ALS患者嘱託殺人 医師2人が「ドクター・キリコ」に変貌した動機 2020/7/23

2020-07-24 | Life 死と隣合わせ

京都嘱託殺人 元衆院議員の夫ら医師2人が「ドクター・キリコ」に変貌した動機〈週刊朝日〉
2020/7/23(木) 20:02配信 AERA dot
 京都府警は7月23日、全身の筋力が衰えていく難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)を発症した京都市の50代女性から依頼を受け、薬物を投与、殺害した嘱託殺人の容疑で、宮城県の医師、大久保愉一容疑者と東京都の医師、山本直樹容疑者を逮捕した。
 2人は友人を装って、去年11月30日午後5時半頃、女性宅を訪問。ヘルパーは別室にいたという。しばらくして2人がいなくなり、ヘルパーが様子みたら女性の応答がなかった。主治医に連絡し、午後6時18分に119番。病院に搬送されたが、死亡が確認された。その際、普段は摂取していない薬物が検出され、京都府警が捜査。防犯カメラ映像などから、2人の容疑者が浮上したという。
 女性はALSを発症後、周囲に「早く死にたい」などと漏らしていたという。大久保容疑者は宮城県名取市でおおくぼ呼吸器内科・メンタルクリニックを開業。それまでは厚生労働省の役人で妻は自民党の元衆院議員、大久保三代氏だ。
 三代氏は自身のブログで大久保容疑者が逮捕されたことを認め、こう綴っている。
<本日、私の夫愉一が連行されました。私は詳細も全容も、一切知らされておりません。夫からも何も聞いておりません。ですが、連行され報道されたということは大切な方を亡くされた方がおられるということでしょうから、ご本人様、ご遺族には心よりお詫び申し上げます。お詫びの言葉もございません。一方で、夫が一人の医療者としてやったことの結果ですから一人の大人としてきちんと受け止め、全責任を一人で背負って当然だと考えております。人の命に関わる仕事をしていれば常日頃から、職責について使命について、覚悟をしていて当然だと思っております。今後捜査にも報道にも、全面的にご協力させていただきます>
 大久保容疑者のものとみられる、ツイッターやブログ、掲示板には安楽死についての書き込みが多数、存在する。
 その中に<高齢者を「枯らす」技術>というブログがある。手塚治虫の「ブラック・ジャック」で安楽死を手掛ける、ドクター・キリコにちなんで<キリコ先生に学ぶ「安楽死」>というタイトルでこのように綴っている。
<老人が大量に増えていて、いちいち刑事訴追していたらキリがない>
<合法的に治療行為を絞って死にいたるプロセスが定められています。国がおすすめしているのは、本人や家族が「人生会議」を開いて延命処置を行うかどうかなどを決めておき、必要なときにはそのように対応する><脳梗塞や脳出血でコミュニケーションが取れなくなったら、もう家族が適当に「元気なころの本人の意志」をでっちあげることもできます>
 安楽死を肯定するような内容が列挙されていた。
 また、別の日のブログでは、特定の薬物名をあげて、<平穏死する方法>と安楽死をうかがわせるような記載もある。
 そして、女性を殺害したとみられる昨年11月の大久保容疑者のSNSには、<安楽死して遺族が年金もらう、とかこれから流行るかもな><安楽死外来(仮)やりたいなあ>と意味ありげな内容もある。
 一方、山本容疑者はSNSの自己紹介で<日本のED治療(男性機能)専門院を経営している40代の医師>と書き、東京都内でED治療のクリニックを経営。
 大久保容疑者と山本容疑者のつながりは、ブログと同じタイトル『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術:誰も教えなかった、病院での枯らし方』という共著を電子書籍で出版していること。事件発覚後、電子書籍は買えない状態となっているが、紹介文にはこう記されていた。
<「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ>
 こちらも安楽死を思わせるような内容が記されている。
「難病に絶望した女性が、2人に殺してくれるようにネット、SNSと通じて、接触したようだ。だが、山本容疑者には女性から100万円を超す、金銭が提供されていた形跡がある。金銭目的で、嘱託殺人を請け負った可能性もある」(捜査関係者)
 大久保容疑者、山本容疑者のどちらも女性の主治医ではなく、初対面で、嘱託殺人に至ったようだ。
 大久保容疑者のブログには<「安楽死」なんて誰が好き好んでやるのか>と記されていた。
<一服盛るなり、注射一発してあげて、楽になってもらったらいいと思っています。ただまあ、わたしも家族がいる身なのでそう簡単にも行きません。バレると医師免許がなくなるばかりか、訴追されれば家族ともども路頭に迷いますからね>との思いも書いていた。
 なぜ「安楽死」を請け負って凶行に及んだのか、動機の解明が待たれる。(本誌取材班)
※週刊朝日オンライン限定記事
 最終更新:AERA dot.

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です *強調(=太字)は来栖
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異質な安楽死 ALS患者嘱託殺人…致死量の鎮静薬を投与したとして…2020/7/24 中日新聞「核心」
呼吸器外し、医師を書類送検 2007/5/22 終末期医療に関する国の初めての指針


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