裁判所は「遺族が極刑を望む心情も理解できるが、公平性にも留意する必要がある」として、無期懲役を言い渡しました。
 おととし11月、東京・江戸川区のアパートの部屋で、近くに住む高校3年生の岩瀬加奈さん(当時17)が殺害され、現金などが奪われた事件では、アルバイト先の元同僚で、この部屋に住んでいた青木正裕被告(31)が強盗殺人などの罪に問われました。
 被告側が「自首していることなども考慮すべきだ」として懲役30年が妥当だと主張したのに対して、検察は無期懲役を求刑しました。
 また、裁判に参加した岩瀬さんの家族は死刑を求めていました。
 23日の判決で、東京地方裁判所の島田一裁判長は「被害者をだまして誘い込み、乱暴することが目的で、動機は身勝手極まりない。被告が自首したのは、警察の捜査が迫っていることを知ったあとで、大きく考慮できない」と指摘しました。
 一方、遺族が死刑を求めていたことについては、「心情も十分に理解できるが、死刑は究極の刑罰で、適用は慎重に行わねばならず、公平性の確保にも十分に留意する必要がある」という判断を示し、無期懲役を言い渡しました。
 判決のあと、亡くなった岩瀬加奈さんの家族が会見を開きました。
 父親の正史さんは「ひと言で言うと、非常に残念です。ほかの事件との公平性を考慮するという判決でしたが、同じ事件などありません。公平性というのは全くのナンセンスだと思います」と話していました。
 母親の裕見子さんは「司法の限界を感じました。判決を聞いたときは本当にショックでしたが、私たちがここでおかしくなってしまうことを、娘は絶対に望みませんので、判決に縛られることなく、3人で、娘も一緒に、前を向いて生きていきたいです」と話していました。
 姉の咲貴さんは「姉として、妹の代わりにちゃんと伝えてあげたよということを言ってあげたい。4人で頑張らせてくれてありがとうということも言ってあげたいと思います」と話していました。
■遺族 実名での審理を望む
 亡くなった岩瀬加奈さんの両親と姉は、大切な家族を突然奪われた苦しみを訴えたいと、裁判に参加しました。
 加奈さんは幼い頃から本を読むことや動物が大好きな優しい子で、休みの日に家族で出かけることを楽しみにしていたといいます。
 平穏な家族の暮らしは事件のあと一変し、日に日に心の傷が深くなっていきました。両親と姉は、その苦しみを伝えたいと思い、裁判に参加することを決めました。
 父親の正史さんは「被告の顔を見なくてはならず、怖かったですが、被害者不在の中で、人に委ねてすべてが進み、あとで後悔することだけは避けたいと思いました」と話していました。
 法廷では加奈さんの名前を伏せることもできましたが、あえて実名で審理することを望んだといいます。母親の裕見子さんは「娘の名前を呼べないのは嫌でしたし、被害に遭ったのは『少女A』ではないということをわかってもらえたほうが、被害がより伝わるのではないかと思いました。娘は何も悪くないということを証明したかった」と話していました。
 姉の咲貴さんは、法廷で証言に立ち「家族思いの、しっかりした、たった1人のかわいい妹です。事件で私たち家族の心も殺されました」と訴えました。咲貴さんは「妹の声を代わりに伝えるため、証人として話もして、4人で頑張ることができてよかったです」と涙ぐみながら話していました。
 加奈さんは、アルバイト代をためて、毎年、家族をテーマパークに連れて行っていました。事件が起きなければ、2週間後にはおそろいのリュックサックを持って家族で遊びに行く予定でした。正史さんは「二度とあってはいけない犯罪で、私たち家族のようなつらい思いをする人が少しでも減ればと思います」と話していました。
■裁判員などは
 判決のあと、裁判員や補充裁判員を務めた人たちが記者会見に応じました。
 このうち、裁判員を務めた30代の男性は「被害者の方に寄り添いつつ、一方で日本の司法ではどう判断できるかを意識して、審理に参加しました。これまでは極刑というものの重さが漠然としていましたが、判例と照らし合わせ、いかに重いかを感じました」と話していました。
 法廷で被害者の名前を伏せず、実名で審理されたことについては、「被害者の名前をアルファベットなどで置き換えて匿名にされると、一般の感覚では人間味を感じなくなってしまいます。実名だから亡くなったという重みがより強く伝わりました」と話していました。
 また、補充裁判員を務めた30代の女性は「裁判に参加して、ほかの事件とのバランスを考えて刑の重さを決めなくてはいけないことを知りました。自分がこれまでに思っていた刑の重さと実際の刑の重さは違いました」と話していました。

 ◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です

東京 江戸川・高3 岩瀬加奈さん殺害 青木正裕被告、減刑主張「出所し謝罪を」2017/10/25 東京高裁
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「母親への復讐心から連続殺人 息子が事件を起こせば社会の目が母に集中する」青木正裕被告 江戸川・女子高生強殺 公判2017/5/18
「連続殺人で死刑になるつもりだった」江戸川の女子高生岩瀬加奈さん強殺 青木正裕被告が供述 初公判2017/5/16
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